2024年04月18日( 木 )

【特別寄稿/游錫堃・台湾立法院院長】民主主義、春の歩み

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台湾立法院院長 游 錫堃

 台北駐福岡経済文化弁事処より、游錫堃(ゆう・しゃくこん)台湾立法院院長(国会議長に相当)の記事を寄稿していただいたので、掲載する。游院長は台湾民主進歩党主席、行政院院長(首相)などを歴任した民進党の実力者の1人。今年8月にチェコ上院議長が台湾を訪問するなど、欧州の議会との交流を進めている。

“Mohou rozdrtit kvӗtiny, ale nemohou zastavit jaro.” —Alexander Dubček
「彼らは花を砕くことができますが、春を止めることはできません」━ドゥプチェク

民主国家への観念変換

游 錫堃氏

 台湾の民主的で自由な政治体制に対して深く共感するチェコは、ビストルチル上院議長が今年8月末にミッションを引率して台湾を訪問することについて、上院が50対1の議決でもって支持しました。くわえて、アメリカのポンペオ国務長官も称賛しました。さらに70名の欧州議会、アメリカ、ドイツ、フランス等の民主国家の国会議員も、ビストルチル議長の訪台を支持する署名を集め、共同声明にて支持を表明しました。
 中国の王毅外相からの「高い代償を払わせる」との恫喝を受け、EUやドイツ、フランス、スロバキア等の政治リーダーが相次いで中共を非難しました。

 このように欧州が変化しつつあり、世界も変化しつつあります。これらの変化を我々に理解させるため、ビストルチル上院議長が春のツバメのように、台湾に民主と人権の春のメッセージをもたらしてきました。

民主の堡塁━台湾の経験

 過去数十年間、台湾が中国共産党の武力による威嚇と言論での攻撃を受けて、国際機関への参加を妨害されたことにより味わった苦痛について、世界の人々からはあまり理解されていないようです。例えば、新型コロナウイルスが世界に拡散された際、台湾は防疫の優等生にもかかわらず、いまだに中共によりWHOの蚊帳の外に置かれたままです。

 近来、中共がより一層ひどくなり、中国外務省は台湾海峡の中間線はそもそも存在しないと公言し、軍用機、戦艦、ミサイルをもって繰り返し台湾を威嚇し、武力で第一列島線に位置している民主の堡塁である台湾を封じ込め、意図的に紛争を起こした結果、ついに民主国家の注意を喚起した。

21世紀、中共の大寒波

 中共は「韜光養晦」、「和平崛起」のキャッチフレーズを掲げ、不公平な貿易と知的財産権を盗み取る形で、世界第2位の経済大国へと急速に上り詰めた。しかしながら、一方で宗教への迫害や人権の剥奪という極端な手段により、チベットを統制し、新疆ウイグル自治区の住民を監禁し、香港を迫害し、台湾を虐げ、内モンゴルの環境・文化を破壊するなどしてします。さらに、「戰狼外交」や一帯一路で腐敗と覇権を輸出し、まるで21世紀の反民主主義、反人権の大寒波のようなものであり、ゆくゆくは自由世界を飲み込もうとしています。その結果、世界の人々は中共の真実の姿を見極めることができるようになりました。

春の歩みが近づいてきた

 チェコ「プラハの春」の指導者ドゥプチェク氏が、「彼らは花を砕くことができますが、春を止めることはできません」という名言を残しました。中共の反民主主義、反人権の大寒波に立ち向かうことにより、かえって春の歩みが近づいてきました。世界が目覚めつつあり、国際社会において新しい封じ込め対策も形成されつつあり、民主国家同士には今後より多くの協力の機会があると思われます。

 私が政治の世界に入り、40年近くになりますが、常に民主主義や人権を最高の基準にしてきました。現在、立法院長として台湾と世界の民主国家の国会との交流に取り組むことが私の責務です。チェコ上院議長が台湾に欧州の道を開いてくれました。これから我々は両手を広げ、世界の民主主義の友人を迎え入れることを目指していきます。

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