2024年03月29日( 金 )

業界団体の垣根を越え、連携しながらBIM普及を推進(前)

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建築倶楽部BIM推進協議会 会長 岩本 茂美 氏
((一社)福岡県建築士事務所協会 会長/(株)傳設計 代表取締役)

3つの部会で実践&ノウハウ共有

 ――今回、県内の8つの建築設計団体が連携して、「建築倶楽部BIM推進協議会」(以下、推進協議会)を立ち上げられるとお聞きしました。岩本会長はその発起人とのことですが、推進協議会の立ち上げに至った経緯をお聞かせください。

 岩本 建築設計の世界において、BIM(ビム/Building Information Modeling)という画期的なソリューションが登場して久しいのですが、日本ではまだそれほど普及が進んでいません。全国大手の設計事務所やゼネコンなどでは、BIMの導入に向けて取り組むところも増えてきていますが、残念ながらその動きは、地方の中小企業レベルにまでは下りてきていないのが現状です。

 一方で、BIMによる設計を実用レベルできちんとこなせる企業や設計事務所が国内にはまだ少ないため、中国を始め海外にアウトソーシングするようなケースも出てきていると聞きます。業界団体としては、このまま地場中小の設計事務所がBIM普及の波に乗り遅れるのを見過ごすわけにはいきません。誰かが立ち上がって取り組まなければならない、喫緊の課題だと考えています。

 私が会長を務める福岡県建築士事務所協会でも、2018年ごろから「BIMとは何ぞや」というBIMの概要についてのセミナーを開催したり、実際にBIMのソフトの操作体験会を実施したりして、会員に向けてBIM導入の有効性などを発信してきました。ですが、1つの業界団体としての取り組みだけでは、普及推進にも限界があります。そこで私が提案するかたちで、19年の夏ごろから県内の建築設計8団体が連携した推進協議会の発足に向けての動きを進めてきました。

 今回参加するのは、(公社)福岡県建築士会 福岡地域会、(一社)福岡県建築士事務所協会、(公社)日本建築家協会 九州支部 福岡地域会、(一社)日本建築構造技術者協会 九州支部、(一社)福岡県設備設計事務所協会、(公社)日本建築積算協会 九州支部、日本建築学会九州支部 福岡支所、(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会 九州支部で、この8団体が参加する「福岡建築倶楽部」の下に設置するかたちで今回、推進協議会を立ち上げました。

 それぞれの業界団体の垣根を越えて連携していくなかで、建築士事務所におけるBIMの普及に努めていくことはもちろん、成果物の品質や性能の向上、蓄積された情報・ノウハウの活用および共有、そして管理などを行うなかで、全体としてのレベルアップを図っていきたいと思います。まずは、BIMでどういうことができるかを示していくことで、BIMへの興味を引き出し、普及推進への第一歩としていきたいと思います。

仮想空間上に、さまざまな属性情報を含んだ部材で3次元モデルを構築する「BIM」

(つづく)

【坂田 憲治】


<PROFILE>
岩本  茂美
(いわもと・しげみ)
1985年3月に鹿児島大学大学院工学研究科建築学専攻を修了後、高校講師や鹿児島大学工学部建築学科助手を経て、88年4月に(株)隆設計事務所に入社。90年8月に伝設計事務所を設立し、96年8月に(株)傳設計へと社名・組織変更し、代表取締役に就任した。現在、(一社)福岡県建築士事務所協会の会長を務めるほか、各関係団体の役員などを歴任。長年にわたって建築設計監理業に精励するとともに、関係団体の役員として地方業界の発展に寄与した功績が評価され、2020年7月に国土交通大臣表彰を受賞した。

(中)

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