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2019年11月06日 13:33

【書評】『なぜ税理士は経営者の期待に応えられないのか』

 会社経営において税理士はきっても切れない関係にある。タイトルはいささか挑戦的な感じもするが、それだけ士業に誇りをもっていただきたいという著者からのメッセージだと思う。
 以下、私なりに感じたことを3つの目線で記してみる。

【税理士の目線から…】

 本書で何度も触れているが、税理士業は国家資格・士業であるにも関わらず顧客の獲得が熾烈を極めているようだ。そんな中でも健闘している税理士や、税理士法人は当然あり、生き残り戦略のヒントが随所に見受けられる。著者はただ税理士業界を批判しているわけではなく、顧問先企業と「同床異夢」の先細り状況に陥らないためにも…と書き綴っているように思える。
 顧問先の業種を確実に把握し、円滑なビジネスマッチングを構築できる…。税理士業は創造的かつファンタスティックで楽しいということも本書では綴られている。

【経営者の目線から】

 税理士にまつわる数々の勘違いエピソードは一見の価値があるだろう。
 元融資担当銀行マンの経験・実績があるからこそ書ける内容だけに、リアリティがある。同じような問題があれば、経営者は今一度、税理士と向き合うことにしたほうが良いのは間違いない。判断材料は「税理士さんは銀行からお金を取ってこれますか?」だ!
 だが本書で言いたいことの根本は、税理士の怠慢もさることながら、経営者の勘違いが引き起こしている事態についての注意喚起にあると思う。
 経営者・役員が今年度は事業をどのように進めたいか、拡大したいかを区切りごとにしっかり説明していない。申告グレーゾーンもたくさんあり、毎年税務調査官によって見解も異なる。
 税理士に対しての説明不足や価値観・情熱の相違から、歪みが起きてしまう。人材育成、会社の成長についても同じことがいえよう。
 税理士をお金の専門家、経営コンサルの一部と思いこみ、安心しきっている経営者こそぜひ同書を読んでいただきたい。
 「税金を払わずにお金を借りたい」という虫のいい話はどこにもないのだということを肝に据えるべきだ。

【元融資担当銀行マンの目線から】

 本書が秀逸なのはまさにココからである。つまり、「借りたいときに借りられる決算書を正しくつくる」方法が描かれており、税務署でYES!銀行ではNO!と言われない決算書作成の方法が見どころである。
 それは、かつてあったようなルール違反のズルイ方法ではなく、「税理士による積極的な経営サポートの原則によるもの」と同書では説明している。
 一緒に銀行にいく税理士さんがいるのはあたりまえではないのか?銀行マンの金融審査スキル低下を勘案して対応する税理士さんがいてくれたらどれだけ心強いか!そして、さらに税理士さんがつくる決算書ではなく、最終的に銀行側が思案した決算書で融資が決まるというのは当然のことなのかもしれないが、目から鱗だった。
 経営者だけでなく、営業マン、ビジネスマンであれば経営者とのコミュニケーションツールとして、このくらいの知識があっても損はないと感じた。

【最後に】

 税理士のことを書いた本だが、私がこの本で一番響いたフレーズは「社長の仕事は“ジャッジすること”」という部分。確かに税理士の無知も罪なのだが、それ以上に社長が税理士に頼りすぎているのが「悪」だと感じた。
 同書は税理士のことを書いているが、実は社長への警告・メッセージが散りばめられている。

【青木 義彦】


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