2024年04月26日( 金 )

西区・橋本駅前で区画整理事業が始動

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ランドマーク「木の葉モール橋本」

 福岡市西区橋本から、市内屈指の商業集積地・天神までを結ぶ「福岡市地下鉄七隈線」(以下、七隈線)。西側の起点、「橋本駅」を擁する橋本エリアは、七隈線に加えて、国道202号バイパスも通っており、市中心部への交通アクセスは決して悪くはない。

主要道路国道202号バイパス

 しかし、天神から見れば橋本は七隈線の終着駅。自動車で移動したとしても長時間滞留する場所というよりは、通り過ぎる場所だった。遠方からの集客―これが橋本エリアの課題だったといえる。この状況を一変させたのが、ショッピングモール「木の葉モール橋本」の誕生だった。

 「木の葉モール橋本」は2011年4月15日に開業した。管理・運営は、これまでに複合商業施設「キャナルシティ博多」や、九州最大級のアウトレットモール「マリノアシティ福岡」といった大規模開発を成功に導いてきた福岡地所グループが手がけている。

橋本駅直結連絡橋

 同モールでは、スーパーマーケット「サンリブ」や「福屋書店」など、120店舗以上が営業中(20年9月現在)。また、福岡市内の図書館で借りた本を返却可能な「図書館資料返却ポスト」を設置するなど、行政サービスとの提携も実施している。近隣住民からの利用だけでなく、橋本駅と連絡橋「はしもとふれあい橋」で直結しており、駅の利用者が流入しやすいように工夫が施されたことで、周辺エリア一帯で活気が感じられるようになっている。もともと中小規模の商業施設が多いエリアではあったが、「木の葉モール橋本」がランドマークとして機能することで、「ついで利用」が促進されているものと考えられる。

定住人口と交流人口の増加に期待

 木の葉モール橋本の誕生以降、同モール利用者を中心に橋本エリアの交流人口は増加傾向にある。対照的に、橋本エリアを含む壱岐南校区の人口推移を見た場合、減少傾向にあることがわかる(図参照)。

壱岐南校区の人口推移(「福岡市登録人口(校区別)」参照)

 この状態を打破するきっかけとして注目されるのが、「橋本駅前土地区画整理事業」だ。同事業の施行区域は福岡市西区戸切2丁目~橋本2丁目の各一部。開発規模は7.3haで、現状は農地が3.4haと大半を占める。開発余地は十分に残されており、宅地の利用増進を図る目的で上下水道の整備が行われる。新たな商業施設の誘致や、共同住宅や戸建の新設を通じた、都市機能の強化、住民のさらなる利便性の向上が期待される。

橋本駅前土地区画整理事業

 また、22年度に予定されている七隈線の延伸区間(天神南~博多、約1.4km)の開業に合わせて、区域内の都市計画道路の整備も実施する。交通ネットワークの強化により、エリア外からの集客力向上が果たせるか注目だ。なお、都市計画道路としては、姪浜飯盛線、橋本戸切線、橋本駅前広場を含む戸切通線の計画が進んでいる。

 同事業をサポートするのは、名古屋市に本社を置く玉野総合コンサルタント(株)。同社はこれまで、既成市街地の再生や公共公益施設の計画・設計などを通じて、さまざまな都市のまちづくりに携わってきた。そんな同社が描いた再開発プランが、橋本エリアでどのようなかたちで具体化するのか、今後の動向に注目したい。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、計画内容や事業スケジュールに変更が生じる可能性は高いが、事業施行期間は25年3月31日までを予定している。

橋本エリアその他商業施設

【代 源太朗】

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