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2020年04月25日 08:09

福岡市東区の分譲マンションが傾斜 販売業者の対応に憤る住人

 「マンションが傾き、居住者の生活に支障を来している」――――昨年12月、テレビのワイドショーで取り上げられた欠陥マンション疑惑。床に置かれたビー玉が勢いよく転がったり、玄関ドアが開かなくなったり、というショッキングな映像とともに、憤るマンション居住者の落胆する姿が映し出されていた。築25年が経過する、そのマンションは福岡市東区にあった。居住者が憤る理由は、施工不良を認めないマンション販売業者の不誠実な対応だった。

 テレビで映し出されたマンションの外観はすべてモザイクがかかり、一般の視聴者にはどのマンションか特定できない加工がされていたが、今回、特別取材班は当該マンションを特定することができた。

 ここで、昨年12月に放送されたテレビ放送を振り返ってみる。同マンションは竣工から2年も経過しない時期に多数のクラック(ひび割れ)が発生し、管理組合と販売業者との協議が開始されていた。その後に建物が傾斜していることが発覚し、管理組合とゼネコンを含めた販売業者側との協議が続いた。しかし、販売業者が不誠実な対応に終始したため、管理組合は調停に持ち込んだが 調停は不調に終わっていた。

 マンションの不具合は通常では起こり得ないものばかり。管理組合の測量によれば、傾斜は最大で98mmあった。これに起因すると思われるかたちで「玄関ドアの枠が変形し、開閉しづらく交換した部屋もある」「天井と壁の境目に隙間ができて、隣の部屋からの光が漏れている」などの“症状”が表れている。

販売業者・建設業者の不誠実な対応

 このマンションに限らず、過去の事例においてもマンションの欠陥が発覚した場合に誠実に対応する業者は稀である。その理由は「お金」に他ならない。簡単な手直し程度の補修であれば、利益を割り込むことはないが、構造体に手を加えるほどの大がかりな工事となれば、利益が吹き飛ぶどころか、会社の存続にまで影響を与えかねない。

 マンション区分所有者は、一般的に建築技術に関しては素人である。これに対して、分譲業者や建設業者は建築のプロであり、技術論においては区分所有者を圧倒することができ、自身に有利な方向に議論を進めることも可能である。

 このマンションにおいても、販売業者は「不具合は主要構造部分に起因するものではない」「不具合が主要構造部分に影響を与えることはない」などと回答している。建物の傾斜(101mmもの高低差(販売業者の調査))についても、「建物の傾斜の原因は特定できない」「今後 原因追究は行わない」と区分所有者を突き放す回答をしている。協議は決裂し、2018年5月、管理組合は調停を申し立てたが、1年後の2019年5月、調停は不成立となった。

杭が支持地盤に到達していない可能性は?

 マンションの傾斜問題で焦点になるのは、杭の支持層への到達である。同様の事例として、横浜の傾斜マンションが記憶に新しい。(横浜の事例では、分譲会社である三井不動産レジデンシャルが建替えを決定している。)この東区のマンションは丘陵に建てられており、これが杭打ちに与えた影響はないものか―――。

建築構造の専門家は次のように説明する。

 「傾斜地の支持地盤は敷地の表面の傾斜を見て判断するものではなく、適切な地盤調査に基づいて、敷地内で一定ではない支持地盤の深さを推定し杭の長さを決定する。設計の時点では、杭ごとの支持地盤の深さは推定であるので、施工時に支持地盤の深さを確認し、杭が支持地盤に到達するように施工をすることはいうまでもない。そのため、このマンションの杭は工場で製作する既製杭ではなく、現場を掘削し支持地盤を確認して施工をする「場所打ち杭」が採用されているのではないか。このマンションが傾斜した原因は施工時の手抜きにより、杭が支持地盤に到達していないことによるものとみて良いだろう」

早々に詳細な調査を実施

 同マンションは、時期をずらして複数棟が建設されているが、施工上の不具合が生じているのは、問題の棟だけ。今年1月から詳細な調査が実施され、マンションの傾斜などの不具合の原因が明らかになる予定だ。

 取材に応じたマンションの区分所有者は「当時は人気物件を引き当てたと喜んでいた。販売会社の看板から品質に間違いはない。資産価値も高いはずだと信用していたのに」と落胆する。

 特別取材班では、今後判明する調査結果を含め、詳報していく。

【桑野 健介】

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