2024年04月28日( 日 )

凡学一生の「新型コロナウイルス感染考」(1)

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【総論】

 長崎大学の山本太郎教授によれば、人間界に発生する大疫病はパラダイムシフトをもたらすという。中世のキリスト教会の権威によって統治されていた西洋社会がベストの大流行によって、権威を失い、市民が悟性の理性と科学的合理主義に最高の価値・権威を置き、やがて市民革命を達成し近代法治国家を成立させてきたことを説明された。

 その意味で日本でも混沌とした新型コロナウイルス(New Corona Virus 以下NCVと略記)感染症について、パラダイムシフトを予言する多くの識者が出てきた。しかし、多くの識者のパラダイムシフトの予言はある意味、漠然とした予感の域をでない。なぜなら、日本を支配する変革されるべき「権威」の正体を的確に捕捉できていないからである。筆者は幸いにも日本の頭脳というべき多くの優秀な医師に指導を受け、実に多くの「権威者による弊害」を学んだ。一部は筆者の「過剰な思い込み」との批判は甘んじて受ける所存だが、読者のみなさまにはそれぞれの立場で以下の論文を玩味頂きたい。

 論述の順序はまず、NCV感染症問題の当面の諸問題について記述し、そのあと、感染拡大の真の原因ともいえる日本の政治体制―特に医療をめぐる病理現象について記述する。

【各論】第1章 NCV感染症をめぐる諸問題

感染拡大の原因

 事実に関する判断行為の論理的正当性の基本は事実が真実であることである。

 真実に基づかない判断は正しい判断ではない。しかし、日本社会ではあまりにも真実に基づかない判断が横行している。特に法律専門家とか官僚、そして自称専門家にそれが著しい。その背景にあるものが法律専門家や官僚・学者が高学歴・国家試験合格者・選挙による当選者という点にある。つまり、高学歴・国家試験合格・選挙当選が権威として機能していることを意味している。今回のNCV感染によるパンデミックの対応においては如実に権威主義的職業と真実主義的職業の社会的機能の差異を国民は見せつけられた。日本におけるNCV感染拡大は無責任官僚と御用学者によって拡大されたと言っても過言ではない。以下詳細にその理由根拠を解説するので、これを契機として、国民が権威主義的職業への批判の視点を獲得してほしいものである。

 疾病の治療は相手が自然現象・生理現象であるから、人間に対してだけ意味がある権威は全く通用しない。NCVによる国難に対して病者を救い感染防止に貢献した人々は言うまでもなく現場医療従事者であり、政治家・官僚・評論学者専門家ではない。政治家・官僚らは医療従事者の自らの危険も顧みない犠牲的活動の補助支援の役さえ十全ではない。このような基本的視座に基づき、主として政治家・官僚そして御用学者が引き起こしている感染拡大とそれに伴う政治・経済問題について考察する。

(つづく)

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