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2020年07月07日 09:30

「アロフェロン(Alloferon)」という不思議な物質(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 さて、本題の「アロフェロン」という物質の話をしよう。昆虫のなかでもショウジョウバエは、病気にかからないようだ。そのため、なぜショウジョウバエが病気にならないのかを研究してみると、細菌やウイルスがショウジョウバエの体内に入ると、ある物質が生成されて免疫細胞のなかに入ることが観察された。その物質は免疫細胞を活性化させるだけで、そのあと物質自体は消えてなくなることもわかった。その不思議な物質が「アロフェロン」である。

 ショウジョウバエから抽出できる「アロフェロン」の量には限りがある。結論から先にいうと、研究を重ねた結果、「アロフェロン」の分子構造式が究明されて、「アロフェロン」を大量に合成できるようになった。「アロフェロン」は免疫調節機能をもっていて、免疫反応が過剰な場合には、免疫反応を抑制してくれるし、また免疫力が弱まっているときには、免疫力を高めてくれる不思議な物質である。

 それに、ペニシリンなどと違って、「アロフェロン」は耐性も毒性ももたず、安全な物質であることが検証されている。1990年の初めにロシアで研究されていたこの物質に注目し、出資したのは焼酎で有名な韓国のJINROグループである。研究はフランスの国立応用科学院でも行われ、J.ホフマン博士は「アロフェロン」を研究する過程で、自然免疫の仕組みを解明し、その功績が認められ、2011年度にノーベル生理学・医学賞を受賞している。

 その後フランスで臨床試験1相を進めたが、JINROグループの会長が亡くなり、グループの財政が厳しくなった。そのため「アロフェロン」を再びロシアに持ち帰って、ロシアで臨床試験2相と3相を進め、ロシアで医薬品として市販されている。その後ソウル大学校医科大学の研究者などが、この物質の研究を進めたことにより、作用機序が明らかになったのはもちろんのこと、多くのデータと論文も揃っている。

 しかし、好事魔多しということか。韓国の製薬会社との契約でもめたり、「アロフェロン」をもって事業を展開しようとしたりといろいろな試みはあったが、全部挫折した。2012年に、この物質に出会った劉社長のみが最後まで頑張り、事業を展開している。劉社長は長年の悩みである鼻炎が治ったことや、どのような治療法を施しても治らなかった息子と娘のアトピーが治ったことにより、この物質に対しえ確信をもつに至ったという。

 その後も研究開発をコツコツと続け、まず鼻炎向けにはスプレーを、アトピー向けにはクリームを化粧品として販売している((株)エスアロフェロン、代表取締役・劉光進氏)。同社の製品は、今までステロイドしか使えなかったユーザには朗報であった。ステロイドの副作用で困っていた人を中心に、普及している。

 アトピーの世界市場規模は約56憶ドル(約6,021億円)で、年11%の成長を続けている。これといった治療剤がないのがアトピー治療剤の現状である。しかし、同製品は化粧品でありながら、「アロフェロン」の不思議な特徴を備えていて、効果抜群である。劉社長は、「今までは言葉で説明しても信用してもらえなかったが、「論より証拠」と試してもらうと、皆その効果に納得してくれて、感謝してくれる」と言う。近々、日本市場にも進出予定である。抗炎症だけでなく、皮膚の再生効果もあり、皮膚のトラブルには欠かせない商品だと韓国では話題となっている。

(了)

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