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2020年01月20日 10:59

「逃亡者」カルロス・ゴーンの会見を仕切ったPR(広報)会社~仏・イマージュ7と日本のサニーサイドアップ(前)

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が、レバノンで開いた会見は、フランスのPR会社が表舞台に立った。日本メディア向けの会見は、日本のPR会社が仕切った。PR(広報)会社とは、どんな仕事をするところか。

会見に朝日新聞、テレビ東京、小学館の3社しか呼ばなかったワケ

 1月8日、カルロス・ゴーン被告が、レバノンで開いた記者会見で、目を引いたのは、質問の際にマイクを回すなど会を仕切ったブロンドの女性。彼女はフランスのPR会社「イマージュ7」を率いるアンヌ・メオ氏なる人物だそうだ。

 会見には、日本のメディアは排除され、朝日新聞とテレビ東京(ワールドビジネスサテライト)、小学館(週刊ポスト・女性セブン)の3社のみだったことが話題になった。

 代表取材なら、共同通信とNHKが普通だが、なぜか上記3社が選ばれた。ゴーン被告の意向を踏まえ、メディアを操るのに長けたメオ氏が決めたのだろうか。

 3社には共通点がある。「ゴーン本」を出していることだ。テレビ東京の親会社・日本経済新聞社は、ゴーン逃亡者の「私の履歴書」を連載して、単行本、文庫本化した。ほかにも「カルロス・ゴーンの経営論」など多数のゴーン本を出している。日経=テレビ東京が選ばれたのはわかる。

 朝日新聞はゴーン逮捕をスクープし、その後もゴーン報道で先行した。検察に強い朝日を、目の敵にしてよさそうだが、しっかり選ばれた。朝日新聞は「ゴーン道場」を朝日新書で出版している。小学館の出版物には「カルロス・ゴーン物語」がある。

 ゴーンに批判的な報道をしているメディアが排除され、好意的なゴーン本を出しているメディアを優遇したのであれば、わかりやすい。

ゴーン会見を仕切る「女王蜂」と呼ばれる凄腕の女性

 PR会社イマージュ7とは、どんな会社か。インターネットで調べてみた。

 元フジテレビ解説委員安倍宏行氏が創刊したニュースの解説に特化したウェブ・メディア「ジャパン・インデプス」の「ゴーン広報戦略担う『女王蜂』」(1月12日付)が詳しい。

 「イマージュ7」を率いるアンヌ・メオ氏は1954年7月生まれの65歳。

フランスで「女王蜂」と呼ばれ、政界、産業界の有力者と依頼者との仲を取り持ち、メディアをたくみに操る広報戦略の専門家

と紹介されている。

 彼女が仕掛けた仕事に、日本の鉄鋼業界で知らぬものがいない名前も登場する。

 特に有名なのは、世界で有数の資産家であるラクシュミー・ミッタル氏をフランスの億万長者でビジネスマンであるフランソワ・ピノー氏に引き合わせるなどし、有力者とのコミュニケーションと広報を支援し、2006年には無事アルセロール・ミッタル社をつくり上げるのにも貢献したことだろう

 ラクシュミー・ミッタル氏(69)はインドの寒村の生まれ。1976年にインドネシアに渡り電炉会社を創業。買収につぐ買収で、わずか30年で世界最大の鉄鋼メーカーに成長させた。2006年、ミッタルスチール(オランダ)によるアルセロール(ルクセンブルグ)の買収劇で、一躍時の人になった。アルセロール・ミッタルは粗鋼生産世界一だ。

 ラクシュミー・ミッタル氏が、日本円にして75億円相当を費やした娘の結婚式をヴェルサイユ宮殿で執り行ったことは逸話にもなっているが、その企画にもアンヌ・メオ氏の影が見え隠れする〉

 「女王蜂」とはミツバチの巣のなかに1匹はいる特別な蜂。組織において最も重要かつ支配的な存在で、状況をたくみにあやつる女性を「女王蜂」という。

 そんな「女王蜂」と呼ばれるフランスで強力な力をもつアンヌ・メオ氏を、ゴーン被告が知らないはずがない。逮捕後、真っ先に契約したのが広報会社「イマージュ7」であった

 ゴーン逃亡者が次々に繰り出す欧米やブラジルのメディアとの発言は、「女王蜂」の広報戦略に基づくものだそうだ。

スポーツ界にエージェントの考え持ち込んだ女性社長

 ゴーン被告は1月10日、日本のメディア向けの会見を行った。NHKと小学館の2社を代表に指名し、事前に質問事項を提出させる方式で行われた。

 「デイリー新潮」(1月15日付)が「ゴーン逃亡劇に浮上する『日本人』 レバノン会見を仕切った日本の有名企業とは」と報じた。

 10日に日本メディア向けの場が設けられだが、これを仕切った企業が「サニーサイドアップ」だったという。サッカーの中田英寿のマネジメントで知られる有名PR会社だ。

 同社の関係者がこう明かす。

 「8日の会見も我が社が手伝いました。うちの次原悦子社長はもともとゴーンと面識があり、保釈後に本の出版の相談に乗っていた経緯があります。しかし、あくまで依頼があったため交通整理を引き受けた。それだけですよ」

 サニーサイドアップ(20年1月にサニーサイドアップホールディングスに社名変更)は、企業や商品、イベントなどのPR(広報)活動を始め、スポーツ選手や文化人のエージェント活動を主な業務とする東証一部上場企業である。

 母親から会社を引き継いだ次原悦子社長(53)は、スポーツの世界にエージェントという考えを最初に持ち込んだ。エージェントとは、トップアスリートと個別に契約を結んで、本人に代わって取引、契約などを行う者。日本語では代理人という。

 その名が広く知られるようになったのは、1995年にサッカーの中田英寿選手(当時)とマネジメント契約を結んだこと。これにより無名だったサニーサイドアップという会社が一躍有名になった。中田氏は現在、同社の株式の5.4%を保有する第3位の大株主だ。
 水泳の北島康介、陸上の為末大、ゴルフの上田桃子、テニスの杉山愛、歌手の大黒摩季など著名人のマネジメントを引き受けた。

 ほかにも、パンケーキブームの火付け役となった「bills」のプロデュースなど、幅広い分野での”仕掛け人集団”として知られている。

(つづく)
【森村 和男】

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