中小企業の生き残り戦略(19)DXを文化にする~“学習する組織”が変革を持続させる力~
はじめに
前回、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の本当のゴールは、ツールの導入や仕組みづくりではなく、変化に強い組織文化を育てることであって、「経営者のコミットメント」が現場を動かす力になるということを述べましたが、今回は、その火を絶やさずに燃やし続ける「学習する組織」の仕組みについて考えます。
1.DXを“プロジェクト”で終わらせないために
DXを推進するときに多くの企業が直面する課題は、「一度きりの改革」で終わってしまうことです。ただその理由は明確で、学びを組織に定着させる仕組みができていないからです。一度成功したやり方を続けるだけでは、昨今の変化の激しい環境においては対応できません。DXを文化にするには、「挑戦→振り返り→改善」を習慣化する必要があります。“学習する組織”とは、言い換えると「失敗を学びに変え、変化を続ける組織」ということになります。
2.“学習する組織”を育てた企業の実践例
一例として、ある製造業では、デジタルツールの導入後に“DX共有会”を毎月開催しているそうです。社員が自分の業務改善事例を発表し、全員で意見を出し合います。最初は数名だった参加者が、今では部門横断で100人規模に拡大しています。重要なのは、ツールの使い方ではなく、ツールを使って何を変えたかを語ること。この“語り合いの文化”が、組織全体に学びを広げていくことにつながります。
3.学びを文化に変える“リーダーの役割”
学習する組織において、リーダーの役割は「教える人」ではなく「学びを支える人」です。経営者が「私は完璧ではない。だから一緒に学びたい」といえるかどうかで、組織の成長速度が左右されるのだと思います。リーダーが学び続ける姿勢を見せると、社員も安心して挑戦できます。これが、「変化に強い企業文化」を支える根幹となります。
4.DXを文化として定着させる5つのポイント
①トップが学ぶ姿勢を示す、②失敗事例も積極的に共有する、③成果よりも“成長”を評価する、④学びの場を「会議」から「対話」に変える、⑤小さな改善を積み重ね、成果を称える。DXは一度の成功では終わらないこと、学び続けることで、進化し続けられることを強く意識することが重要です。
まとめ──
学びが企業を持続させる
「学習する組織」とは、未来を“予測する”のではなく、未来を“創る”組織だと思います。中小企業こそ、柔軟に動ける強みを生かし、日々の学びを積み重ねることで、大企業にはできないスピードと一体感で変化に適応できるはずです。DXの真の目的は、「学びを通じて成長する文化」を築くことなのです。次回は、「現場の創意工夫を引き出す“内発的動機づけ”のマネジメント」をテーマに、DXを支える人材育成と組織マネジメントの在り方を考えます。
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(株)コンシャスマネジメント代表取締役/中小企業診断士
西岡隆(にしおか・たかし)
大学卒業後、会計事務所、監査法人などを経て2001年中小企業診断士登録と同時に西岡経営管理事務所を開設。21年、事業拡張にともない(株)コンシャスマネジメントを設立









