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2019年12月23日 13:00

ベストセラーとなった「反日種族主義」とその反響(前)

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 日韓関係が非常に冷え込んでいる。慰安婦問題と徴用工問題などの問題が両国の関係を以前より悪化させており、残念である。慰安婦問題や徴用工問題に対する両国の認識の差は大きく、日韓両政府の主張は平行線をたどっている。

 このような状況下、韓国の経済学者など6人の学者が出版した「反日種族主義」という本が韓国で話題となり、ベストセラー1位となっている。

 本の内容は、韓国で歴史教育を受けた人たちにとって、今までもっていた歴史観を正面から否定する衝撃的なもので、韓国側にとっては、不都合な事実が数多く記述されている。

 同書の内容が事実であるかどうかをめぐり、韓国では賛否両論が巻き起こっている。実は、今回の本は、YouTubeの映像講義として18年と19年に46回にわたって放送されたものを編集して、単行本として出版されたものだ。

 今年7月に出版された同書は、2カ月後には20万部売れるベストセラーとなっただけではなく、日本語版も出版され、日本語版もアマゾンランキング1位となっている。

 筆者のように日本の書籍をいつも読んでいる人にとっては、日本で主張されている植民地時代に対しての日本側の時代認識を書いたものだが、韓国で歴史教育を受けてきた若い世代にとっては、この本の内容は今まで知っていた知識と正反対のものが多く、かなりショッキングなものとなっている。

 韓国における反日感情の根源、そして歪曲された歴史解釈や韓国の社会風土を辛辣に批判する同書は、植民地時代に対する韓国人による新たな歴史認識だろう。

 著者が指摘する、韓国社会は、集団の利益が優先され、個人の権利や主張は犠牲にされることが多いという意見には私も同意する。しかし、種族主義といわれるほど、韓国社会が皆同じ意見で凝り固まっているかというと、そうでもないと個人的には思っている。

 同書で、今までの教育内容と違った事実があることについて、問題提起したこと自体は、韓国のような社会では、かなり勇気がいる行動である。しかし、著者の意図とは違い、間違ったメッセージを与えてしまう恐れも十分あるのではないかと思う。

 すなわち、韓国の良識者は、このような認識をもっているという間違った認識を日本に与えてしまう危険性があることと、これとは少し違う意見も韓国にはあるということを指摘しておきたい。

 反日教育を受けた若い世代のなかには、確かに日本人を良くないと思っている人が多い。しかし、それはあくまでも漠然とした感情であって、憎悪のような具体的なレベルの感情ではない。実際に、海外旅行などで、日本を経験する機会が多くなっている現在では、自分の実際の経験を通じて、日本に対する認識が修正されることも多い。

 日本に行って三回も忘れ物をしたが、そのたびにそれを返してもらうことができ、日本人の市民意識の高さに感動した例など、枚挙に暇がない。それに、日本と韓国は経済的に緊密に結びついており、相互協力が両国の発展に欠かせないと認識している韓国人は多い。両国の経済人であれば、その事実に同意しない人はあまりいないだろう。

 要するに、韓国人のなかでも、立場によって、日本に対する認識はまちまちである。それを韓国の一部の政治家やマスコミの主張を鵜呑みにして、韓国人はまるで反日主義で固まっているような主張には私は同意できない。

 日本のマスコミも同じである。一部の日本人著者は間違った事実をあたかも事実であるかのように書籍に書いているが、そのなかには韓国人の私からすれば、事実ではない内容が交じっている場合が多い。同書の著者が指摘しているように、韓国社会に対する「物質主義とそれを守るための嘘」に対する警告は、傾聴に値するものである。しかし、韓国社会を知らない人に韓国社会が嘘で塗れた社会であるかのように認識されることも良くない。

(つづく)

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