2024年04月25日( 木 )

(株)コーセーアールイーが調査報告を実施

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 地場総合不動産業の株式会社コーセーアールイー(福岡市中央区 代表:諸藤敏一氏)は、同社連結子会社である株式会社コーセーアセットプランでのローン申請書類の書き換え疑義の調査報告について発表した。なお、これら疑義についての調査は、同社の利害関係のない第三者・中立的立場の長島・大野・常松法律事務所が実施した。

 発表の要点は、以下の通り。

【不適切行為の内容】

1:当時の同社連結子会社代表取締役社長は、営業部門に所属する従業員から当該承認を求められた際に、顧客から受領した源泉徴収票(場合により給与明細書または確定申告書の追加もあり)の写しにおける収入金額を書き換えて増加すること。そして、増額後の具体的な金額を指示していた。

2:売買目的の中古物件の賃貸借契約書の写しへ、家賃の金額を増額させるように書き換えること。そして、増額後の具体的な金額の指示を行った。連結子会社代表から指示を受けた当該従業員は、当該指示に従って書き換えを行った上、書き換え後のローン申請書類を金融機関にFAX 送信と交付を行った。なお、書き換えによる増額の幅は、案件ごとで異なり、収入金額の書き換えについては、最大 200 万円の増額が判明したなか、書き換えの大半が100 万円以下の幅で増額していたものであった。また、家賃の書き換えについて、最大 7,000 円の増額が明らかになったなか、その大半は2,000 円から 5,000 円の幅での増額であったことが判明した。

3:同社連結子会社において確認された不適切行為の時期は2013年から2018年で、収入金額の書き換え案件 68 件のローン申込金額の合計は 9 億 1,110 万円ある。その68 件のうちローン実行に至らなかった8件分のローン申込金額の合計は1億 770 万円である。また、賃料の書き換え案件 18 件4のローン申込金額の合計は 2 億 2,400 万円であったことが判明。なお、調査対象となった13年から19年までのローン申請の件数合計は、1,022件であった。

4:同社連結子会社以外での、同社および同社関連会社による書き換えなどの不適切行為は確認されなかった。また、金融機関において今回の書き換えなど不適切行為を認識した上で融資を実行した事実は確認されていない。

再発防止に向けて

 同社および同社連結子会社の組織改編やガバナンスの見直しの実施。内部監査の強化、リスク管理体制の再整備。内部通報制度の確立など社内コミュニケーションの改善。ローン申請書類の扱いなどの厳格化などを速やかに実施する方向を明言している。

 なお、当該企業であるコーセーアセットプランの代表取締役の中川幸治氏は辞任した。さらに、コーセーアールイー代表取締役・諸藤敏一氏ほか4名の取締役は、報酬減額10〜20%(1カ月)となった。

 福岡を代表する総合不動産業である同社の今回の一件で、業界内外には激震が走った。業界をリードする同社は、事業構築のお手本となる存在であることが使命である。今後は、信頼回復に向け、真摯かつ地道な事業構築を実行することが必要となるだろう。

【河原 清明】

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