2024年05月06日( 月 )

コロナ蔓延下にみる日本の現状~イタリア在住の日本人から(4)

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 日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏のもとにイタリア在住の日本人から見たコロナ蔓延下における日本の状況について投稿が寄せられたので、要約して以下に紹介する。

 私は今まで日本という国の堕落加減をイヤというほど見てきました。東日本大震災時に、今度こそ人々は互いに助け合うだろうと、福島の原発事故の時も今度こそは、と期待し、その期待は毎回無残に裏切られてきました。
 ですから、コロナの疫病が発生したとき、オリンピック開催を重視して感染者数を操作していた政府に対しても、「またか」という思いしか感じませんでした。
 世界中が必死に疫病と闘っている時に、この国の政府はオリンピックなんていう馬鹿馬鹿しい祭りの開催を重視したのです。

 こちらでは、いまだ自国の感染を抑えるのに必死ですから、他国のそれも「アジアの果ての日本の愚策」などとあえて言及しませんが、皆苦笑いして黙り込みます。
 今回のことでなにかを書こうと思い、書き始めたらとんでもない強烈な批判の文章になってしまいました。誰でも自分の国をこれだけコテンパンにいわれるといい気持ちはしないものだとわかってはいますが、これは事実であると認識します。

 海外に住んでいる人たちの何人かと交流がありますが、皆口をそろえて同じことを言います。皆、私も含め日本が嫌いなのではなく、かつての日本に誇りをもち、愛していた人たちです。その人たちがこの日本の停滞堕落に、もはやいつか変わるだろうという期待さえ持たなくなっているのです。もちろん大きな哀しみとともにです。

 私は日本が、陳腐な「豊かさ」という名前に踊らされ、物、金によって魂を抜かれたと思っています。そして、それはアメリカが弄した日本の弱体化、とりわけ精神性の弱体化を狙った、長期にわたっての属国(植民地)政策であったと信じます。
 この植民政策は、どこかで断ち切られなければ、10年後20年後の日本は見る影もないでしょう。もちろんそれに国民が気づけば、の話ですが・・・。日本は今の「装った豊かさ」を捨ててでも、とりわけアメリカに「ノー」というべきです。そして今こそ、戦後、嫌なことだけ押し付けられてきた沖縄に同国人として寄り添い、彼らをアメリカから自由にすることから始まると私は考えます。そして「アジア人」という自分のホームグラウンドに真摯に戻るべきです。
 アメリカにおもねっている暇があったら、アジア諸国との友好、相互援助に立ち返るべきです。

 私の友人が「日本の安倍政権が、これほど長期にわたって安定して政権の座についているのは、安倍政権というものが、かつてないほど日本人の本質とピッタリと合うからではないか」と言いました。強い者にへつらい、一方で少しでも弱い者を見ると喜んで差別し、鞭打つ、それが病人であろうが差別する。安倍政権とは「ニッポンジン」のエッセンスなのではないかと。

 私もまったく同じ意見です。私が属すると信じていた日本人は「弱きを助け、強きを挫く」民族でした。自分の損になったとしても、信念を貫き通す、いわば効率、生産性とは真逆のことを尊重する民族であったと考えます。
 もしかして、明治維新に始まる「近代化」は日本には薬でも肥やしでもなく、毒もしくは麻薬だったのではないかとさえ感じています。

(了)

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