2024年04月29日( 月 )

中国経済新聞に学ぶ~「オーバー30女性」の仕事チャンス(前)

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 最近、中国のバラエティ番組の「乗風破浪的姐姐(風に乗り浪を破る姉さんたち)」が大人気だ。出演する女性メンバーが全員30歳を超えていることから、人々の間で「オーバー30女性」のキャリアアップに関心が集まり、議論が起きている。現実の暮らしのなかでは、働く女性の多くが、30歳を過ぎると家庭と仕事のバランス、仕事でのモデル転換といった問題に直面する。30歳は働く女性にとって1つの関門なのだろうか。

 中国青年報社会調査センターがこのほど問巻網と共同で、働く人1,973人を対象に調査を行った結果、86%が「周りにいる30歳以上の女性の多くは仕事でのチャンスが激減していると感じる」と答えた。女性が直面する問題は主に昇進のチャンスがなかなか得られないこと、重要な仕事は任されず人事異動もないことだ。54%が「優遇政策を打ち出して雇用機関が社会的責任をはたすよう奨励してほしい」と答えた。

86%「周りのオーバー30女性は仕事でのチャンスが激減している」

 上海の外資系企業で働く程静さん(仮名)は今年35歳で、2歳の子どもがいる。程さんの印象では、子どもを身ごもってから、仕事で妥協せざるを得なくなった。「妊娠初期に、重大プロジェクトでチームをつくることになった。自分は強い興味があり、他の人より経験もあると思っていたが、出産予定日とプロジェクト執行時期が重なり、チームに入れてもらえなかった」という。産休が明けて復帰すると、既存のプロジュクトに後から入ることはできず、彼女自身もエネルギーの一部を子どもに注がなければならず、退社すれば急いで家に帰らなければならなかった。新しいプロジェクトでは、自分でも重要な仕事を引き受けられるかどうか不安で、補助的な仕事をするしかなかった。

 「会社の上層部に女性はほとんどおらず、男性ばかりだ。少し前に女性の同僚が産休期間中に配置転換された。『みんな自分の仕事があって余裕がない』状態で、現場では誰かが責任を取らなければならないし、会社も正常に運営されなければならない」。このように話す29歳の胡茗菲さん(仮名)は最近、結婚の予定を立てつつ、転職のこともずっと考えてきた。「うちの会社は女性の昇進ルートが明らかに狭く、階層が上にいけばいくほど女性が少なくなる。早くから仕事で『ガラスの天井』にぶつかりたくはない」という。

 胡さんは最近、いくつかの企業の面接を受けた。面接官のなかには結婚しているか、子どもはいつ頃ほしいかなどと、遠慮なく聞いてきた人もいたという。「ある企業では最初は非常に良い感じで話が進み、仕事のキャリアや得意分野などは条件にぴったりだったが、いつ結婚するのかと聞かれて、予定があると答えると、雰囲気が一変して、結局採用には至らなかった。今少し焦っていて、早く転職しなければと思っている。結婚した後では転職市場からもっと 『排除』されるだろう」と胡さん。

 「うちの会社は収入と能力給が連動しており、収入の大部分が能力給によるものだ。産休を取ると、毎月基本給しかもらえず、家賃を払うのも難しい」。北京の民間企業に勤める張亭さん(仮名)はこのように話した。調査回答者の86%が、「周りにいるオーバー30女性の多くは仕事でのチャンスが激減していると感じる」と答えた。さらにこのうち22%が 「非常に多くの30歳以上の女性がそうだ」と回答した。

 それでは、30歳以上の女性が仕事でよく直面する問題は何か。「昇進のチャンスがなかなか得られない」(63%)がトップで、このほか「重要な仕事は任されず人事異動もない」(60%)、「産休中に配置転換され、減給された」(51%)、「閑職に追いやられた」(39%)、「新人と交替させられた」(31%)などがある。

 上海市弁護士協会労働関係研究委員会の委員を務める上海遠業弁護士事務所の温陳静代表は「30歳を過ぎたころは、働く女性にとって出産や子育てのピークの時期だ。我々が気づいたところでは、多くの女性がこの時期には、仕事のために出産を遅らせるか、出産・子育てのために仕事から離れるかしている」との見方を示した。

(つづく)


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