2024年04月20日( 土 )

中国経済新聞に学ぶ~国外から北京入りなら全員隔離

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 新型コロナウイルスの封じ込めに成功しつつあると自己認識する中国政府が今、最も警戒しているのが新型コロナウイルスの「逆輸入」だ。

 3月13日から北京市、上海市、広東省をはじめとする主要都市では、これまでの日本、韓国、イタリア、イランに加えてフランス、スペイン、ドイツ、米国への訪問・滞在歴がある人は例外なく14日間の隔離措置をとると発表した。現在中国への出張は多くの日本企業にとって現実的な選択肢ではなくなっている。

 日本や韓国など「感染が深刻な国」からきた人は、3月10日からすでに14日間の隔離観察の対象とされてきた。今回、その対象をすべての外国に広げた。

 北京では16日午前0時から、国外から来るすべての人に対し、指定施設での14日間の隔離措置を採った。日本は感染が深刻な国とされ、すでに隔離の対象とされていたものの、これまでは自宅での隔離が許されてきた。今後は、入国後2週間は、自宅があっても条件を満たさなければ、原則帰宅は許されない。

 隔離場所は中国側が指定した施設が原則。これまでの日本からきた人の例でいえば、北京市内に自宅がある場合は、検温の結果報告などは義務付けられるものの、自宅での隔離が許されていた。今後は原則的にはそれが不可能になる。

 しかし、北京市内に単独で家があり、同居人がいない場合は、自宅での隔離観察が申請できるとした。その他、70歳以上の高齢者、妊婦や未成年者など、集中隔離に適さないとされる人たちは、自宅での隔離観察が可能になる。

「指定施設」の費用は自己負担

 外国および香港・マカオ・台湾地区から北京首都国際空港に到着する便は、すべてT3D措置専門エリアに入り、全面的に強化された入国検疫を受けることになる。入国者は「健康申告カード」に記入しなければならない。全項目にわたる電子化された、遡ることが可能な情報管理を実行するなどの予防抑制体制で取り組むとしている。

 税関で体温測定など防疫検査を経た後に、入国手続きをする。異常が認められた場合は、そのまま医療施設に運ばれさらに検査を受ける。異常がない人は、空港から数km離れたコンベンション施設にバスで移送される。

 これまで日本からきた人が経験した手続きに従えば、そこに設置された臨時の「受付所」で、自宅などの目的地が所在する区ごとにわかれ、便名や氏名を登録する。

 隔離観察の場所は各区が指定したホテルになる。コンベンション施設で手続きを終えた人は、まとめてそのホテルまでバスで移送される。隔離期間中のホテルの宿泊費用は、自己負担である。

 集中観察所は、各区が手配するホテルで、基本的な生活はできる。家族や知人や食料や衣服を届けたい場合、事前にホテルと連絡を取り、同意を得る必要がある。虚偽の申告で感染を拡大させた人には、法律などに則り責任を追求するという。

 天津へ向かう場合には隔離の対象外で、3月14日からは高速鉄道に乗車することはできず、バスで向かうとともに、到着後には天津市が定める観察隔離措置を受ける観察隔離措置を受ける必要がある。

 中国の航空当局が、北京首都空港を利用する内外の航空会社に対し、19日から国際線を北京に直行させないよう求めた。周辺の空港にまず着陸して検疫を受け、新型コロナウイルスに感染している疑いのある客を降ろしたうえで北京に向かうよう要求しており、首都へのウイルス流入を阻止する狙いだ。

 関係者によると、中国民用航空局が17日に招集したインターネット会議で「北京を守るため」と突然指示し、一時着陸する場所として、天津、河北省石家荘、山西省太原、内モンゴル自治区フフホトの空港を挙げた。

 しかし、海外の航空会社は「機体に対応した整備士を周辺空港では確保できない」などと反発。当面は中国の航空会社が運航する便が対象になる見通しだ。対象便に搭乗する客は、知らない都市で降ろされ、隔離される可能性がある。

小湯山医院が運用を再開

 北京市政府は、この措置を採るにあたり、「北京の防疫にとって、すでに海外からの流入が主な危険になっている」と説明している。

 発表によると、10日に報告された中国本土の感染者は24人で、うち10人が外国から入国した人だった。北京市は6人と最も多く、イタリアからの入国者が5人、米国からが1人だった。中国メディアの報道は「海外での感染拡大が中国を脅かしている」というトーンに染まった。すべての入国者に対する隔離措置は、中国国内でさらに拡大する可能性がある。

 2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時に建設され、今回の新型コロナウイルス感染で帰国者などによる輸入症例を防ぐための検査・治療施設として再建された中国北京の小湯山医院が16日、運用を開始した。

 病床約1000床の小湯山医院は主に、北京の税関検疫の結果、感染リスクがあると判断された人に対するスクリーニングのために用いられる。また、感染が確認された患者や感染の疑いがある人の治療も行う。スクリーニングの結果、異常がないと判断された旅客は、その目的地である省が引き取り、安全な方法による搬送を担当する。北京市内が目的地である旅客については、各区が引き取り、14日間集中隔離して経過観察を行い、クローズド・ループ運行、管理を実施する。

 小湯山医院の拡張エリアの病室設備、実験室検査機器、画像検査機器、消毒・防護、汚水処理、消防・安全などのすべての設備は検査に合格している。

 北京市は、市属病院から呼吸、感染、重症、急患、小児科、中医学、検査、放射線、薬剤など、専門の医療従事者数百人を派遣した。業務や防護関連の系統的な研修はすでに終了している。小湯山医院は、新型コロナウイルス感染者を受け入れているほかの市級感染症指定医療機関と、遠隔診察を行える態勢を整え、協力を促進し、経験を共有している。


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