• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年02月10日 13:00

【シリーズ】生と死の境目における覚悟~第1章・誰もが死を免れない

1:子どもは時間をかけて成長するのが必然

 初孫と対面する。1年間は非常に長く感じた。初めての体験は刺激的で、ドラマチックだからだろう。2人、3人目ともなると慣れてきて、成長を見守っていると1年間が一瞬のうちに過ぎてしまう。

 現在、3人目の孫は5カ月になる。3カ月を迎えるころにはベッドのなかで「この世界はいったい、どうなっているのか」と興味をもち、四方八方を眺めようと必死で努力する。4カ月目、首が座ってくるころには寝返りを始める。

 寝返りは左右の腕力が強い方向から行う。うつ伏せの状態になると、泣きながら「起こしてくれ!!」と訴える。寝返りの悪戦苦闘の過程で、次第に腕力がつき、足で踏ん張る力が養成され、次の「はいはい」の段階へとつながっていく。そして、さらに自力で立つ段階に成長が進む。

 種・ホモサピエンス(人)は親の援助なく、大人になるための研鑚を積んでいく。頭脳の発達も同時に進行し、7歳前後で人として一人前の機能をもつようになる。

2:老化・死に至る道程は時間がかかる

 子どもの成長には時間を要する。同様に「老化・死に至る」道程にも時間がかかる。

 子どもの成長と比較すると、老化のスピードはゆったりとしている。生きることは、すなわち「死から逃避することはできない」という厳しい現実でもある。「30歳あたりから老化が始まり出す」と指摘されているが、鮮明に自覚するようになるのは50歳を境にしてではないだろうか。そしてある日、老化が一気に襲ってくる。

 最近、寂しい場面にしばしば直面する。ゴルフ仲間でもある友人がプレー不能になるのである。友人は「ゴルフができなくなって悔しい」と泣く。自宅に閉じこもる生活になってしまった友人は、テレビでプロゴルフを観戦するのが唯一の楽しみになってしまう。

 男性の場合、「いかに78才を元気にパスできるかが、長生きの分岐点」であると確信し、実際にそれを体験している。ゴルフができなくなってしまうという、先ほどのような例をこの数年、数多く目撃してきた。フルスイングをして腰に激痛が走り、ゴルフを断念した友人もいる。やはり、ゴルフのプレーにおいては徒歩に徹することをお奨めする。

 身内が脳梗塞で意識不明に陥って、すでに7カ月になる。気の毒だが、家族内でも厳しい選択をする時期が迫っている。このケースも78歳での発症だ。

 残念なのは最近のことである。すばらしい経営者が癌で亡くなった。やはり78歳だった。癌の判明から8カ月で急逝された。「あんな慎重な方が、どうして健康診断を怠ったのであろうか!」と悔やんでいる。どうであれ男性は「78歳」というハードルを勢いよくクリアすれば、元気な状態で85歳までは到達できる。女性の場合、老後の結末に接触したことがないので意見・提案は不可能である。

3:再起できるかどうかは情報収集する努力とネットワーク力

 多少、本題と外れているが、「もう駄目だろう」とあきらめられていた人が元気に蘇生された例がある。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長・森喜朗氏が「不死身」の典型だろう。再起のポイントは情報収集をする努力と、絶大な信用がある医者との接点、そして、自己資金力である。

4:本人が人生の「最終ゴール」を描く覚悟、しかし現実はままならない

 本人が人生の最終ゴールを明確に設定しているのであれば、幸せだが、現実は設定どおりにはいかない。

 (1)「卓美さん(仮名)は風呂場で亡くなっていたそうだ。惜しい人だったが、家族にとってはありがたかったろう」という『ピンピンコロリ』な死に方への憧れの念は強い。しかし、長期にわたって寝たきり生活を余儀なくされることもあり得る。こうなると卓美さん本人も悔しくて悔しくてたまらないだろう。意識がしっかりしているのだから…。

 (2)80歳を超えて死に至るパターンは、癌の全身転移からの肺炎が死因になるケース、認知症から体力が衰弱し、死に至る例、脳梗塞などで意識不明のまま安楽死を決断するケースなど様々である。最終ゴールを描いてもままならないのが現実なのだ。現在、幸福な成仏を迎えるとみられているのが、老人ホームを終の棲家として「6~10年、仲間と暮らして亡くなる」というパターンである。

 葬儀の最前線では親の遺体を火葬している間、家族が逃亡するという驚くべき悲惨な事例を耳にすることもあり、「一体、家族の絆とは何か!!」という課題を突きつけられる。

 一方、本連載では親の介護に尽くしてきたドラマ(事実)をレポートする。まともな感覚の持ち主なら、思わず涙を流すことだろう。「あぁ、日本にはまだまだ、すばらしい家族関係が残っているのだ」と感動するはずだ。

 死を目前にして当事者・本人の人生そのものが問われる。「俺は、私は、伴侶、子どもたちと、どのような関係を築いてきたのだろうか!」と過去を振り返りながら、疑心暗鬼になるだろう。「いや、家族の関係性が問題ではなく、自己中心主義=世相が己を『犬畜生』扱いで、あの世に送り出すのである」と自身で納得するしかないのか。

 本シリーズでは「生と死」の狭間で、人々はいかなる覚悟で立ち向かえるかを考えてもらいたい。ぜひ、ご愛読ください。

(つづく)

※介護経験のある方は、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。
hensyu@data-max.co.jp

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年02月24日 07:00

日本発の「折紙工学」産業化に向けて離陸へ(4)NEW!

 萩原氏は1996年、東京工業大学教授に転じた。日産時代はアメリカの安全基準をクリアすることに精一杯だったが、「外に出てみて振り返って考えたときに、改めて衝突について...

2020年02月24日 07:00

【業界ウォッチ】第54回スーパーマーケット・トレードショー2020~Future Store “Now”NEW!

 幕張メッセにおいて2月12日~14日、スーパーマーケットを中心とする流通業界に最新情報を発信する商談展示会「第54回スーパーマーケット・トレードショー2020」が開...

2020年02月23日 07:00

日本発の「折紙工学」産業化に向けて離陸へ(3)

 こうした製品化への応用が進む折紙工学だが、萩原氏が折紙工学の研究に向かうきっかけは自動車の衝突対策であった。萩原氏は1972年、工学系の修士課程を終えて日産自動車(...

2020年02月23日 07:00

コンビニ業界大激変時代~月刊コンビニ 編集委員 梅澤 聡 氏(6)

 セブン-イレブンは、従業員の作業時間と作業量の削減を目的とした省人化の実験を19年7月「セブン-イレブン町田玉川学園5丁目店」(東京・町田市)でスタート、同年12月...

2020年02月22日 07:00

日本発の「折紙工学」産業化に向けて離陸へ(2)

 折紙工学を基に実用化された製品も登場してきている。萩原氏は、衛生用品の大手メーカー、ユニ・チャーム(株)と共同で、平面の紙を立体的に表現する「折紙工学」を応用してフ...

2020年02月22日 07:00

コンビニ業界大激変時代~月刊コンビニ 編集委員 梅澤 聡 氏(5)

 チェーン本部がいま最も腐心するのが、店舗運営におけるコスト削減である。納品時の検品レスやスライド棚による作業軽減、食器洗い機の導入、カウンターフーズのセルフ販売、発...

2020年02月21日 17:23

【熊本】動き始めた熊本空港アクセス鉄道~熊本地震が“追い風”

 熊本県で長年懸案になっていた熊本市街地と熊本空港を短時間で結ぶアクセス交通の整備計画が動き始めた。2016年4月の熊本地震への復興支援が“追い風”になり、定時輸送で...

2020年02月21日 16:56

『第10回日本山岳遺産サミット』に参加して

 「第10回日本山岳遺産サミット」が2月15日(土)、東京都千代田区一ツ橋にある一橋大学講堂で開催された。日本山岳遺産サミットとは、2019年度の日本山岳遺産認定地の...

2020年02月21日 16:28

通期予想、達成厳しいイズミ、MV九州、ナフコ~主要6社、1月末現在の売上高進捗状況

 2、3月期決算まで残すところ1~2カ月を切った。そこで月次売上増減率を公表している6社を対象に1月末現在の売上高の進捗状況を調べた。

2020年02月21日 15:00

厚生労働省公表の「ブラック企業」2月18日発表 福岡労働局分

 厚生労働省は17年5月から、労働基準関係法令に違反し書類送検された企業の一覧表をホームページに掲載している。

pagetop