2024年05月06日( 月 )

【業界ウォッチ】感性を軸にリニューアルした渋谷パルコ

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渋谷パルコ

 1973年にオープンし、70年代、80年代の若者ファッションやカルチャーに多大な影響を与えたパルコ。併設しているパルコ劇場も演劇を中心に数多くの話題作を上演し、日本の文化の一翼を担ってきた。

 今回建て替えて、11月22日にまったく新しい施設へと生まれ変わった。特定の年齢層や性別にターゲットを絞るのではなく、感性で消費をする「新しいこと、人と違うこと、面白いこと、個性を追求する」都市生活者が、世界中から訪れる場所を目指そうとしている。

 商業施設面積は約4万2,000m2でショップ数は193。年商予定はおよそ200億円。

 「FASHION」「ART&-CULTURE」「ENTERTAINMENT」「FOOD」「TECHNOLOGY」の5本の柱で構成し、それぞれのジャンルをミックスし、お互いの魅力を引き出しあうフロア編集を行った。

 食を施設の重要な魅力ととらえ、“そこに集まり、 コミュニティを形成し、空間と時をともに楽しめるような場所”をコンセプトにテナントリーシングを行った。

 商業施設の飲食フロアとして極めて異色なのが地下1階の 「CHAOS KITCHEN(カオスキッチン)」。

 カラスの丸焼き、オオグソクムシの姿揚げ、鰐の手羽の丸焼き、といった珍妙な料理を提供する獣肉酒家「米とサーカス」をはじめ、新宿2丁目のバー、立ち飲み、食堂といった店舗を路地裏感覚で配置した。

 コンドーム専門店「コンドマニア」やインナーウエアの「ヒップショップ」など物販店も出店し、怪しい雰囲気を醸し出し、まさしくカオス状態だ。

 こうして注目を集めるためにインパクトのある店舗を配置しながら、人気ラーメン店も誘致、売上も確保しながら館の集客装置として機能させようとしている。

 中核となるファッションは、「グッチ」や「ロエベ」といったメゾンブランドやモード系ブランドが出店する一方で、「ミスタージェントルマン」など特定の顧客から高い支持を得ているブランドや、「キャンディストリッパー」といった個性的なデザインのブランドも投入し、エッジを際立させている。

 日本に初上陸となるカリフォルニア発のセレクトショップ「ベイト」も誘致、「ポルトパルコ」と「ガイザーパルコ」といったパルコが編集する売り場を設け、旬の期間限定ショップも展開、ショーやインスタレーションも実施していく。

 パルコのお家芸であるアートとカルチャーでは、地下1階に「ギャラリーエックス」を設け、アニメ、ゲーム、ミュージックなど新しいコンテンツを発信していく。

 4階の「ほぼ日刊イトイ新聞」による東京文化の案内所「ほぼ日カルチャん」では、展覧会やイベントを展示や物販を通して紹介する。また、8階の「ほぼ日曜日」では、展覧会やライブなどありとあらゆる「表現」を提供する。

 6階はジャパン カルチャーを発信するゾーンを設置し、「ニンテンドートウキョウ」や「ポケモンセンター シブヤ」「刀剣乱舞万屋本舗」などが集結する内外に向けた情報発信基地とした。

 5階「CUBE」は、店頭販売に加え、ECを併設したオムニチャネル型売場とし、デジタル化時代における新しいショッピングを提案する。

 エンターティメント機能は636席のパルコ劇場(20年3月オープン予定)と自社運営のミニシアター「ホワイト シネクイント(WHITE CINE QUINTO)」。

 後者ではジャンルを問わず良質な作品を上映するほか、海外ミュージカルやファッションブランドのコレクションなど映画以外の作品も上映する。オープニング作品は草間彌生のドキュメント映画。

 新生パルコは、不特定多数のためではなく、標榜する個性を追求する層に向けて特定の顧客をもつテナントを集積し、個々の力で集客しながら、その集合体で相乗効果も狙う商業施設。

 同時期に開業した「渋谷スクランブルスクエア」とは対照的で、お互いに渋谷の新たな魅力を高めていこうとしている。

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