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2020年11月27日 11:00

【凡学一生のやさしい法律学】詭弁の論理学(2)

 詭弁は、確実に日本の民主主義を破壊している。日本に真の民主主義を実現させるためには詭弁の存在形式を理解し、詭弁を少なくとも日常の社会生活から排除しなければならない。詭弁の論理学は、今の時代にもっとも必要な社会知見である。詭弁はわかりやすくいえば「うそ」であり、「うそ」が蔓延する社会がまともな社会である筈がない。

(1)ディベートと口喧嘩

 日本では、基本的に民主主義に必要な主権者教育が存在しない。国民は理性的な議論であるディベートを知らないし、教えてもらっていない。前川氏も橋下氏も個人の私利私欲に関する論点について議論をしていないため、議論は冷静に理性的に行われなければならない。その基本は相手への敬意や尊敬である。

 前川氏は東大法学部を優秀な成績で卒業し、文科省に入り事務次官まで上り詰めた極めて優秀な官僚であり、一方、橋下氏も弁護士資格をもち、政治経験の豊富な、頭の回転の速いエリートである。このような日本を代表する頭脳の持ち主による議論で、詭弁がなおさら氾濫、横行することは非常に残念なことである。

 ここで、筆者は読者に以下の点を断っておく。
 筆者は、橋下氏が具体的にどのような発言をしたのかを知らないため、前川氏の批判の当否を述べることができない。しかし、本稿は、橋下氏の発言の当否を議論することが目的ではなく、前川氏の下品な口調の「難癖」に橋下氏が同程度の論調で応じたという、日本を代表するエリートの論争の当否を論点としている。

 もし、2人の間の論争がただの口喧嘩であれば、最後には人格的な攻撃にも進展し、まったく分析や検討の余地もない下世話な「言い争い」で終わる。文言は多少、過激であり下品であるが、これは故意の表現技術・強調表現という意味として筆者は理解している。
 本稿の目的である詭弁の氾濫という視点からいえば橋下氏の反論が詭弁ということになるが、読者は橋下氏の反論のなかに詭弁を見出すことができるだろうか。

(2)第1の詭弁:言論の自由

 橋下氏が「言論の自由」を最初に口に出した時点で、この論争の勝敗は決まっていた。

 もちろん、橋下氏の大敗北である。世間には橋下氏のファンが多く、憲法上の大原則である言論の自由が持ち出されたのだから、一見すると、橋下氏の言説には憲法上の保障がついていると錯覚されたに違いない。しかし、「言論の自由」が議論の当事者の主張場面において、つまり自己弁護で登場することは絶対にない。それは「言論の自由」が主張される場面は、権力や理不尽な理由で個人の言論の自由が制限された場合である。

 本件では橋下氏は「すでに発言した内容」について言論の自由を主張しており、つまり橋下氏は言論の自由の権利を行使済みであって、どこにも前川氏の論難が橋下氏の言論の自由を侵害する要素はない。ではなぜ、橋下氏は言論の自由を持ち出したか。それは橋下氏の具体的な発言内容からより抽象的な議論へとすりかえる目的があったためである。

(つづく)

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