2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

『脊振の自然に魅せられて』「ムシカリの咲く山の春」

 そろそろムシカリ(虫狩、オオカメノキともいう)の白い花が咲いている頃だろうと思い、天気予報を確認。「明日は山に行くから」と家内に告げる。

 行き先は脊振山頂駐車場、福岡市早良区百道の自宅から車で1時間ほどで下界から離れた地上約1,000mの脊振の大自然に立つことができる。冬場以外は福岡や佐賀方面からもこの地へやってくる車が多い。

 駐車場の隣には航空自衛隊のレーダー基地がある。脊振山頂の丸いレーダーは自宅の近くからいつも見える。また、このレーダーは国の重要な防衛基地でもある。

 4月8日(水)午前8時に自宅を出て午前9時ごろ脊振山頂駐車場(標高約900m)に着いた。早朝ということもあり、20台ほどの駐車場スペースに停まっているのは私の車1台だけ。車から出ると、駐車場のはしに樹木の白い花が見えた。会いたいと思っていたムシカリの花だ。可憐で気品のあるこの花が咲き始めると、脊振に一斉に春が訪れ、山が賑やかになる。

 4月中旬から6月にかけ、ムシカリに始まり、ウワミズザクラ、ヤブデマリ、カマツカ、ヤマボウシ、リョウブ、エゴノキ、タンナサワフタギなど白い花が山を賑わせる。また、それに合わせてミツバツツジ、ツクシシャクナゲのピンクの花が彩を添える。それほど脊振には樹木の花が豊富なのだ。

 駐車場の周辺で撮影をしていると自衛隊道路の坂道で追い抜いた1台の自転車が私より遅れて登ってきた。自転車の男性に「登ってきたね!」と声をかけた。自転車で1人旅をしている40代の男性だった

 ここは自転車でやって来る人も多い。ひたすら登りが続くこの地に来るには相当な脚力がいる。自転車の下りはハンドルとブレーキ操作となり、スピードが出るので慎重に運転しないといけない。私も時々、林道でマウンテンバイクを楽しんでいるので良くわかる。

 縦走路が始まる起点に12年前、「道標NO.1」を設置しており、それがまだ元気に残っている。このオートキャンプ場入り口には新型コロナ感染予防のため、キャンプ場には「使用禁止」と書かれたロープが貼られていた。駐車場直下にあるキャンプ場は野球場ぐらいの広さで、普段は気軽にテント泊が楽しめる。

 脊振山頂駐車場を利用すれば、登山口から登るより楽に山歩きを楽しめ、歩いて10分で標高1,055mの脊振山頂に立つこともできる。
また西は金山から三瀬峠まで、東は蛤岳までの日帰り縦走も楽しめる。脊振の山歩きの魅力は何といっても縦走なのである。

 ロープが貼られた横の登山道から歩いて5分の場所にある木道の縦走路へと向かう。自転車の男性が「お気をつけて」と声をかけてくれた。

 木道ではシロモジの黄色く小さな花に続き、ムシカリの白い花たちが咲いていた。

可憐な「ムシカリ」の花。丸い葉のかたちが亀の甲羅に似ているので
オオカメノキ(大亀の木)とも呼ばれている。

 冬から春へ向かう山は、まだ葉を落とした木々が多い、そのなかでの華やかな光景である。

 ここは3月11日にブナ林の調査をした場所で、ブナ林のなかにところどころムシカリの花が咲いていた。ミヤコザサを分け入ってムシカリの花にレンズを向け、シャッターを押す。しかし、なかなかアングルが決まらない、若い時と違い、撮影にも時間がかかるようになった。

 ここでの撮影がひと段落し、縦走路をさらに進み、矢筈峠から谷へ15分ほど下ってハルトラノオ、ニリンソウ、バイケイソウの若葉の撮影を楽しんだ。そして峠へ引き返し、縦走路を先に進み、「日本庭園」と名付けた開けた場所へと向かった。

 砂地で開けたこの場所は松やヤマツツジが盆栽の庭のように広がり、のんびり昼食を楽しめ、展望もすばらしい所だ。いつもの場所に腰を下ろし、昼食をとることにする。

 北に気象レーダー、航空自衛隊レーダー、天気が良いと東に筑後平野、佐賀平野、有明海、雲仙とすばらしい展望が楽しめる。この日は春霞で雲仙方面はぼんやりとしていた。田園風景のなかで筑後川の緩やかな流れが有明海に注ぎ、春霞のなか、筑後川は光を受け、鏡のように光を反射していた。

 昼食を終え、駐車場へ引き返そうとした時、小中学生ぐらいの男の子と女の子の声が聞こえてきた。近づくと姉弟のようだった。やがて母親や高齢女性が続いてやってきた。祖母と思われる高齢女性は頭に風呂上がりのような大きなタオルを巻いていた。汗で髪が濡れるのだろうか。とてもユニークな装いだった。

 駐車場へ戻ると車が溢れていた。平日にたくさんの車が登ってくるのは珍しいことだ。

 新型コロナ感染症対策で、外出もままならず、山での開放感を味わいにきたのかもしれない。

 帰路の山道で白いタムシバの花をつけた大木を1本見ることができた。また、道路周辺や山奥に淡い山桜を見ることができ、素敵な「山の春」を味わえた1日だった。

脊振でたくさん自生している「シロモジ」の花

2020年4月17日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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