2024年03月29日( 金 )

1府34県の広範囲で被害「令和2年7月豪雨」

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全国各地で多数の被害

市街地まで水に浸かった大牟田市内(7月8日撮影)

 7月3日から31日という長期間にわたって断続的に大雨をもたらし、気象庁によって「令和2年7月豪雨」と命名された一連の集中豪雨は、降水量の総和で“平成最悪の水害”といわれた「平成30年7月豪雨」(通称:西日本豪雨)を上回ったとされている。

 まず、7月3日から8日にかけては、九州付近から東日本にかけて伸びた梅雨前線がほぼ停滞したことで、西日本や東日本で大雨となった。とくに4日から7日にかけて九州で、7日から8日にかけて岐阜県を中心とした中部地方で記録的な大雨になった。

 これを受けて気象庁では、熊本県、鹿児島県、福岡県、佐賀県、長崎県、岐阜県、長野県の7県に大雨特別警報を発表。最大級の警戒を呼びかけた。その後も前線は本州付近に停滞。西日本から東北地方の広い範囲で雨の降る日が多くなり、13日から14日にかけては中国地方を中心に、26日から29日にかけては東北地方を中心に大雨となった。3日から31日までの総降水量は長野県や高知県で2,000mmを超えたところが出たほか、九州南部、九州北部、東海、東北の多くの地点で、24/48/72時間降水量が観測史上1位となった。

 これにより、北は青森県から南は鹿児島県に至るまでの1府34県で、全壊319棟・半壊2,009棟・床上浸水6,985棟などの計1万8,492棟もの住家被害と、死者・行方不明者86人、重軽傷者29人という人的被害が発生(8月24日時点)。道路や橋梁などのインフラやライフラインにも甚大なダメージを与えたほか、農業を始めとした地域の産業などにも大きな被害をもたらしている。

被災地の復旧・復興に向けて

 こうした状況を受けて政府は今回の豪雨を、阪神・淡路大震災や東日本大震災、西日本豪雨などと並ぶ7例目の「特定非常災害」に指定(7月14日閣議決定、同日公布・施行)して、被害者の権利利益の保全などを図るための特別措置を受けられるようにしたほか、大規模災害復興法に基づき、熊本地震や台風19号(2019年)に続いて3例目となる「非常災害」に指定(7月31日閣議決定、8月5日公布・施行)。これにより、市町村が管理する道路や河川などの復旧工事を都道府県が代行できるようになる。

 また、地方公共団体の行う災害復旧事業などへの特別の財政援助や中小業者への保証の特例など、特別の財政助成措置を行う「激甚災害」にも指定した(8月25日閣議決定、8月28日公布・施行)。さらに、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に向けた支援パッケージを直ちに実施するため、その第1弾として総額約1,000億円の予備費の使用を閣議決定(7月31日)。そのほか、住宅に多数の被害が生じた5県では、住宅が壊れた人に最大300万円の支援金を支給する被災者生活再建支援法の適用を決定した。

【坂田 憲治】

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