2024年04月19日( 金 )

BIS第170回例会~ワシントンDC、ローマを結ぶオンライン開催(4)

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 8月30日(日)の午後1時30分~5時まで、日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS、中川十郎会長・名古屋市立大学特任教授)第170回例会がZOOMを用いてオンラインで開催された。ZOOMによる開催は、29年の歴史を誇るBISで初めての試みだ。
 今回は「新型コロナ後の世界」をテーマとして、医学や経済学、社会学など幅広い分野の発表があった。当日は東京だけでなく、ワシントンDC、ローマ、仙台、大阪、福岡などから50名を超える有識者が参加した。

米大統領選で民主党勝利なら、国際協力体制へ

 以上を踏まえて、廣野氏は「日本は、SDGsの優先的な目標のみならず、あらゆる地球規模の課題への取り組みのなかで、自由民主主義体制の維持・発展を基礎とする先進諸国の一員として実行すべきである」として、以下の内容を語った。

 主権国家として自国の政治体制の維持に固執する新興国や発展途上国との間で、今後は長期間にわたる国際交渉が予想され、国際格差は大きく変化する可能性がある。しかし、グローバル企業や多国籍企業は、政治的な体制に依存しない資本・技術・業務の連携強化を摸索し始めている。いずれの企業も自社の存続・発展のためには、コスト・便益の予測に従って、国際企業連合に参加する自国企業を後押しすることが重要である。

 ただし、ファーウェイやほかのIT関連企業をめぐる米中対立のように、国際交渉を主導する国から「踏み絵」を迫られる場合には、安全保障に配慮するための地政学的視点が今までよりも重要となる。

 また、廣野氏は「新しい『冷戦体制』下では核の脅威があるため、いずれの国の国民、政府、企業などのステークホルダーもソフト・ランデイングを望んでいる」と語り、以下の予測を提示した。

 本年11月の米国大統領選挙で、国民の再結束(Build Back Better)と国際協調を重視するジョー・バイデン民主党候補が選出されたら、最終的には先進諸国、発展途上国問わず政経分離の原則に基づく国際協力体制へ着水するだろう。そして国家間の多少のブレがあっても、安定した国際関係・秩序が形成される公算が再び濃厚になると思われる。ウイズ・コロナ時代に入り、コロナ禍は両陣営間にとっての「蝶番」の役割をはたす可能性が高いだろう。

 最後に廣野氏は、「1カ国のみがうまくいっても、その周辺諸国もうまくいかなければ意味がない。全世界が良くなることを目指すべきという考え方を推進していかなければならない」と結んだ。

 廣野氏の講演終了後、ワシントンDCの今村氏と、SDGsの目標達成に大きな影響力をもつ「アメリカ大統領選の動き」についての意見交換が行われた。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策では国外への広がりが見えず、SDGsの目標達成に障害があると考えられている。

(つづく)

【金木 亮憲】

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