2024年04月20日( 土 )

県内8団体が連携してBIM普及を推進~「建築倶楽部BIM推進協議会」設立総会が開催

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「建築倶楽部BIM推進協議会」設立総会の様子

 11月17日、県内の建設設計関連の8団体が連携し、中小規模も含めた建築士事務所にBIMを普及させていこうとする「建築倶楽部BIM推進協議会」(以下、BIM推進協議会)が設立総会を開催した。冒頭、発起人である(一社)福岡県建築士事務所協会会長・岩本茂美氏は、「大手だけでなく、2~3人ほどの小規模な事務所でもBIMを活用できるようになって初めて、BIMが普及したといえる。それこそがBIM推進協議会の目指すところだ。そのために、皆さんで手を携えてBIMを推進していきたい」と挨拶。業界団体の垣根を越え、一丸となってBIM普及を推進していきたい考えを示した。

 BIM(ビム/Building Information Modeling)とは、コンピューター上の3次元の仮想空間のなかに、模型のように建物を組み上げる設計手法のこと。設計から施工、維持管理までのあらゆる工程でデータを一元的に管理することが可能で、視覚的な伝達性にも優れており、数々のメリットを有しているが、導入から実用化に至るまでのハードルが非常に高く、一部の大手を除いては、まだ全国的にあまり普及は進んでいない。

発起人であり、建築倶楽部BIM推進協議会の初代会長となった
(一社)福岡県建築士事務所協会会長・岩本茂美氏

 今回のBIM推進協議会は、建築設計に関連する8つの業界団体(【表】参照)が参加する「福岡建築倶楽部」の下に設置するかたちで設立。初代会長には岩本氏が、副会長には福岡県建築士会会長・鮎川透氏と、(公社)日本建築家協会九州支部支部長・松山将勝氏がそれぞれ就任した。

 BIM推進協議会では、まずは各団体に所属する会員に向けてBIMの有用性を周知するとともに、普及を阻む現状の課題を洗い出し、その解決策を提示。また、複数の設計事務所がワークシェア型でBIMを用いて実際の設計業務を行う場を設け、そのなかで技術やノウハウ、建築部材データなどを蓄積・共有していく。BIM導入および運用上のハードルを業界団体の連携によって下げることで、中小規模や個人の設計事務所などでも、BIMを導入しやすくしていくことが狙いだ。実際の活動は、「システム部会」「技術部会」「実務部会」の3つの部会それぞれで行われるが、そこで得られたノウハウやデータなどを共有しながらフィードバックを行い、徐々に全体のレベルの底上げにつなげていきたい考えだ。

 こうした複数の業界団体が一緒になってBIM普及を進める取り組みは全国的にも珍しく、今後の活動がうまく軌道に乗れば、業界での新たな動きとして、“福岡発”のモデルケースになっていきそうだ。

【坂田 憲治】

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