わらび座ミュージカル「北斎マンガ」特設ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年11月20日 07:00

ストラテジーブレティン(266)2021 年の景気拡大前に、投機化する米国金融~日本株式の相対優位鮮明に~(中)

 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は2020年11月17日付の記事を紹介。


(2)2021年の3つのたしかなこと、景気回復はたしかだが…

景気回復はたしか、しかし大きな不確実性

 2021年の展望に関してはさまざまな憶測が飛び交い、明確なシナリオは立てられないが、少なくとも3つのほぼ確実なことが想定できる。これをベースに市場の趨勢を考えてみたい。

 第1にたしかなことは、21年は世界経済回復年になるということである。4つの要因が指摘される。
 (1)コロナ感染沈静化
 (2)堆積した欲望と貯蓄(ペントアップデマンド)
 (3)世界的財政金融支援
 (4)イノベーション加速(ネットデジタル、新エネルギー、脱中国サプライチェーン構築)
 である。

中国の圧倒的なけん引力

 なかでも、コロナ感染を完全に制圧した中国の「圧倒的なリード」がはっきりしてきた。IMFによる21年の経済見通しは、コロナ前の19年対比で、中国+10.3%、米国-1.3%、欧州-3.5%(独-2.0%、仏-4.3%)、日本-3.1%、と中国が突出して世界経済をけん引する見通しである。

 中国のGDPは米国の3分の2であるが、製造業の国民所得に対する比率は29%と米国の11%の3倍であることから、製造業の市場では米国の2倍の規模がある。商品市況、国際貿易などモノの動きでは中国が圧倒的プレイヤーなのである。この中国の鋭角回復(20年+1.9%(前年比)、21年8.2%(同))が世界経済の機関車であり、その恩恵が日本経済におよんできた。

空前の投資資金

 第2にたしかなことは、超金融緩和の下での空前の投資資金の存在である。米国のMMFには4.6兆ドルという空前の待機資金が積みあがっているが、有利な投資対象が見当たらなくなりつつある。クレジット・リスクプレミアムは大きく低下しており、限界に近い。各国の長期金利も米国を始め歴史上最低になっており、債券投資はリスクとなっている。

米政策、米中関係、エネルギー政策、すべてが見えない

 第3にたしかなことは大いなる不確実性である。まず米国でトランプ氏からバイデン氏へと政権が移行し、米国で成長ゲームのルールチェンジが行われるが、バイデン政策の輪郭が見えない。

 民主党の左派主導による多くの政策アジェンダは、企業増税・キャピタル課税増税・ウォール街規制強化・グリーンニューディール・インフラ投資などで、その多くは実施されないとの観測もあるが、わからない。

 株式市場が牽引車となったトランプ政権までのポリシーミックスが、財政牽引の大きな政府へとシフトすることは長期的に見て望ましいと考えられるが、それが打ち出されれば市場へのショックは一時的には大きくなるだろう。

 次に、米中関係もどうなるかわからない。トランプ氏の対中政策をバイデン氏がすべて踏襲するだろうか。しかし、トランプ政権の対中政策はそもそも大きな矛盾をはらんでいた。中国を敵視しながら、カギとなる産業分野で米中合作を維持し続けていたのである。

 その象徴はアップルモデルである。中国のハイテクの台頭は、アップルがスマホのほぼ全量を中国で生産し、それを起点に巨大なハイテク産業集積が中国で建設されたことに起因している。このアップルの中国依存のサプライチェーンには、ほぼ手が付けられていない。

 加えて、テスラが上海に年産20万台クラスのギガファクトリーを建設し、中国から世界へと輸出を始めた。中国はEVでの世界覇権を握るために、テスラには100%子会社の設立を認め、EVの産業基盤を一気に拡充しようとしている。

 内燃機関の負のレガシーをもつ自動車生産国である日本、米国、ドイツを一気に引き離そうとしている。このアップル・テスラの米中合作のビジネスモデルを維持し続けるとすると、トランプ政権の一面的対中敵対路線は維持できなくなる。中国の巨大な市場を無視できない欧州と日本は、中国市場争奪をめぐって、米国と対立や緊張をひき起こすかもしれない。

 さらにエネルギー政策の転換も見通しにくい。米国のパリ協定への復帰はたしかだとしても、世界最大の産油国である米国が容易に政策転換を成し遂げられるとは考えにくい。多くの雇用を抱える中西部産油地帯と調整が必要であろう。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

五輪開催強行は可能。だが間違っているNEW!

 菅内閣は1月7日に緊急事態宣言を発出した。年末に東京都の新規陽性者数が1,000人を超えた。しかし、菅首相は緊急事態宣言発出の必要はないとした。首都圏1都3県の知事...

2021年05月06日 15:36

園村剛二サンコーホールディングス前社長、経営者を超越した思想家(5)会社は誰のものかNEW!

 今回の連載が大詰めを迎えたところで、園村氏に「70歳を目前にして本当に悩みはなかったのですか。もう少し会社に残ろうという欲が出るのは当然と思いますが」と尋ねてみた。...

2021年05月06日 13:47

2022年以降の世界経済秩序~米中激突と日本の最終選択(7)NEW!

 『三島由紀夫氏は自決前夜(1970年11月24日)に、毎日新聞とNHKの記者に電話をかけ、「楯の会」事務所に明日午前8時30分にきて、関係者から封筒を受け取ってほし...

2021年05月06日 11:57

【IR福岡誘致開発特別連載36】バイデン政権と全国IRを含む日米経済安全保障NEW!

 先日、米国バイデン大統領は就任100日目にあたり、国民に向けて演説した。新型コロナウイルスのワクチン接種の実績や、440兆円規模の成長戦略を柱とする経済再生策を強調...

2021年05月06日 11:50

建設業界1-3月のM&A、10年で件数最多も金額伸びず~ストライク調べNEW!

 M&A仲介・ストライクは、1-3月の建設業界におけるM&A動向を集計した。同期間のM&A発表件数は17件で、1-3月としては2012年以降の10年間では19年(9件...

2021年05月06日 11:34

【福岡県】時短要請の対象を県内全域の事業者に拡大、福岡市・久留米市は午後8時までに変更、感染拡大防止協力金の支給額も調整NEW!

 福岡県は5日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、飲食店などに対する営業時間短縮の要請の範囲を6日から県内全域に変更することを発表した。期間は19日までで従来から変...

2021年05月06日 11:05

【久留米】AMED 医療ベンチャー「ボナック」のコロナ治療薬開発を支援NEW!

 バイオ医薬ベンチャー「ボナック」と福岡県が進めている次世代医薬「核酸医薬」による新型コロナ感染症治療薬の開発を、国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」が支援事業に...

2021年05月06日 10:19

景品表示法の措置命令 20年度は41件、除菌・殺菌関連で多発

 消費者庁はこのほど、2020年度の景品表示法に基づく法的措置件数を取りまとめた。「措置命令」は国が33件、地方自治体が8件の合計41件。課徴金納付命令(国のみ)は1...

2021年05月06日 07:00

【特別対談】ピエトロ新工場を起点に、賑わい&活力を古賀市全域へ――(後)

 『この地区にある「古賀グリーンパーク」周辺ではもともと、道の駅の整備に向けての調査・検討を行ったうえで、19年8月末に道の駅の整備は行わないという決断をしました。と...

2021年05月06日 07:00

【熊本】暮らしに付加価値を、ミリーヴグループが提案する「よりよい住まい」

 『15年以上前になりますが、ミリーヴグループ(当時は明和グループ)各社が宅建業許可を取得し、不動産売買の仲介を行っていた時期があります。グループの中核企業である(株...

pagetop