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2020年02月26日 13:30

縮むニッポン、健康寿命延伸で「生涯現役社会」は実現するか(前)

 第201通常国会が令和2年1月20日に召集され、安倍晋三首相は衆参両院の本会議で行った施政方針演説のなかで、内閣の最大のチャレンジと位置づける全世代型社会保障制度に関し「本年、改革を実行する」と表明した。2025年、日本では団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に突入し、社会保障費の急増する見通しだ。年金改革とともにいよいよ待ったなしとなった国民皆保険の抜本的な見直しが本格的に始まることとなる。

迫りくる2025年問題、社会保障費が急増

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 日本は2015年の国勢調査で、大正9年の調査開始以来右肩上がりを続けた人口は約1億2,700万人をピークに初めて減少に転じ「転換点」を迎えた。さらに、2019年には日本における出生数が推計より2年早く90万人を割れ、人口減少がますます加速しだした。

 同じく2019年には年金受給開始年齢の選択肢の幅を75歳まで拡大する方向も厚生労働省の審議会で決定され、「老後の生活を維持するには公的年金だけでは2,000万円不足する」というニュースが世間の注目を浴びた。

 世界的な人口学者ロン・スケルドンSussex大学名誉教授(イギリス)は「日本のような低レベルにまで出生率が下がった国で人口増加に転じられた国は世界史上先例がない」と述べているが、万一奇跡的に日本の出生率が何らかの突発的な理由で大幅に上昇し始めたとしたとしても、今日生まれた子どもが納税者となり社会保障保険者となるには20年かかり、その間にも団塊の世代やそれ以降の人間たちが次々と後期高齢者となっていく。当然「社会保障負担」が増加し、同時に給付水準が下がっていくことは避けられない。

 そして、ここにきてクローズアップされているのが2025年問題だ。「団塊の世代」が75歳以上の「後期高齢者」に突入する分岐点となる。この世代の人口は約800万人とも1,000万人とも言われており、一斉に後期高齢者になることによって介護や医療などの社会保障費が急増することが懸念されている。

医療保険負担を引き上げか

 とくに問題となるのが後期高齢者医療保険制度。75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険(健康保険や共済組合など)から自動的に後期高齢者医療制度に切り替わる。

 日本は、国民健康保険と被用者保険(社会保険)の二本立てで、国民全員が健康保険制度に加入することを実現してきたが、一方で、所得が高くて医療費の低い現役世代のうちは勤務先の被用者保険に加入し、リタイアして所得が下がり医療費がかさむ高齢者になってから国保に加入するという構造的な問題があった。

 そのため、高齢者の医療を社会全体で支える目的で2008年からそれまでの老人保健制度に代わって設けられたものだ。これによって、保険料を納めるところと使うところが一元化され、財政や運営責任が明確になり、現役世代と高齢者の費用分担関係をはっきりさせ、さらに高齢者間においての費用の負担も公平になるといったメリットがあった。しかし、そうはいっても後期高齢者全体の医療費がこれで減るわけではない。

 高齢者の自己負担は現在、現役並みに所得の高い一部の人を除いて原則70~74歳は20%、75歳以上は10%となっている。しかし、75歳以上の医療費は約16兆円に上り、このうちの実に40%は現役世代が支払う健康保険料からの支援金が占めている。そこで2019年11月、政府は2022年からをめどに75歳以上の医療保険負担を20%に引き上げる考えを示した。厚生労働省は現時点では詳細については慎重な姿勢を崩していないが、今年(2020年)夏前をメドに検討会議の最終報告で結論を出す予定となっている。

医療保険給付が2025年に54兆円

 厚生労働省の推計では、2025年の医療保険給付は現時点より12兆円以上増えて54兆円となる見通しだ。さらに2025年を境に団塊の世代が後期高齢者になることで、医療や介護にかかる費用が段違いに増えることは間違いない。

 年金は、労働者の給料から天引きされる年金保険料がそのまま支給される賦課方式で運営されており、基礎年金の給付のうち半分は税金でまかなわれているため理論上は年金制度がなくなることはない。しかし、少子高齢化が進めば税金を払う人が少なくなり、受給者が増える。そのため、支給金額の減少や支給年齢の引き上げなどをせざるを得なくなり、前出の「老後の生活を維持するには公的年金だけでは2,000万円不足する」という問題になる。

 今の日本は、国のPL(Profit and Loss Statement)バランスを取るために、労働人口、つまり納税者を増やして、社会保障負担を軽減し給付を下げることが至上命令となっている。そこに追い打ちをかけるのが、この2025年問題である。その施策として急浮上したのが、海外からの労働者の受け入れと、今まで労働者として計算をしていなかった高齢者の労働市場への再登用だ。この高齢者の労働市場への再投入で必須条件となるのが「健康」だ。

(つづく)
【継田 治生】

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