2024年03月29日( 金 )

500名を上回る新規患者が韓国で3日連続発生(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

重大な決断を迫られる韓国政府~「レベル2.5」への引き上げ

 今まで新型コロナウイルスに感染した後、治療を受けて治った人の合計数は2万7,349名で、完治率は81.95%だ。新型コロナウイルスの致死率は1.56%で、新型コロナウイルスの感染力は高くても、致死率は低いとされている。しかし、新型コロナウイルスは治ったとしても、肺に深刻な後遺症を残すことになるという。くわえて、新型コロナウイルスがいつ変異し、毒性が強化され、致死率が上がるのか、誰も予断できないため、予断を許さない。

 そのような状況下で、韓国政府は重大な決断を迫られている。疾病対策の専門家らは口をそろえて、規制を強化するべきだと力説している。しかし、規制を強化すると、感染拡大の対策には効果があるかもしれないが、国家の経済に与える影響が極めて大いため、政府は規制の強化には慎重な姿勢である。

 韓国では現在、防疫レベルが「レベル2」になっているが、韓国政府内では「レベル2.5」への引き上げについて議論を重ねている。レベル2は、コーヒーショップでコーヒーなどを販売できるが、利用客が店内でコーヒーを飲むことは許されない。

 近頃のソウル気温はマイナス2~3度と、とても寒く、コーヒーショップの店内利用ができないため、打ち合わせする場所がなくなり、とても不便であった。庶民がもっとも大きな影響を受けるのは、コーヒーショップの店内使用禁止がではないかと筆者は感じた。

 早めの昼食をとるために、仕方なく近くの食堂に向かった。非常に有名な店で、コロナ以前はいつも満席で待たされることもしばしばあった。しかし、今日はお客がほとんどおらず、3つまたは4つのテーブルで客が食事をしている程度であった。韓国には、約90万店舗の飲食店があると言われているが、レベル2.5に規制が引き上がると、夜の営業も9時までに制限される。街の一等地に広々としたお店を構えているオーナーの悩みは、どれほど深いだろうかと筆者は想像した。

実物経済は最悪でも、株価は高騰

 実物経済はこのように悲惨な状態であるにもかかわらず、パンデミックの影響を少しでも和らげるために、各国政府は量的緩和を実施してきた。そのため、お金の発行量はうなぎのぼりに増加し、それらのお金は行き場を失い、株式市場、不動産市場、コイン市場に向かっている。その結果、実物経済の実態は最悪ながら株価は高騰しており、経済の実態を反映していない状況だ。実物経済の実態が明るみに出ると株式市場が暴落し、経済は混乱し、今まで経験したことのない経済ショックに襲われるのではないか、と筆者は懸念している。

 一方、ワクチン開発など、新型コロナウイルスの感染拡大を終息させると予想される明るいニュースもある。「一寸先は闇」という日本のことわざがあるが、現在はまさにその状況ではないだろうか。我々は、何が起こるかまったく予想できない不気味な時代を生きている。米国の大統領選挙後の混乱、米中衝突、コロナショックなど、懸念されることは1つや2つではない。全世界が力を合わせて新型コロナウイルスを乗り越え、新しい時代を切り開いていくことを祈りたい。

(了)

(前)

関連記事