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2020年03月03日 16:17

シリーズ・コロナ革命(8)~中国現地法人経営者に聞く中国経済・ビジネスへの影響 コロナ革命 

新型コロナウイルスの中国ビジネスへの影響

 新型コロナウイルスによる新型肺炎の蔓延は、政治・経済・社会の各領域に「革命的」ともいえる影響をおよぼすのではないか。中国経済・ビジネスの現場への影響について、上海から車で2~3時間の華東地域で工場を経営し、福岡と中国を往復する企業経営者A氏に話を聞いた。

 新型コロナウイルスの感染および事業環境などに与える影響はどんどん深刻となっている。A氏は「事態は1カ月ほど前に想定していたよりも深刻であり、正常に戻るにはまだまだ時間がかかりそうであり、最低でも半年は影響を受けるでしょう」と危機意識を募らせている。

人も物も不足

一部運休、乗客減少の中国新幹線
一部運休、乗客減少の中国新幹線

 日本の担当者が上海より車で高速道路に入るも出口から市内に出られず引き返し、新幹線に乗ろうと上海に戻ったものの止められており立ち往生、できる限りの手段を打つがどうにもならない状況であった。」(A氏)。

 もちろん中国現地の従業員も同様であり、一定数が職場に戻れていない。「当社の中国人従業員は皆遠くからきていまして、地元を出る許可と工場のある市に入る許可と両方が必要となります。工場のある市に入る許可は解決できましたが、地元を出る許可が下りていない一部の従業員はまだ工場に戻ってきていない状況です」(A氏)。中国では例年、旧正月後に帰省した従業員が戻ってこず、経営者を悩ませており、今年は輪をかけて移動の制限も加わって悪化している状況だ。なお、A氏の会社ではA氏らが従業員に交じって現場で汗を流したり、従業員の結婚などの世話をしたりすることにより、離職率は極めて低いという。

 通常2時間の移動が5時間以上かかり工場に戻る状況である。物流面の影響も深刻である。自社または物流会社のトラック運転手なども同様の状況であり、製品を生産しても港湾まで運ぶ人手が足りていない。

 材料調達の面でも影響が出ている。「以前、工場を平日は夜まで、また週末にも稼働させていましたが、現在は平日の朝から夕方までとしています。中国企業から原材料の納品が遅れているためです。中には連絡がつかなくなっている取引先もあります」(A氏)。

不可抗力ともいえる難局

 この環境下で、企業は存続していけるのか。売上減少が見込まれるなかで、給与を支払い続けることは負担となり、企業にとって体力勝負である。また、工場の従業員の多くは地方出身であり、残業代で稼ぐことを重視している者も多くおり、残業代を得られない状況が続くと彼らが離職してしまうことが懸念される。A氏も今後、同業他社、原材料提供先企業が少なからず倒産するのではないかとの見通しを示す。

 このように現地の工場は労働力、材料調達、物流の各面で困難な状況に陥っている。「今の状況は不可抗力であり、一企業、一個人の努力で解決できるものではありません」(A氏)。日本国内などの取引先の企業にもこの状況に対するより一層の理解が求められよう。日本国内や他国に工場があったとしても、中国工場と同じものを製造するように転用できるとは限らない。「どれだけ中国の状況を説明しても、当社が納期どおりに納品することを絶対に譲らない取引先もあります。しかし、国内工場で注文数が少ない特注のものを製造し、中国工場で注文数が比較的多いものを製造しており、転用することはできません」(A氏)。

チャイナプラスワンは加速するか

 新型肺炎の蔓延と中国政府の「封鎖式管理」がこのように中国の事業環境を急速に悪化させたことを受け、各日系企業はどのように対応していくのか。ここ10年くらいで見ても中国の事業環境が悪化することは何度かあった。2012年の反日デモ時には少なくない企業が物理的に被害を受け、また通関の遅れなどが生じていた。これ以降、事業拠点をASEANなど中国以外の国に移転させる「チャイナプラスワン」を検討する企業が増えた。また、この1~2年の米中摩擦も、米国に輸出している日系企業にとって生産拠点の中国からの移転を検討する契機となっている。

 A氏自身は以前から東南アジアの各国での事業を検討しており、現段階では中国の現地法人社長が中国でという方針であるが、今後も少なくとも中国の工場はそのまま操業していく方針のようだ。中国が重要な事業拠点であることは今後も変わらないにしても、生産体制の見直しを行う企業は増えていくであろう。

【茅野 雅弘】

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