NTT西日本がインフラ点検に参入 働き方を変える!?「ドカタTECH」(後)
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2020年01月09日 07:00

NTT西日本がインフラ点検に参入 働き方を変える!?「ドカタTECH」(後)

(株)ジャパン・インフラ・ウェイマーク

売上高300億円は通過点

 JIWの社名には、「NTT西」が付いていない。JIWがNTT西の完全子会社なのは事実だが、「国内の全インフラ点検を目指す会社なのに、NTT西を前面に打ち出すわけにはいかない」からで、そこには「JIWをインフラ事業者が共同で出資して、AIなどの知財を共有するための会社にしたい」という思いがあった。JIW設立に際して柴田社長は、あるNTT西幹部から「しっかり新しい日本をつくってこい」と激励を受ける。そして19年4月、JIWを設立。設立時の社員10名の大半は、NTT西からの出向組だった。

 JIWは、東京・銀座に本社を置いている。「なぜ大阪ではないのか」という素朴な疑問が湧くが、その理由はシンプルで、「オールジャパンでビジネスをするには、東京以外にはない」という判断があった。というのも、インフラ事業会社トップ25のうち、実に9割が東京に本社を置いているのだ。8月には、大阪・緑橋に出先を設置。将来的には、全国各地に拠点を設ける考えだ。

 会社設立から半年だが、「当初の計画を上回るペース」(柴田社長)ですでに27府県で共同プロジェクトが動き始めているほか、インフラ事業者との共同出資の話も進んでいる。10名の社員では仕事量に追いつかないため、倍の21名に増強。19年度中には、さらに倍の42名に増員する予定だ。新たな社員には、元公務員土木技術者などその道のプロが含まれる。

 JIWは25年度に売上高300億円を目標に掲げている。柴田社長にとっては、「最も弱読みの確定的な数字」であって、通過点に過ぎない。最終的には「4ケタ億円」の売上を目指している。「計画通りしっかり信頼を積み上げていけば、決して不可能な数字ではない」と力を込める。

建設業の働き方を変えたい

代表取締役社長CEO・柴田 巧 氏
代表取締役社長CEO・柴田 巧 氏

 柴田社長が日本のインフラ点検にこだわるのには、理由がある。柴田社長の父親は、地方で建設会社を営んでいた。柴田社長にとって、いわゆる“3K”のイメージそのままの会社で、家業を継ぐ気もなく、大学で情報工学を学び、NTT西に就職した。その父親が18年に会社を廃業した。それを聞いたとき、父親の廃業は「建設業界の縮図だな」と感じた。それと同時に、「建設業界を若者が志すような産業に変えたい」という思いが芽生えたという。

 「私は日本で生まれ、日本で育った“純ジャパニーズ”。自分が生まれ育った日本のインフラために貢献したいという思いが抑えきれなかった」と振り返る。今では、「JIWはライフワーク」といってはばからない。

 ドローン点検によって、建設業界はどう変わっていくのだろうか――。22年になれば、ドローンの都市部での自動航行や目視外飛行が可能になる見込みだが、そうなるとコンピュータープログラムでドローンを制御することになる。「コンピュータープログラムのアルゴリズムを一行書き換えるだけで、ドローン制御の品質が飛躍的に上がるような世界」だからだ。「たとえば、1~2時間プログラムをいじれば、あとはコンピューターやAIが勝手に仕事をしてくれる。それで月20万円の収入が得られる。ドローンによって、そんな働き方が可能になる」(柴田社長)。

 柴田社長はJIWを「ドカタTECH」企業だと自称。「ドカタTECHによって、建設業の働き方を変える。これがJIWのミッションだ」と力を込める。

世界的企業と業務提携

 NTT西グループには、ドローン点検のノウハウがある。ただし、それは通信インフラに限ったノウハウだ。ほかのインフラ点検は、インフラの内容が異なるため、きちんと点検できるか未知数の部分があった。たとえば、点である鉄塔と線である電線とでは、空撮ポイントなどが異なる。

 そこで19年7月、マレーシアのスタートアップ企業で、電力インフラ点検などの実績をもつエアロダイン(Aerodyne)と業務提携を結んだ。エアロダインは年間4万回以上のドローン飛行実績をもつアジア有数のドローンカンパニーで、18年7月に日本法人(エアロダインジャパン(株)、東京都渋谷区)を設立している。エアロダインからノウハウなどの提供を受ける代わりに、JIWがエアロダインのサービスを販売するカタチだ。将来的には、エアロダインがもつ世界的なネットワークを活用し、日本企業が海外で保有するインフラの点検サービスを提供していく考えだ。

 柴田社長は、「建設業界は日本の産業のなかで、最もITリテラシーが低い」という。一方で、業界内のしがらみは強く、良い技術だからといって、簡単には乗り換えない体質がある。「新しい技術にシフトできない因習的なモノがある」と指摘する。JIWにとって、そこをどう突破していくかが1つのカギになる。19年10月には国土交通省OBを会社顧問に迎えるなど、外堀対策も進めつつある。「建設業を変えるには、“無邪気にドローン点検の良さをいってみる”ことを心がけている。おそらく、それが一番の近道だ」と笑う。

(了)
【大石 恭正】

<Company Information>
代 表:柴田 巧
所在地:東京都中央区銀座1-6-5銀座Bビル3F
設 立:2019年4月
資本金:8億円(資本準備金含む)
URL:https://www.jiw.co.jp

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