変貌しつつある大阪港~アフターコロナ時代の万博を 実現できるか?(4)
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リモート開催や分散開催案が浮上
万博関連インフラ整備は、概ね順調に進んでいるが、万博開催については新型コロナウイルスの影響は避けられない状況だ。10月に開催予定だったドバイ万博は1年間延期されることが決まったが、1年後に必ず万博が開催できる見込みは立っておらず、さらなる延期はもちろん、開催中止も否定できない状況にある。
大阪万博へのコロナの影響は、すでに出ている。BIEは大阪万博の正式承認(登録申請書の承認)時期について、当初の6月から11月に延期すると発表した。大阪万博はとっくに内容が決定しているものと考えがちだが、決まっているのは夢洲で開催することだけで、実はまだ正式承認されていないわけだ。11月に無事正式承認されたとしても、その後も予断を許さない状況は続く。コロナ色の強い万博になる可能性は小さくない。
大阪万博が目指すところは「人類共通の課題解決」だが、それは今まさに人類が直面しているコロナ禍を指す。大阪万博が「Society 5.0」をキーワードに掲げる万博である以上、コロナ対策の1つとして、来場できなくても、VRなどを活用した遠隔で観覧できる仕組みを導入するのは、ある意味当然の帰結だろう。
この点、地元経済界からも「リモート開催」や「世界各都市での分散開催」を主張する意見が出ているようだ。そもそも、アフターコロナの時代に突入した世界が、数万人、数十万人が一堂に会するようなイベントを受け入れるのか。また、それならば分散すればOKという話でもなさそうだ。リモート開催は現実的と見られているようだが、膨大な労力と金をかけて、リアルな場で万博を開催する意義を根底からひっくり返しかねない。
「未来社会の実験場」という大阪万博のコンセプトに照らせば、「VR万博」の開催はこれ以上ないほど開催テーマに合致する。ただ、VR万博に対し、世界の人々が魅力を感じるのか。何より、商業ビジネスとしての万博の価値を大きく下落させるリスクもある。はたして万博は、人類共通の課題解決に向けた将来展望を示すイベントなのか、それとも、スローガンだけ高邁な商業イベントなのか。今後の大阪万博の動きで、明らかになるだろう。
(了)
【大石 恭正】
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