2024年04月20日( 土 )

大和ハウス工業の空き家プロジェクト 空きアパートを2棟の新築戸建へ

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新池の空き家

空き家面的対策モデル地区(3)

 北九州市戸畑区新池―前ページで紹介した三六町に隣接するこのまちは、同じく若戸大橋や国道199号線、北九州都市高速道路、JR九州工大前駅に近いアクセスに恵まれた住宅地で、北側に工場が立ち並ぶ立地だ。形成される街区形状も似ており、建物が密集し、単独では建替えできない住宅も散見される。

 こちらに手を挙げたのは、大和ハウス工業(株)(東証一部)の北九州支社。商業施設や物流施設のほか、戸建住宅や分譲マンション、賃貸住宅など、都市開発全般を手がける同社は、北九州住宅懇話会に加盟しており、北九州住宅産業協議会(北住協)とともに行政主導のまちづくりにも長年にわたって関わってきた。北九州支社の戸建の施工範囲は、東は大分との県境、西は遠賀郡岡垣町、南は筑豊エリアで、年間100~120棟の引き渡し実績がある。

 本プロジェクトは、4棟の空きアパートなどを2棟の戸建用地として活用するというもの。合計約80坪の敷地を2筆に分け、建売住宅もしくは注文住宅用地として売り出す計画となっている。間もなく売買契約が締結され(11月初旬時点)、解体工事に着手する予定だ。

 インタビュー 

住宅会社の役割として街並みを変えていく

大和ハウス工業(株) 北九州支社 支社長 西田 宏二 氏

 ――プロジェクトに取り組んだきっかけについて、お聞かせください。

北九州支社長 西田 宏二 氏

 西田 今はまだ管理状態もそれほど悪くない本プロジェクトの空き家ですが、いずれは放置され、老朽化していくことが懸念されていました。とくに、今回のプロジェクトで取り組んでいるエリアは、流動性があるにも関わらず、空き家として放置されていたところです。建物をきれいにし、人が住まうことによって、まちのイメージは向上するはずです。今回はモデル地区ですが、うまくいけば空き家防止のモデルケースになると信じています。

 ――住宅会社として、北九州のイメージを改善するためには何ができると考えていますか。

 西田 私は北九州市に35年以上住んでいますが、北九州市の世間的なイメージは決して良いとはいえません。人口が減少し、空き家が目立つようになれば、そのイメージは改善どころか、大きく悪化していくでしょう。ただ、空き家の活用は簡単ではありません。更地にしたほうが流動性は高まりますが、建物を解体すると固定資産税が上がることから、空き家のまま放置されるケースが非常に多い。我々は住宅会社として、きれいな住宅をつくり、街並みを変えることができます。今回は新築ですが、建物がきれいになれば、周辺の雰囲気も明るくなります。

 ――プロジェクトに取り組んだ印象は、いかがでしょうか。

 西田 市の協力があったとはいえ、簡単な事業ではありませんでした。ただ、市内を中心に事業をさせていただいている身としては、空き家の増加に歯止めをかけたいという思いはあります。空き家が放置される要因としては、先ほど申し上げた固定資産税だけでなく、解体費用などのコストがかかる割には、更地にするインセンティブが小さいことが挙げられます。我々が関わることで、少しでもそのインセンティブになればと考えています。市内には空き家だけでなく、未利用の空き地も少なくありません。こういった“価値はあるが流動性が低い物件”を再生させ、北九州市の街並みを変えていきたいですね。

 ――北九州市について、一言お願いいたします。

 西田 北九州市は課題先進都市として多くの課題がありますが、本州と福岡市を結ぶ立地にあり、新幹線の主要駅もあるなど、優れている点も多いまちです。まちが変われば、教育も変わるはずです。教育が変われば、まちはさらに変わる。若い人が希望をもてる、ワクワクするまちにしていかなければなりませんね。そのために、本プロジェクトしかり、市には今後も協力していきたいと考えています。

【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
大和ハウス工業(株) 北九州支社

所在地:北九州市小倉北区貴船町3-1
設 立:1955年4月
資本金:1,616億9,920万1,496円
TEL:093-932-7800
URL:https://www.daiwahouse.co.jp

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