2024年04月20日( 土 )

中国経済新聞に学ぶ~コロナで進化する中国ニューエコノミー(後)

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 春節が終わり、企業は相次いで業務や生産を再開したが、再開にあたっては「オンライン会議」や「テレワーク」を真っ先に選んでいる。阿里釘釘が発表したデータでは、春節後に企業活動が再開されてから数日間で、200万社を超える企業がオンラインでの健康情報管理を実施するようになり、約2億人が阿里釘釘のプラットフォーム上で仕事をしたりビデオ会議を開催したりしたという。協同オフィスや遠距離会議を可能にするため、華為(ファーウェイ)、WeLink、騰訊(テンセント)会議、会暢通訊などの企業は感染対策期間には関連サービスを無償で提供するとしている。

 感染対策期間には人が集まることをなるべく避けるよう奨励されているため、ゲームがオフラインの娯楽の重要な代替品になり、「春節ゲーム特需」の様相を呈している。なかでもSNSで競い合うゲーム、将棋やトランプなどのゲーム、ミニプログラムのゲームが明らかに恩恵を被った。オフライン娯楽産業はショート動画共有アプリの「TikTok」と「快手」とも提携し、娯楽シーンの転換を通じて、その場で娯楽コンテンツを楽しみたいというニーズに応え、ネット上でのチップ支払いによる利益はオフラインでの損失をある程度埋め合わせてもいる。また快手は一線都市・二線都市のナイトクラブや音楽大手企業と提携して、「クラウド・レイヴ(クラウド上で行うオンライン音楽イベント)」のライブ配信を始めた。

 オフラインヘの依存度が高かった一連の産業、たとえば不動産や自動車、飲食、観光、オフライン娯楽などは、オフラインシーンが大きな打撃を受けるこの特殊な時期にあって、ライブ配信などの方法を相次いで利用して、オンラインヘのモデル転換を図っている。不動産分野では、不動産コンサルタントがライブ配信パーソナリティに早変わりし、物件情報のライブ配信をして不動産を売っている。外食分野では、イートインビジネスが打撃を受けたが、デリバリーはものすごい人気だ。多くのオフライン飲食ブランドが、ライブ配信方式を選択して、ブランドイメージを形成し、感染対策期間に消費者の信頼を得ようとしている。観光分野では、オンラインで観光気分が味わえる「グラウド観光」が流行し始めており、観光プラットフォーム上で旅行先のガイド情報や動画を見るのが人気だ。

 多くの業界のアナリストが、「今回の新型肺炎をめぐる状況は、まるで外からの力に迫られて、社会や人々がデジタル経済を全方位的に受け入れ、デジタル経済の行動や習慣が育成されたようなものだ」との見方を示した。

新技術に支えられ、高度化と進化を迎える新業態

 中央財経大学の孫宝文教授は、新型肺炎をめぐる事態が収束後、「現代化ガバナンス」が「従来型ガバナンス」に急速に取って代わり、スマートシティの建設が加速していくと見ている。たとえば、交通管理や物流供給チェーン、救急・災害対応、情報トレーサビリティなど各システム構築が加速され、都市管理の全面的デジタル化が進み、データに基づいた主張・方針決定・管理が行われ、都市管理と社会のガバナンスが従来の「フォーマット思考」から「ピックデータ思考」へと進化し、一部の都市では、人工知能(AI)に基づく災害予測を展開し、ビッグデータを運用した感染状況の分析・研究・判断、感染対策の計画、都市間移動者のモニタリングも可能になるという。

 ウイルスと闘ううえで情報・方針決定サービスを提供する科大国創軟件股フン有限公司の董永東会長兼社長は、「今回の新型肺炎は一連のオンライン産業を活性化し、その背後にはビッグデータとの切っても切り離せない関係がある。将来はビッグデータが支えるオンラインモデルが新たな経済の形態になり、人々は家を出なくても衣食住・移動など各方面の問題を解決できるようになる。これは緊急時のニーズに応じた爆発的増加であるとともに、デジタル経済が迎える新たなチャンスでもあるといえるだろう」と述べた。

 安徽睿極智能科技有限公司の王大勇会長は、「5G時代の訪れにともない、オンラインサービスの体験がどんどんよくなっていき、たとえば5Gライフの娯楽シーン、5Gテレワークのシーン、5G遠隔教育のシーンなどは、高精細の動画と相まって、ますます精細でスムーズになり、より多くの利用者を獲得するだろう。デジタル経済も川上から川下に至る各産業の共同発展を牽引することになる。今回の事態が収束した後には、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、5Gなどのデジタル産業がさらに高度化し、進化を遂げていくことだろう」と述べた。

(了)


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