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2021年01月25日 15:00

ネットバブルの寵児、折口雅博氏の自伝『アイアンハート』を読む~逃避先の米国で、あのトランプ前大統領の知遇を得て再起!!(1)

 ネットバブルの寵児が戻ってきた。人材派遣大手グッドウィル・グループ(株)元会長・折口雅博氏が自伝『アイアンハート』(昭文社刊、税別定価1,500円)を出版した。副題は「ゼロから12年で年商7,700億円企業を創った不撓不屈の起業家」とある。日本ですべてを失い、米国に渡り再起、日本にカムバックしてきたのだ。早速、手に取って読んだ。逃避先の米国で何をしていたかを知るためだ。政治エンターテインメント「トランプ劇場」で米国社会の対立と分断を深めたドナルド・トランプ前大統領の知遇を得て蘇ったのだ。びっくり仰天である。

六本木ヒルズ族の兄貴分

 グッドウィル・グループ(株)(以下、GWG)の会長兼最高経営責任者(CEO)の折口雅博氏は、ネットバブル長者の代名詞である「六本木ヒルズ族」の典型であった。

 東京の高級住宅街・田園調布に7億円の豪邸を建て、軽井沢にはプール付きの敷地2,500坪の超豪華別荘を45億円で購入。フェラーリ・スパイダー、ランボルギーニ・ガヤルドやロールスロイス、マイバッハなど高級外車を乗り回す。

 あのホリエモンこと堀江貴文氏が購入していたプライベート・ジェットを折口氏も購入した。「ガルフストリームV」という機種で、値段は45億円。「彼(堀江)のは中古だが、俺のは新品だ」と周囲には自慢していたという。

 2003年には本社を東京・港区の六本木ヒルズに移転。3フロアを借り、月々8,000万円の家賃を払った。(株)ライブドアの堀江貴文氏、楽天(株)の三木谷浩史氏、村上ファンドの村上世彰氏はヒルズ族と呼ばれたが、折口氏は彼らの兄貴分にあたる。

 GWG内での折口氏の立場は絶対的なものだ。グループ役員の序列決定には、明確なルールがある。会議では「王位継承権」の順に座らされる。その序列は、毎年の営業成績で変わる。将軍様と呼ばれる折口氏が上座から睥睨(へいげい)するのである。

 権力や財力を必要以上に見せびらかす折口氏の成金趣味は、幼少のころのつらい体験と社会人になってからの挫折体験の反動といえるものだろう。

裕福な生活から、一転、極貧へ

 折口氏の半生はエキサイティングだ。1961年6月、羽田空港に近い、東京・大田区東糀谷に生まれた。父親はサッカリン、ズルチンを生産する羽田化成工業を経営。200坪の豪邸に住んでいた。

 暗転するのは10歳のとき。米国で人工甘味料に発ガン性の疑いがあると発表された。厚生省は68年3月に人工甘味料の使用禁止を決定。父親の会社は業界もろとも、あっという間に倒産。あれよあれよという間に家を追われ、埼玉県北本市の家賃3万3,000円の借家に住み、生活保護を受けるまでに零落した。

 裕福な生活から極貧生活への転落が、いったん手に入れたものは絶対に手放さないという、彼の強烈な執着心の源泉になっている。

 埼玉の進学校に合格したが、家には高校へ通えるだけの余裕はなかった。そのため横須賀市の陸上自衛隊少年工科学校に入学。入学金や授業料が免除されるだけでなく、学びながら給料がもらえたからだ。月7万円の給料から2~3万円を家に仕送りした。

 工科学校の生徒のとき、もっとも怖かったのは実弾訓練だった。匍匐前進している頭のすぐ上を機関銃の弾がひゅうひゅう飛んでいく。5発に1発の割合で、弾道がわかるように弾底から光を出す曳光弾が含まれており、その光を見た瞬間、震えるような恐怖が走った。恐怖のあまり体中が脂汗でぐっしょり濡れていた。

 折口氏は自伝で、「私は、ビジネス上、どんな苦境に立たされても、『あのときの恐怖や辛さに比べたら、大したことはない』と思える。そして、この思いがあったからこそ、数々の試練を乗り越えてくることができた」と書く。

(つづく)

【森村 和男】

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