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2020年10月23日 10:02

ハゲタカ資本のために働く菅内閣 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を紹介する。
 今回は、種苗法の改悪阻止を強く訴えた10月22日付の記事を紹介する。


 10月26日にようやく臨時国会が召集される。菅義偉内閣が発足したのは9月16日。1カ月半もの間、菅内閣は所信表明さえ行っていない。
 この間に、日本学術会議会員の任命拒否問題が発覚した。日本学術会議法の規定に基づき、会員は学術会議が推薦し、内閣総理大臣が任命する。
 その任命は「形式的任命にすぎず」「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、その通りのかたちだけの任命をしていく」ことが1983年の国会答弁で明らかにされている。
 日本学術会議は日本学術会議法第17条の規定に基づき「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣総理大臣に推薦する。」
 このとき、内閣総理大臣は学会の推薦を拒否せず、形だけの任命をすることが国会答弁で確認されている。
 ところが、菅義偉首相は学術会議が推薦した105名のうち、6名に対して任命を拒否した。その理由は、6名の学者が、政府の施策に対して反対意見などを表明してきたことにあると推察されている。
 政府に楯突くものは法律違反を犯してでも排除する。この姿勢は民主主義国家の政府のものでない。全体主義、独裁国家の政府の行状だ。菅首相は法律違反の任命拒否を撤回し、直ちに6名の候補者を会員に任命する必要がある。
 この指摘に対しても菅首相は真摯に答えない。「総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」「推薦の通りに任命すべき義務があるとまではいえない」の言葉が繰り返されるが、任命を拒否した理由になっていない。
 具体的に6名の候補者に対して任命拒否することを提言したのは杉田和博内閣官房副長官であると見られる。
 野党は杉田氏の国会参考人招致を求めているが、自民党は「過去に前例がない」ことを理由に拒絶する構えを示している。これこそ、「悪しき前例踏襲主義を打破する」必要があるのではないか。
 野党は立憲民主党の安住淳国対委員長が折衝の窓口になっているが、安住氏はいつも自民党の森山裕国対委員長の言いなりになっている。この問題でも安住氏が森山氏の言いなりになるなら、立憲民主党は安住氏を更迭すべきだ。
 国会審議の段取りを整える国対委員長が自民党に丸め込まれているなら、緊張感のある国会審議など成り立ちようがない。召集される臨時国会では、まずは、菅首相による違法任命拒否の撤回と6名の候補者に対する任命実施確約確保が求められる。野党は厳しい姿勢で国会に臨むべきだ。
 その結果として菅義偉氏が衆院解散に踏み切るなら、野党は堂々とその挑発に対応すべきだ。
臨時国会には9本の法案と1本の条約批准案が提出される見通しだ。提出される法案の数は絞られる。しかし、このなかに「種苗法」改定案が含まれる見通し。通常国会では審議未了になり、継続審議になった。種苗法改定の焦点は、農家による自家採種を原則禁止にすること。農家は生産する農産物の種子を自家採種して農業に取り組んでいる。
 これまで自家採種は原則として自由だった。ところが、菅内閣はこの基本を大転換しようとしている。農家の自家採種を原則禁止にする方針なのだ。種子の育種権者の権利を保護することが理由とされるが、種苗法が改定されれば農家は甚大な被害を受けることになる。そのことは、直接、消費者の不利益につながる。
 要するに、種子ビジネスを支配するグローバルな巨大資本の利益を拡大させるために、日本の農家、日本の消費者に取り返しのつかない犠牲を強いるのが今回の種苗法改定=改悪案なのだ。

 山田正彦元農林水産大臣が中心になって
『タネは誰のもの』
という映画が制作された。
 直ちに、日本の主権者が全員、この映画を視聴すべきだ。10月31日(土)にも日比谷コンベンションホールで試写会が開催される。
https://kiroku-bito.com/tanedare/
ぜひご高覧賜りたい。

また、10月28日(水)夕刻から政策連合(オールジャパン平和と共生)主催
「政策連合総決起集会&松元ヒロさん公演」

フライヤー
https://bit.ly/340utGv

プログラム
https://bit.ly/37dPZd0

が四谷区民ホールで開催される。参加ご希望の方は、いますぐ、氏名、住所、電話番号を明記の上、

info@alljapan25.com

までメールでお申し込みを賜りたい。
 種苗法改定はUPOV(ユポフ)条約に基づくもの。植物の新品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することで、優れた品種の開発と流通を促し、農業の発展に貢献することを目的として締結された条約。育種権者の利益を保護するための条約である。
 日本語では「植物の新品種の保護に関する国際条約」と訳されている。1961年に採択され、1968年に発効。1978年と1991年に大きな改正が行われた。日本のUPOV条約批准にともなって制定されたのが種苗法。
 しかしながら、これまでの種苗法では自家採種が原則自由とされてきた。そのなかで、2016年までは「農家が自由に自家増殖できない品目」(登録品種)が82種リストに提示され、この品目に限って自家採種が制限されてきた。
 この自家採種制限を、一気にすべての登録品種に広げるというのが今回の種苗法改定の核心だ。
 農水省は固定種、在来種や育種権者が許諾する登録品種の自家採種は今後も行えると説明するが、極めてミスリーディングな説明だ。すでに、日本の農家が育成する農作物の過半が登録品種である。
 登録品種では育種権者が自家採種禁止を求めれば農家は自家採種できなくなる。映画『タネは誰のもの』のなかで詳細に紹介されるが、農業生産者は血のにじむような努力を重ねて、すぐれたタネの確保に力を注いできた。同じ品種であっても、優れた果実をもたらすタネは何年もの時間をかけて選別に選別を重ねてようやく入手できるものなのだ。
 多数の優れた果実をもたらす優れた苗木を確保するには多年にわたる「選別につぐ選別」のプロセスが必要不可欠だ。
 育種権者の利益が優先されて、一代しか生育しない品種のタネ購入を毎年強制されるならば、農業生産者は高品質の生産物を確保できなくなる。
 グローバル巨大資本は多くの在来種、固定種について、費用を投じて登録品種化することが見込まれる。これまで自家採種可能だった品種が次から次に巨大資本によって登録品種にされてしまうと、農業生産者はこれらの品種の自家採種を行えなくなる。農水省の「固定種や許諾のある登録品種の自家採種は今後も可能」との説明は現実と齟齬を来す。
 ほとんどの品種が登録品種にされて、巨大資本は飽くなき利益追求で品種使用料を農家から吸い上げることになる。
 このような事態が生じることが明白なのだ。
 菅内閣は、日本の優れた品種が海外に流出して育種権者の利益が損なわれるから、これを防ぐために法改定が必要と説明するが、現行法制度の下でも育種権者の保護は可能である。
 山形のサクランボ育種権者が提起した訴訟では実際に解決を見ている。また、種苗法を改定せずに、育種権者の利益を保護する方策を確立することもできる。菅内閣が種苗法改定を急ぐのは、グローバルな巨大資本が菅内閣に種苗法改定を命令しているからだ。
 菅内閣は国民の利益ではなく、グローバル巨大資本の利益を優先している。「国民のために働く内閣」ではなく「国民のために働か内閣」なのだ。
 タネに関しては、より重要なもう1つの条約がある。「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約」略称はITPGR。この条約第9条に農業者の権利が定められている。
 「この条のいかなる規定も、農場で保存されている種子又は繁殖性の素材を国内法令に従って適当な場合に保存し、利用し、交換し、及び販売する権利を農業者が有する場合には、その権利を制限するものと解してはならない。」と明記している。
 そもそもタネは天が私たちに付与した遺伝資源。特定の大資本の私有物ではない。その遺伝資源を大資本が私物化しようとし、菅内閣が積極的援護を行おうとしている。種苗法改悪を阻止しなければならない。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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