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2020年10月01日 17:10

【IR福岡誘致特別連載9】海外投資企業にもっとも高評価なのは既存の交通インフラ網

 下の図は、現状の福岡市都市圏での鉄道輸送に関する福岡市行政発行の交通網の案内図である。これはまた同時に福岡IRの目的地「海の中道公園駅」(JR九州西戸崎線)までの全路線図でもある。

 交通網は全国のIR(カジノを含む統合型シティリゾート)の候補地において、もっとも重要かつ不可欠であり、IR誘致開発事業の要である。その目的地までの集客力が重要であり、福岡都市圏においては「鉄道インフラ」網、アイランドシティまで伸びた都市高速道路、4車線に拡幅された一般道路などがすべてすでに整っている。ほかの候補地では既存の交通網はこれほど充実していない。

 これを具体的に説明すると、この既存の鉄道路線(JR九州、西日本鉄道、福岡市営地下鉄空港線・貝塚線)のすべてのレールの軌道の幅が1,067mで統一されており、同じ軌道規格を使用しているのである。このように既存交通網のレールの軌道の幅まで一致しているIRの候補地は日本全国各地ほかに類をみない。

JR九州と西鉄共同使用の和白駅

 IR福岡は、新型コロナウイルス収束後の疲弊した福岡市行政の財政再建(市営地下鉄などを含めて)と民間企業の経済再生を促し、コロナ以前からの鉄道の不採算路線(JR九州、西日本鉄道)の改善効果も併せて、新しい魅力的な案件になるだろう。市営地下鉄と西鉄との乗り換え貝塚線「貝塚駅」、西鉄とJR九州の乗り換え共同使用の「千早駅」と「和白駅」の軌道が同じ規格であるため、将来これらの路線を連結することは難しくなく、可能である。博多駅からのみならず、天神駅や福岡空港、北九州市からも海の中道に簡単に行ける。

 もっとも進んでいるといわれる「大阪IRのMGMとオリックス」のコロナ感染拡大問題後の最大の課題は、この鉄道インフラの新たな延長およびその建設整備に懸かっていると言っても過言ではない。
 当該候補地の此花区夢洲までの鉄道路線の延長工事は約200億円(USJからの延長工事費)と言われ、当初はMGMが負担する予定であったが、コロナ感染のためいまなお明確になっていない。今後、負担がどうなるかは別として、新たな鉄道インフラ工事が必須だということに変わりはない。

 横浜IRも当該候補地の山下埠頭までの新たな路線延長整備が不可欠である。

 ほかの候補地の和歌山IR、長崎IRもJRの路線はあるが、長崎本線肥前山口駅から長崎IRの候補地までは単線のみであり、長崎新幹線の新設、高速道路、一般道路の拡幅整備には莫大な費用を必要とし、実際のところ交通インフラは一切整っていない。これらが、福岡IRとまったく異なる各候補地の現実の姿である。各候補地の行政は、本件は国による認定が決まってから具体的に進む案件だとしているが、とんでもない話であると思う。

 福岡IR関係者によると、米国のプロの調査機関による事前可能性調査によると、本件IRの施設建設工事費の総額は約4,000億円(第1期工事)で、施設総使用面積は54ha(駐車場含む、カジノ施設は総建築面積の3%以下)、年間集客数は1,283万人であるという。さらに、福岡市行政に入る新たな税収は諸々合わせて年間約400億円といわれる(すべてコロナ感染以前の数値)。また、この開発案件による新規の雇用効果は直接間接併せて約2万人、同様の経済効果は2兆円としている。

 コロナ感染の収束後の日本経済のV字回復などはありえない。この環境下にもかかわらず、カジノ投資開発を行う多くの海外企業が、先日の福岡市行政への上申書提出後に積極的に福岡市に対してアプローチをしてきていることはすでに報じた。彼らが評価する主な理由は前述の「交通インフラ」の充実度と、行政先行の御用調査機関による作成とは異なる、本当のプロが作成した事前可能性調査等の信憑性である。ちなみに長崎IRは年間740万人を集客すると計画しているが、上記の福岡都市圏の各種条件と比較して、その信憑性については何をか言わんやだ。

 このような理由から、当該候補地周辺の住民自治団体「僕の街にはアメリカがあったの会」を中心とした民間組織による本件IR誘致開発要請を、今後福岡市行政が拒む理由など一切見つからないのである。

 ほかのIR誘致開発事業が、ギャンブル依存症などへの懸念を理由とした候補地周辺地域住民の大反対に遭うなか、同じくIR誘致を掲げる福岡IRにおいては、地元自治団体とJC福岡関係者などからなる民間組織が、行政に対して積極的な誘致要請を提出するという前代未聞」の行動をとっており、他の地域とは真逆の状態だ。これはすべて前向きで魅力的な人たちの集まりによるものだ。福岡市行政が近く正式に本件IRに立候補することを楽しみにしよう。

【青木 義彦】

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