2021年12月01日( 水 )
by データ・マックス

国境を越えた家族の絆(中)

 福岡市中央区桜坂に(株)クレタ・シラキスという会社がある。定款では食品の製造、販売及び輸出入業となっている。具体的にはギリシャ・クレタ島からオリーブ油を輸入し、通信販売しているのである。この会社のデミトリ・シラキス副社長の国籍はカナダだが、その起源はギリシャ・クレタ島だ。東京上智大学に留学するために日本へやってきた。
 そこで福岡市出身の陽子さんと知り会い結婚。日本で生活しながら日本人の食生活、特に食油に関心を持った。と言うよりも懸念を抱いた。サラダ油の弊害にあまりにも無頓着なのである。そこでデミトリ氏は同氏のルーツ・クレタ島からオリーブ油を輸入して日本人の健康に貢献することを決意したのである。まさしく国を超えたビジネスの見本を同氏は体現している。彼の手記を紹介する。

日本の油屋のお孫さんと恋に落ちて

 さて、妻のファミリーのことも少しお話しさせてください。
 私と陽子は大学で知り合い、結婚しました。最初は彼女の先祖や家族のことなどまったく知りませんでした。でも、何という偶然でしょう。彼女の祖父は、明治時代から続く福岡県の菜種油屋さんの3代目。いまは叔父さんが4代目当主を継ぎ、原料や製法にこだわった胡麻油や菜種油をつくって売っています。だから陽子の血には日本のおいしい植物油がたっぷり流れていると思います。

 その陽子と私が結婚し、女の子が生まれました。娘のアドレアナです。彼女は生まれながらにして、ギリシャと日本のオイルの血を脈々と受け継いでいるはずです。まさに日本とギリシャのファミリーをしっかり結びつける運命の子を授かったと神様に感謝しています。

食べ物は工業製品ではない

olive 娘が生まれ、私たち夫婦は何を食べるか、食べさせるかがとても気になりはじめました。私たちの周りには、まるで工業製品のように「製造された食品」が溢れ返っているではありませんか。これは日本だけの問題ではなく、先進諸国は多かれ少なかれ似たような状況でしょう。
 日本のサラダオイルを考えてみてください。化学薬品を使って精製した油が、透明なプラスチックボトルで売られています。オリーブ農家の孫である私には、味も香りも取り除かれた工業製品を食べるなんて信じられません。

 日本人は繊細な味覚を持ち、野菜や魚など豊かな食材を使って、素晴らしい家庭料理をつくることができる人たちです。なのに、なぜ…。そのことを陽子のお父さんに問うと「20世紀の日本はそうだったけれど」と困った顔をしていました。大量生産、大量消費が蔓延し、食べ物さえ工場で生まれてしまう時代になって、日本人は大切な食文化を失いかけているのだと語ってくれました。それはカナダでも起きている問題です。
 私と妻が、娘が育ちゆく21世紀に本物の食事を残したいと強く願うようになったのは当然のことだったと思います。

 私にはギリシャと日本にファミリーがあります。そして、にわかには信じがたい奇跡のように、両方のファミリーがオイルの仕事に従事しているのです。ギリシャのエキストラヴァージンオリーブオイルをそのまま日本へもってきて、日本の油屋さんで容器に詰めて、お客様にお届けしたら、とても喜ばれるのではないでしょうか。これは、まさに「産直」。ファミリーの絆でしかなし得ない本物の食べ物を届けるシステムです。
 私と陽子が結婚してアドレアナが生まれたように、『フシコス』はギリシャと日本のファミリーによって生まれたエキストラヴァージンオリーブオイルなのです。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
(株)クレタ・シラキス
代 表:田中 信行
所在地:福岡市中央区桜坂1-3-16
設 立:2013年4月4日
資本金:1,000万円
URL:http://phusikos.jp/

 
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