2024年04月18日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~街の魂「屋台」が復活 「露店経済」に火をつけた(前)

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 李克強総理は5月28日、全国人民代表大会閉会後の記者会見で、「月収千元(約1万5,000円)の中国国民は6億人いる」とし、「今年は雇用問題が最重要課題」との考えを示し、対応策として露店経済を推し進めようとしている。

 また、李総理は6月1日、山東省煙台市を視察した際、「露店経済や小売店経済が重要な雇用の源で、『人間煙火(庶民の暮らし)』であり、ハイエンド業種と同様に、中国経済の活力だ」と位置づけた。中国のメディアは直ちに勢いよく殺到し、露店経済の発展を煽り立て始めた。

注目を集める露店経済

麻辣湯

 「一番恋しい道ばたの屋台は何?」をたずねるネット投票で、焼肉、中国風クレープ、マーラータン(麻辣湯、スパイシーなスープ)が圧倒的な票を集め、果物や野菜、携帯電話の保護フィルムなどは順位がはるか下の方だった。
 そして今、道ばたの屋台が帰ってきた。

 2020年の「政府活動報告」では、「雇用を安定させ、収入を増やし、民生を保障することを通じて、国民の消費意欲と消費能力を向上させる。
 外食産業、商業施設、文化、観光、家事サービスなど生活に関わるサービスの回復発展を支援する」ことが提起された。

麻辣湯は具材を選べる

 路上の屋台に真っ先にゴーサインを出した四川省成都市は、李克強国務院総理の注意を引いた。李総理は記者会見で、「中国の西部の都市では、現地の規範を踏まえて、移動式屋台3万6千軒を設置し、その結果、一夜にして10万人の雇用が生まれた」と述べた。

 中央精神文明建設指導委員会弁公室はこのほど発表した文章のなかで、今年は道路を占拠して行う経営活動を文明都市の査定内容に組み込まないことを明確に要求した。

 このニュースが流れると、ただちにネットの人気検索ワードになった。「みんなの楽しみがもうすぐ帰ってくる、待ちぎれなくてノドがゴクリと鳴るのをお許しください」「最高!また屋台で食べられる!」「道ばたに小さな店や屋台がないと、本当に活気がなくて寂しい」といった声が聞こえたほか、多くの人が、「道ばたの屋台こそ街の魂そのもの!」と発信した。

5つ星ホテルも屋台を出した

 道ばたの屋台経済に目をつけたのは成都だけにとどまらず、湖北省の武漢市も目をつけた。武漢では、5つ星ホテルが相次いで道ばたでの屋台経営に乗り出した。
 武漢の有名5つ星ホテルは入り口前の広場にテーブルをずらりと並べ、屋台を始めた。焼肉のライブクッキングには、多くの市民が集まり、それを楽しんでいる。

 別の5つ星ホテルも入り囗の前に朝食の屋台を出した。それからすぐに焼肉も売り始めた。同ホテル飲食部の副マネージャーはメディアの取材に対し、「5つ星ホテルにとって、朝食、午後のお茶、夜食の売上は新型コロナウイルス感染症の前とでは比較にならないが、従業員を動かし、ホテルが経営状態を維持することで、やる気をかき立てることができる」と話した。
 また同副マネージャーは、「ホテルが絶えず新しい経営プロジェクトや経営モデルを試みているのは、非常時に生き残りを図るための持続的な試みだ」と述べた。

 最近、多くの都市が屋台経営を許可した。浙江省杭州市は一部の道路を屋台業者の経営場所として開放し、河南省許昌市は裏通りや横丁の一部を開放し、業者に縁石より上の場所で商売をするようにさせた。南京市は臨時の屋外屋台1,000軒あまりを統一的に計画した。

(つづく)


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(後)

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