2024年04月30日( 火 )

中国は60年に一度の厄年か:近藤大介氏講演「アフターコロナの中国と日中関係」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
近藤 大介 氏

 7月14日、自民党副総裁の山崎拓氏が主宰する政経フォーラム(第31回)が福岡市中央区の「天神スカイホール」で開催され、ジャーナリスト、講談社特別編集委員(現代ビジネス、週刊現代)・近藤大介氏が特別講演の講師として「AC(アフターコロナ)の中国と日中関係」について語った。近藤氏は中国語、英語、韓国語が堪能であり、中国のインサイダー情報に通じるとともに、大量の中国関連報道を読みこなしていることで知られており、著書を多数執筆している。

 今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国という国をこれまで以上に強く意識させる年となっている。また、現在の大雨、洪水も、在中国の邦人、日系企業にも深刻な影響をおよぼしかねない。そうしたなかで近藤氏による中国の最新事情の紹介がなされたことは、非常に時宜を得たものといえる。

 近藤氏は、歴史的にみて、今年は中国にとって60年に一度の厄年に当たると指摘する。中国では、「庚子」(かのえね)の禍と言われている。
 振り返ると、1840年にアヘン戦争が起こり、欧米列強の半植民地時代が始まった。1900年に義和団の乱が起こり、清朝滅亡の契機となった。1960年には大躍進からの3年飢饉で、5,000万人ともいわれる餓死者を出した(餓死者数については諸説あり)。そして今年2020年の新型コロナウイルス、豪雨である。

 中国経済について厳しい見通しが示された。現在、新型コロナウイルス、先月からの大雨・洪水、そして近年の米中摩擦の「3重苦」にあり、V字回復は厳しいという。

 中国の外交の特徴について、近年「戦狼外交」と呼ばれている。対オーストラリア、カナダ、インドなどに見られる強圧的な外交が特徴であり、先月末の香港「国家安全維持法」の制定・施行に関しても同様だ。日本に対しても、7月12日時点で90日連続、中国の公船が尖閣諸島の接続水域に侵入している。
 その背景として、中国が大国としての余裕をなくしていることを指摘する。

 習近平国家主席の国賓来日について、もともと習主席は訪日を希望していたが、新型コロナで日本側が予定通りの実施に消極的になったことに対して習主席が不満を抱いたとの内部情報を紹介し、安倍政権の間は実現しないのではないかとの見通しを示した。
 米国の大統領選挙でバイデン政権が発足する場合には米日豪印による同盟・人権重視の対中国包囲網が構築される見込みを指摘しつつも、経済面で中国は日本にとって最大の貿易相手国(昨年は総額3,407億ドル)であり、九州の経済発展のために中国を活用することの意義を説いて、講演を締めくくった。

【茅野 雅弘】

関連記事