2024年04月17日( 水 )

サブリース規制強化で再注目 オーナー主体の「空室補償」とは(前)

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(一社)全国賃貸経営補償機構 代表理事 藤咲  芳彦 氏

 サブリース契約以外でも、オーナーの賃貸住宅の経営をサポートするさまざまな手法が生まれている。全国の賃貸住宅のオーナーやビルダー、管理会社とネットワークを築く(一社)全国賃貸経営補償機構が取り組んでいる「空室補償制度」もその1つで、月々の掛け金を支払うことで、空室が出た場合の損害に備える共済の考え方だ。サブリース契約との違いについて、同機構の代表理事・藤咲芳彦氏に話を聞いた。

サブリース契約との違い

 ――空室補償制度とサブリースの違いについて、改めて教えてください。

 藤咲芳彦氏(以下、藤咲) サブリースとは、サブリース会社がオーナーから物件を借り上げることにより、一定の家賃収入をオーナーに保証する契約です。これによりサブリース会社は、入居者と転貸借契約を結び、入居者はサブリース会社へ家賃を支払います。運営の主体がサブリース会社に移行すると考えてもいいかもしれません。

 それに対して、一定の掛け金を毎月かけることで、家賃収入が契約で定めた額を下回った場合に、その差額を給付金として支払いするのが、収入補てん型の空室補償制度です。

 たとえば、当機構の新築アパート・賃貸マンション向け空室補償「あんしん家主30」、90%補償コースでは、家賃収入が現状60%しかない場合に、家賃30%の補償給付金をオーナーにお支払いします。当機構が評価する家賃合計が仮に70万円(1戸あたり7万円×10戸)の場合、90%にあたる63万円の家賃収入を補償するというものです。つまり、60%の家賃42万円が入金されている現状に加えて、補償額21万円を給付金として支払いますので、63万円の家賃が確保されます。その代わりに、評価家賃合計額の5%にあたる3万5,000円を毎月掛け金としていただきます。外部に損害保険をかけるイメージですね。

 当機構は賃貸運営を行っておらず、賃貸管理は管理会社が、入居者選択の決定権はオーナーがもつという独自のシステムですので、オーナーには管理業務が発生します。サブリースは賃貸住宅経営が投資であるにも関わらず、サブリース会社(賃借人・転貸人)がほとんどの決定権をもっており、その点についても空室補償制度は、サブリースと一線を画しております。経営主体がオーナーかサブリース会社か、という点が大きな違いです。

(つづく)

【長井 雄一朗】

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