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2019年11月19日 07:00

激変!米国コワーキングスペース ニーズが急増し、競争が激化(3)

fabbit(株) 代表取締役社長 田中 保成 氏

Workbarのカフェテリア
Workbarのカフェテリア

米国市場のニーズ

 スタートアップ企業がコワーキングスペースを選ぶ基準は、まず事業を成長させるためにいかに場所やサービスを活用できるかだ。販路を拡大して売上を伸ばせること、そしてメンターやコミュニティマネージャーが企業の課題を解決できる人を紹介できるサービスがあることが大きい。資金調達のアドバイスや、ベンチャーキャピタルなどの資金提供先を紹介できること、ビジネスが広がるネットワークをつくれるイベントが多く開催されていることも必要だ。

 働く環境が生産性に与える影響も大きい。快適で集中できる場所で気分よく仕事すると、生産性は上がるものだ。場の雰囲気や居心地の工夫、アメニティのサービスなどに各社は気を配っている。

 WeWorkではビールやスナック等のフリーサービスを提供している。リラックスできる時間と集中できる雰囲気の両方を提供できることが大切だ。駅から近くて費用が安いなどの特徴がある場所を除けば、コワーキングスペースのサービスの中身が重視される。

 米国で一番コワーキングスペースが多い場所はニューヨークのマンハッタンで、合計245カ所で総面積は約71万5千m2だ。次にロサンゼルスの約34万4千m2で、合計158カ所だ。(JETRO/IPA New York 2018年調べ)そして、ヒューストンやボストンが続く。

 従来は、西のシリコンバレーや東のボストンが、起業が盛んな土地といわれてきた。今ではテキサス州のオースティンでエンジニアやデザイナーなどの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト」が開かれているなど、全米の主要都市にスタートアップ企業の集積地が広がっている。そして、起業が盛んな土地の周辺でコワーキングスペースのニーズが増加している。利便性から、都市のなかでは人口集積地での展開が多い。

 fabbitが米国で資本・業務提携しているWorkbar(ワークバー)は、WeWorkと比較してスタートアップに注目して展開してきたことが特徴だ。マサチューセッツ工科大学やハーバード大学などに近いボストンのバックベイを始めとして、ボストン近郊に18拠点を展開しており、スタートアップ企業に関連するイベントを頻繁に開催している。

 近年は、シリコンバレーよりもサンフランシスコでのスタートアップの動きが活発になってきている。AppleやAlphabet(Google)、Facebookも、今まではサンフランシスコに住むことを希望する従業員をバスでシリコンバレーのオフィスに送迎していたが、優秀な人材を確保するためにサンフランシスコに拠点を構えた。

 起業家が集まりやすい場所として、サンフランシスコが注目されているようだ。fabbitも12月からサンフランシスコにWorkbarの協力を得て、新拠点を展開する予定だ。

Workbarのコワーキングスペース
Workbarのコワーキングスペース

米国と日本の違い

 米国のコワーキングスペースは、本質的には日本とそれほど違いがないのが実情だ。全世界的にスタートアップ企業を支援して経済を活性化し、雇用を生み出していこうという動きがあり、米国も日本も意外と状況は似ている。業界では情報の流れがとても速く、サービスの均質化が世界中で進んでいる。

 似ている部分が多いなかで、米国と日本の違いは「コミュニティのつくり方」だ。WeWorkは、施設内で入居者同士が気軽に会話ができるように工夫しているようだ。

 たとえば、コワーキングスペース内に階段をつくり、入居者同士がすれ違ったときにハイタッチしやすいように階段の幅を工夫した、と聞く。1階と2階を行き来するときにエレベーターではなく階段を使えるようにすることで、人とすれ違ったときに交流が図れる仕組みだ。米国では、コワーキングスペースなどで隣り合った人にいきなり挨拶して話しかけるのが普通の文化だ。

 本来、コワーキングスペースとはそのような場所であるべきなのだが、仕事に集中している人に話しかけることも容易ではなく、日本ではあまり頻繁に見かける光景ではないため、交流イベントを開いたり、お酒を提供してリラックスできる場をつくることで交流しやすい雰囲気を提供することが必要になる。

 Workbarは、集中して仕事するときのために「ライブラリー」を設けて、あえて話をしてはいけないエリアをつくり、その他の場所では話しかけてもいいというルールをつくっている。それほど、同じ場所にいることで交流が気軽に進む国だ。

 これまでも技術やサービスの研究開発で新しい発想が生まれるのはコーヒーメーカーの周りだといわれており、休憩時間にコーヒーを飲みに集まった時に異なる所属部署の人間と意見交換をすることで、今までになかった着想につながることが多いようだ。これにならって米国では、キッチンがあるコワーキングスペースが多い。お茶を飲んだり、食事をつくったり食べたりするなかで話しかけやすい雰囲気の場をつくっている。

(つづく)
【石井ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
fabbit(ファビット)(株)

代 表:田中 保成
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
    朝日生命大手町ビル3階
設 立:2017年4月
資本金:1,000万円
売上高:(18/9)2億9,400万円

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