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2020年11月30日 16:35

【企業研究】九州有力通販エバーライフ 低迷からV字回復への道(前)

(株)エバーライフ

 九州を代表する通販企業として知られる(株)エバーライフ。健康食品通販市場の黎明期に急成長したが、類似品や競争激化により失速。しばらく低迷が続いていたが、最近は化粧品通販で再び浮上し始めている。

九州健康食品の有力企業に成長

 (株)エバーライフは現・(株)ウェルホールディングス社長・井康彦氏が1990年に創業した。井氏は九州産業大学中退後、求人広告営業や羽毛布団の連鎖販売取引、レンタルビデオ業など、さまざまな職を経て、不動産売買業として同社を設立。その後バブル崩壊で不動産市場が不況に陥っていた94年にダイエット食品のテレマーケティング販売を開始した。

 年商2億円だった同社が急成長する契機となったのは同年に、長崎・五島近海産アイ鮫から抽出した肝油を含有する健康食品「鮫肝海王(サメギモポセイドン)」のヒットだ。中高年層を対象としたサプリメントとして、通販会社への同梱チラシで売れ始めたころ、肝油の健康増進効果を訴求するテレビCMを積極的に流し、番組内に相談窓口を設けた。そこへ問い合わせや相談をした顧客に対し、同社コールセンターに送り、アウトバウンドで引き上げる方法で売上を伸ばし、売上高は2000年には約70億円に達した。その一方で、原料の鮫肝油の供給逼迫により、安価な海外産原料に切り替えたことで商品の効果が減少。広告出稿量を増やしても売上は減少の一途を辿り、売上高は約30億円まで落ち込んだ。

 新たな柱となる商品開発が必要と考えた同社は、健康食品受託企業のアダプトゲン製薬(株)が開発・製造する、鶏冠から抽出したヒアルロン酸原料「ECM-E」の効果として、ひざ関節に関するデータがあることに着目。同社の顧客層である高齢者のニーズに合致するとして、同原料を配合した健康食品「皇潤」の発売を開始した。

 テレビCMのキャラクターには、中高年に人気があった故・三國連太郎氏や故・八千草薫氏、西田敏行氏などの大物俳優を起用。「2ステップ」と呼ぶ、お試しキャンペーンで新規顧客を集め、後日コールセンターによる定期購入を案内する販売方法を展開。できるだけ長く定期購入を継続してもらうために、定期的なギフト贈呈などのフォローを行っていたほか、コールセンタースタッフのモチベーションを上げるために、成約数や売上金額に対して高いインセンティブを導入するなど、内外で積極的な販促活動を行ったこともあり、大ヒット商品に成長。

 2005年3月期に売上高129億8,129万円、当期利益11億2,199万円で売上高100億円を突破し、08年3月期は同207億円6,499万円と200億円台に乗った。購入者は100万人以上、リピート率は80%以上と、競合の通販企業をしのぐ驚異的な売上を叩き出し、一躍九州健康食品通販の有力企業として全国的に認知されるようになった。

株式上場視野も成長から凋落へ

 同社は「皇潤」の大ヒットにより売上高が200億円を突破したことで、株式上場の準備を進めていた。しかし、経営・財務面が不透明であったことから上場を断念し、08年に投資ファンドのCLSAキャピタルパートナーズに約240億円で売却した。その後、売却の条件だった、当時専務取締役・鍋島邦洋氏が社長に就任し、新体制となったが、市場では「皇潤」の類似品を販売する後発企業が相次ぎ、競争が激化。新規顧客獲得のために広告費を増やしたことで収益を圧迫した。「鮫肝海王」時と同様、製造原価の見直しで、原料を従来の「ECM-E」から、安価なヒアルロン酸原料に切り替えたことで、定期購入者が大量離脱した。これまでの広告費の大量投入に見合った新規顧客獲得ができなかったことで、定期購入を引き上げる役割を担うコールセンターにも影響がおよぶようになる。

 同社コールセンターは当時、外注スタッフ含め200名以上の組織だった。同社のコールセンタースタッフは全員正社員として雇用され、月給20万円に加え、営業インセンティブが設けられていた。インセンティブは売上金額が300万円を超えると5%で、500万円、1,000万円を区切りに応じてインセンティブ率が高くなることから、同社スタッフのモチベーションは高く保たれていたといい、優秀な人材も多かった。しかし、商品の品質を落としたことで新規のお試しや定期購入の離脱、さらにクレームも増加したことが、人材流出の理由となった。そうした状況を打破すべく、ダイエット米「エバー米」、漢方植物素材を用いた「赶黄草(かんこうそう)エキス」、美容サプリメント「美・皇潤」などを投入したものの、すべて不発に終わった。

 追い討ちをかけるように、09年には商品送付のコストダウンを図るため、健常者への送付にもかかわらず、心身障がい者用低料第三種郵便物制度を使って送付していたことが発覚。同社だけでなく複数の通販会社が事実公表と具体的な利用内容について、詳細に公表している一方で、同社も自社ホームページでお詫び文を掲載した。しかし、「日本郵便との業務委託関係や、DM配送差出時の承認確認など違法性は感じずに運用していた」と直接の責任ではないことを示唆するようなコメントや、送付した数量などの詳細が一切明らかにされていないことが物議を醸した。こうした問題の発覚があったものの、同社の業績は最盛期を迎えた時期で、翌10年3月期の業績は売上高263億7,000万円、当期利益は27億5,500万円にまで達している。

(つづく)

【小山 仁】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:李 宇慶
所在地:福岡市中央区天神2-5-55
設 立:2012年2月
資本金:41億3,712万5,000円
売上高:(19/12)120億6,600万円

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