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2020年03月08日 07:00

超高齢社会における医療課題は「フレイル対策」 介入手段は薬物療法から栄養療法へ(3)

 令和元年度の高齢社会白書によれば、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.0%、75歳以上人口は65〜74歳人口を上回る1,798万人となり、総人口に占める割合は14.2%となった。2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると推計されている。超高齢社会における医療課題はそのまま高齢者医療であり、とくに地域医療では認知症、サルコペニア(筋肉減少症)などにつながるフレイル対策が大きな課題となっている。

 

富士山静養園
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医師会と連携し個別栄養指導を実施

栄養指導の流れ
栄養指導の流れ
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 地域の医師会と連携して、高齢者に栄養指導を行っているグループがある。東京都中野区に在住・在勤する栄養士が集まり、1978年に発足した「中野区フリー活動栄養士会」(会員31名)は当初、乳幼児健診の栄養相談、食育、離乳食相談、視覚障がい者料理教室や男性料理教室、子ども料理教室などを区内の保健所とタイアップして行っていたが、2005年から中野区医師会からの委託事業として、介護予防教室や高齢者の栄養指導を開始している。主治医が、栄養指導が必要と認めた患者に対し、管理栄養士が病状の重症化予防を目的に個別指導を行うもので、月1回のペースで開催している。

 栄養指導の流れは、中野区医師会から会員医師に「栄養指導のご案内」という案内文が配布される。現場の医師は、栄養指導が必要と思われる、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、腎疾患などの患者に趣旨を説明し、面談を希望する患者がいれば主治医から「栄養指導申込・指示書」がFAXで同会のもとへ送られてくる。

 栄養指導は、医師から送られてくる検査データと患者が記入した食事記録(3日分)を基に、管理栄養士が輪番で担当する。

 05年12月にスタートしてから、これまでに1,000名を超える患者に栄養・食事指導を行ってきたが、その7割は糖尿病歴が長い中高年者。HbA1cが国際標準値(NGSP値)に変わった12年4月から17年6月までの期間に栄養・食事指導を行った200名のデータを分析した結果、113名が糖尿病の患者(男性50名、女性63名)で、残り87名が肥満、脂質異常症、高血圧症などの患者。糖尿病患者は、男女とも約半数が合併のない状態で、指導としては合併症予防に重点を置き、血糖値、HbA1c他の検査データを基に栄養管理、生活習慣についてアドバイスを行い、合併症のある場合はその進展の遅延となるような指導を実施した。

 たとえば、高血圧予防では、減塩(薄味のコツ)を第一に、適正エネルギー摂取(糖質、脂質、たんぱく質の適正割合を考慮する)を心がけること、節酒、禁煙など。中性脂肪が高めの場合は、間食の菓子類、果物、アルコールを控える。肥満予防では、適正エネルギー摂取をする、野菜は1日350gの摂取が必要であり、適正体重を目標にコントロールすることなどを指導した。

 同会の中心的メンバーである小俣孝子氏(管理栄養士、ケアマネジャー)によると、糖尿病患者で肥満の人(男性39%、女性51%)は、1日に3食摂っている割合が少なく、外食の割合が高いという。

 「外食が多い男性は、どうしても揚げ物や主食の量が多いので、エネルギーの摂り過ぎとなり、肥満につながっていると考えられます。肥満気味の方には、食事記録から、肥満につながる食習慣、生活習慣を見つけて改善点をアドバイスしています。食品摂取状況から、菓子類や果物の摂り過ぎ、アルコール量をチェックし、毎食、主食・主菜・副菜をそろえて摂ると栄養素、味のバランスも良く、おいしい食事となり、体に必要な栄養素の補給ができることを話します。また、運動習慣は肥満改善のみならず、生活習慣病のリスクを下げる効果がありますので、今よりも10分多く毎日体を動かすことをお勧めしています」(小俣氏)。

 栄養指導終了後には報告書を作成し、封書で依頼医師に郵送する。再度、指導が必要と思われる場合は、その旨を書き添える。医師から依頼や患者からの希望で再指導を行うケースも少なくない。

 小俣氏は、「食に関する情報が巷に飛び交うなかで、それぞれの対象者に、適切な治療食、食べ方、既製品の選び方をどのように伝えていけばいいのか。これは非常に難しい問題で、生活面を考慮すると苦慮せざるを得ないのが実情ですが、今後も対象者に寄り添った食事の摂り方を提案していきたい」と話す。

(つづく)
【吉村 敏】

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