2024年04月19日( 金 )

~姪浜特集~次世代にまちなみを残していくために

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唐津街道姪浜まちづくり協議会 会長 田中 大士 氏

町屋のある景観

 ――姪浜の良さはどこにあると考えられますか。

 田中 意外と知られていないのですが、姪浜は福岡市内で最も町屋が残されている地域です。白壁の古い町家が80軒以上現存しており、なかには築100年以上のものもあります。古くから受け継がれている伝統行事も多く、歴史あるまちだといえます。都市化が進むなかで、古き良きまちなみも残されている、ここに姪浜の良さを感じます。

 ――唐津街道姪浜まちづくり協議会(以下、まちづくり協議会)についてお聞かせください。

代表取締役 岩堀博隆氏
田中 大士 氏

 田中 まちづくり協議会は現在約20名体制で、月1回例会を開き、意見交換を行っております。唐津街道沿いには町屋や寺社仏閣が複数残っており、こうした景観を大切にしながら、地域の活性化を図っていこうという思いのもと、日々活動を行っています。たとえば、春と秋の年2回、唐津街道を中心にガイドツアーを実施しています。毎回コースも時間帯も変え、ときにはガイド中に地元の飲食店で食事をするなど、参加者を飽きさせない工夫を行っています。

 また、姪浜の歴史をクイズ形式で楽しみながら学べる、子ども向けのイベントも行っています。遊びの要素を取り入れることで、子どもたちもまちの歴史に興味をもってくれると考えてのことです。姪浜の各小学校で講師となり、姪浜の歴史について話すこともあります。このほか、地元商店にご協力いただき、かまぼこつくり体験、コンサートや講演会も開催しています。

 ――まちづくり協議会の活動を通じて、世代間交流も促進されそうですね。

 田中 実際に町屋に住んでいる方からすれば、老朽化にともなう補修工事の必要性など、住みづらいと感じることも少なくないはずです。しかし、ガイドツアーに参加された方からは、やはり町屋のある景観が愛される。ツアー中、町屋のなかに招き入れて下さる住民の方もいます。まちづくり協議会の活動を通じて、町屋の良い面を知ってもらうことで、姪浜の歴史を感じられる景観を生かしたまちづくりを行っていければと考えています。

町屋の持つ可能性

 ――姪浜の魅力は何だと考えられますか。

 田中 やはり交通利便性の高さだと思います。また、姪浜駅を起点に、北と南でそれぞれの特色があるところも魅力ではないでしょうか。駅南側は再開発によって都市化が進み、職住近接で住み良い場所です。対して駅北側は、町屋や海など、観光に適した古き良きまちなみが残されています。小戸も姪浜駅から徒歩圏内ですから、マリノアシティ福岡などの大型商業施設の存在感も大きいと思います。

 ――まちづくり協議会として、今後どのような活動を行っていく予定でしょうか。

 田中 建築士の方も呼び込み、専門家の目で町屋のあるまちづくりをどう展開していくかを一緒に考えていきたいですね。地元住民の方にも参加していただく、ワークショップの開催も視野に入れています。まちづくり協議会の半数は姪浜外のメンバーですので、地元の方たちと一丸となって取り組んでいけるまちづくりを推進していきます。

 目指しているのは、姪浜で生まれ育った子どもたちが、大人になって姪浜を出ていった後でも、姪浜のことを思い出し、また足を運んでくれる、住んでくれる―そういうまちにすることです。

 また、町屋に関しては、空いている町屋はあるのですが、借りるのが難しい状況です。店舗として利用しようと思ったら、補修や改修、大家さん用の通路の整備など、相応の費用がかかりますし、家主の方だけでなく、そのご家族にも納得していただく必要があります。まちづくり協議会では今後、家主と町屋を活用したいという方の間を取り持つ活動も、視野に入れています。最近では、町屋を民泊として活用したいという事業者からの相談を受け、現在話が進んでいます。うまくいけば、まちづくり協議会の活動の幅も広がっていくでしょう。

【代 源太朗】

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