2024年04月19日( 金 )

放生会の賑わいを取り戻す

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(一財)筥崎宮露店保存会・代表理事 石橋 一海 氏

 今年の放生会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、神事のみの実施となり、露店の出店などの行事は中止となった。筥崎宮の露店商らで組織する(一財)筥崎宮露店保存会の代表理事・石橋一海氏は、来年以降に参道の賑わいが復活することに期待を寄せている。

筥崎宮あっての活動

 ――今年は「放生会」の行事が中止となりました。

 石橋 博多の三大祭りである「博多どんたく港まつり」「博多祇園山笠」「放生会」のいずれも中止となりました。「放生会」は毎年100万人以上の参拝客で賑わいますが、この賑わいに色を添えてきたのが約500もの露店です。「放生会」行事の中止は残念でなりません。

 ――筥崎宮露店保存会とはどんな組織ですか。

 石橋 筥崎宮露店保存会は2010年に、筥崎宮の参道に出店する露店商約400店が設立した組織です。放生会には、筥崎宮露店保存会ほか3団体が出店します。筥崎宮露店保存会は、露店の維持や発展、祭礼の隆盛を目的としており、行事では出店場所の指定・配分や安全衛生、労務管理の指導を行います。
 筥崎宮露店保存会は筥崎宮あっての活動ですので、神社境内の清掃活動の推進や祭事に関する広報活動なども行います。

会の運営は公平な立場で

 ――昨年、代表理事に就任された経緯は。

 石橋 私は電気工事業者として30年ほど前から放生会の露店に関わっており、筥崎宮露店保存会の法人化の際に理事就任のお話をいただき、昨年まで理事を務めておりました。そうしたなかで、昨年ほかの理事の方より代表理事の就任の打診があり、「お役に立つことがあるならば」と3代目代表理事を引き受けました。私自身は露店商ではないため、出店者の全員に公平な立場で会の運営にあたりたいと考えています。

 ――暴力団排除など、組織で取り組んでいくことは。

 石橋 筥崎宮露店保存会の法人化にあたり、あらゆる方面からコンプライアンスに関するチェックを受け、一般財団法人として発足することができました。今後も福岡県警に指導をあおぎながら、その健全性を守っていきたいと考えています。
 さらに、会員名簿の作成・整理を進め、法人として透明化を加速したいと考えています。また、参拝客の安全が大事ですので、露店商の出店時には消防署の講習を受け、ガス工事会社が巡回して安全確認をする流れを守り、安全の確保にこれまで以上に注意を払っていきたいと考えています。

賑わう放生会(2017年撮影)

露店の再開を目指す

 ――あと数カ月で初詣の時期になりますね。

 石橋 筥崎宮は三社参りの1つに含まれており、参拝者にとって非常に重要な神社です。初詣に向けて、対応を早急に進めなければいけません。露店商は、今年の春以降の売上がまったく立たず、助成金などで対処してきましたが、限界が近づいています。時短営業を行うなどの工夫をして、早期に露店を再開することを目指していますが、屋外とは言っても、参道が賑わうことは密状態になることを意味します。ワクチンが早期に開発されることを願うばかりです。

 ――露店の存在意義とは。

 石橋 露店は、我が国の貴重な文化であり、露店商は日本の祭りを盛り上げる重要な役割を担っています。私は八女郡広川町の出身ですが、子ども時代は集落ごとに祭りがありました。祭りでは10円玉を握りしめて、露店で駄菓子やりんご飴を買ったり、金魚すくいをしたりすることを楽しみにしていたものです。
 今年は三大祭りだけでなく、春以降に開催される祭りがすべて中止となり、残念でなりません。1日も早く新型コロナが収束することを願うとともに、露店の賑わいが感じられる日々を取り戻していきたいと思います。

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