2024年04月29日( 月 )

「コロナ蔓延下」のフランスの現状

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏のもとに新型コロナウイルス感染拡大下におけるフランスの様子についての情報が寄せられた。要約して以下に紹介する。

 フランスでは封鎖期間がほぼ2カ月となる5月11日に首相が封鎖を延期するかどうかを発表することになっている。レストラン(カフェを含む)は、人件費の70%が政府から支給されているが、濃厚接触が心配されるために、5月11日以降も閉鎖が決まっていると。他の多くの店は封鎖が解除される予定だというが、濃厚接触が心配される美容院や床屋については、「もぐり」で商売する人間が出てくるので「仕方なく」解除されるようだ。

 教育関連では、7月初旬から始まる夏休みまで食い込んでの授業は行わないとすでに決まっているという。保育園(フランスは夫婦共稼ぎ世帯が極めて多いので待機児童はゼロ)、小・中・高等学校(義務教育は高校まで。私立学校は少ない)は解除の方向で検討されている。解除された場合の親の対応についての指針が示されており、「学年別に登校させる」「1クラス15名以上での授業は禁止」「解除後に学校に行かせるかどうかは親の判断」とされている。また、家庭で待機する場合は、家庭でしっかり勉強させることが義務となることなどが伝えられている。

 大学は、基本的に遠隔授業は行っておらず、閉鎖解除の方向で検討されている。

 大学院は、受講者全員が遠隔講義に対応できれば行われる。それ以外は、正式な講義とはならないが、教授側から講義の資料などは送られてくる。専門分野ごとに違う対応がなされているようである。

 街はすでに2カ月近い封鎖が続いているため、かなり緊張感が緩んできている。パリ市内も場所によっては多くの人が「ブラブラ」している。マスクをする習慣がないフランス人だが、半分ぐらいがマスクをしているようだ。

 外出するためには、コンピューターで簡単に申し込むことができる許可書をダウンロードして持参し、自宅から食料品などの生活必需品を買うためには、外出することが義務付けられている。フランスらしいのは、犬の散歩が認められているところ。その結果、犬のレンタルがあるらしい?

 ご存知のように、フランスは市民(国民)が革命を起こし、民主主義を確立した国。多くの市民がそれなりの考え方を持つように小学校から教育されているとのこと。私の孫もフランス国家を鼻歌で歌える。もちろん国歌の歴史と意味も知っている。

 日本は、小学校から個性を重んじる傾向が希薄であると共に「忖度」が上手な勉強が良く出来る子どもだけが「良い子」のような社会に思える。日本人には、「民主主義とは何か?日本人とは何か?」などの人間として必要な教育がどこか欠落しているように思えてならない。

 個人的な偏った考え方かもしれないが、日本は「いまだに戦後が終わっていない敗戦国」なのではと思う。一方のドイツは、戦後70年を経て「戦勝国」になったのではと思わざるを得ない!ドイツは、フランスやイタリアから重篤患者をドイツ国内の余裕が出てきた医療機関で受け入れて治療を開始している。

 フランス在住の日本人がテレビを通じてフランス、あるいはパリの様子(最近、NHKやTBSのニュースが長時間見られるようになった。それ以前は10分ぐらいで突然切れていた)を伝えているが、地域によって全く状況が異なるので誤解していることが多いのではと言っていた。パリのなかでもそれぞれの区(1、2、3、4区・・・・に分かれている)で対応策が異なっているようだ。

 パリには、不法移民が数多く住んでいるが、このような社会的立場の弱い人々の感染や死亡は、政府の発表には含まれていないので、実際の感染率は、数倍も高いと言われている。

 アメリアではミシガン州の感染者と死亡者が高いと報じられている。ミシガン州は大都市のデトロイトがある。6、7年前、道を間違えてしまい、デトロイトの黒人街に入り込んでしまったことがあったが、「生きて帰れるかな」と心配した経験がある。それほど状況はすさまじく悪い。アメリカも不法移民の数は正確には把握していないだろう。

 フランスの首相(マクロン大統領ではありません)は、コロナ対策が失敗だったことを認め、国民に謝罪している。大統領は、国としての重要な対策についてコメントを出しているようだ。

関連記事