• このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年01月26日 16:45

政府債務論のコペルニクス旋回、日本は反省せよ~イエレン・パウエル連携は強力な株式支援に(1)

 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載していく。 今回は2021年1月25日付の記事を紹介。

    1月19日の議会公聴会におけるイエレン次期財務長官発言は、政府債務論のコペルニクス的旋回の画期となるかもしれない。「財政政策については、大規模な経済対策で債務は増大するものの、金利が歴史的な低水準にある現在、大きな行動に出ることが最も賢明であり、長期的には経済対策の恩恵はコストを大きく上回る」との主張である。 

(1)イエレン財務長官の債務容認宣言 

政府債務残高より利払い負担が重要だ

 以下ロイターのハワード・シュナイダー記者のコラム(1月21日)を紹介したい。
 『バイデン大統領が打ち出した1兆9000億ドルの追加経済対策案を擁護するこの日のイエレン氏の発言は、広範囲にわたった。しかし、そこには、「政府債務」を巡る経済専門家の考え方が着実に変わってきていることが映し出されていた。政府債務は先進各国では過去10年間どんどん積み上がり、一時はユーロ圏が崩壊の瀬戸際に追い込まれる原因ともなった。しかしイエレン氏は公聴会証言で、「大きな行動こそが賢明」と明言したのだ。

 イエレン氏が上院で訴えたのは、債務の水準をいったん忘れ、利払い額と財政支出がもたらすリターンにこそ目を向けてほしいという点だった。将来、米国が高成長を達成する可能性が足元の借り入れ増を正当化し、約26兆9000億ドルに上る連邦債務に絡む脅威を弱めてくれるというロジックだ。同氏は「債務が膨らみ続けているにもかかわらず、(国内総生産=GDPに対する)現在の利払い額の比率は2008年の金融危機前を上回っていない。パンデミックとその経済に対する打撃に対処して必要な措置を講じなければ、財政を赤字にしてもやるべきことをやる場合より、悪い状況に陥る公算が大きい」と言い切った。 

 実際、連邦政府の利払い費用は今、6000億ドル近くとなっているものの、世界的に金利が過去最低水準圏で推移しているおかげで、対GDP比は1990年代以降ほぼ一定している。この事実は、議会がバイデン氏の追加経済対策案を審議する上で中心的な論点になるだろう。特に大統領職と上下両院の支配をともに失った共和党が、パンデミック対応でさらなる財政支出に積極的に応じ続けるのかが試されそうだ。

財政赤字削減勧告を反省したIMF

 政府債務の問題は、2007-09年の金融危機とその後の景気後退、ユーロ圏の危機などを通じて経済専門家の間でも多くの話題になってきた。欧州ではいくつかの国、とりわけギリシャが世界金融危機の後、債務返済で苦境に陥ると、ユーロ圏の経済大国や国際通貨基金(IMF)はこれに対して大幅な財政支出切り詰めを促した。その結果、景気回復の土台を築くどころか、ギリシャの経済状況は一段と悪化し、財政赤字も拡大してしまった。IMFは後から振り返る形で判断が誤っていたと認め、幅広い検証作業を実施。当時チーフエコノミストだったオリビエ・ブランチャード氏は、特に危機のさなかで総需要が弱い局面では、財政支出の有効性は際立っているとの結論を下したのだ。

成長率>金利なら公共投資をするべきだ

 それから数年後、かつて経済学上で異端視されていた、財政支出に以前より広範かつ安定した役割を与える現代貨幣理論(MMT)への注目がより高まるようになり、一方で主流派の経済専門家も政府債務の概念を根本から見直し始めた。ブランチャード氏もその一人だ。同氏が唱え始めたのは、ある国の金利水準が経済成長率より低い場合-これは現在の多くの先進国に当てはまるのだが-その場合は良い使い道だとみなされる公共投資を手控えるべきではないという考え方だ。

 イエレン次期財務長官の宣言は、この異端視されてきた議論をワシントンの政策中枢に招き入れたものと言ってよいだろう。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年02月27日 07:00

DXで顧客・従業員満足を実現~食品シェア、まず10%に引き上げ(前)

 おりからの新型コロナウイルス感染拡大で総合スーパーは大きな影響を受けている。新型コロナをどう乗り切り、新たな成長につなげていくか、新会社の方針を柴田祐司社長に書面イ...

2021年02月27日 07:00

本社売却、史上最大の赤字・・・大きく揺れる電通(4)

 電通は2013年3月、英大手広告代理店イージス・グループを約4,000億円で買収した。電通にとって過去最大の買収額だ。電通がイージスを買収したのは、12年2月に仏広...

産学官連携の事業に積極的に取り組み 地域の発展に大きく貢献する

 もうすぐ26周年を迎えるコンダクト(株)は、次の30年に向けた5カ年計画を策定した。その中身は九州大学大学院と共同研究する『まちのコミュニティ×防災・防犯セミナー』...

2021年02月26日 18:08

【総務省接待問題】東北新社 社長辞任、菅部長は異動

 総務省接待問題を受け、東北新社は本日、二宮清隆代表取締役社長の辞任を発表した。また、菅義偉首相の長男の菅正剛統括部長に対しては、就業規則に基づき懲戒処分を行い、メデ...

2021年02月26日 17:35

【新型コロナ変異株】自民党が新型コロナ対策本部感染症ガバナンス小委員会を開催

 自民党は2月24日、新型コロナウイルス対策本部感染症ガバナンス小委員会を党本部で開催した。厚生労働省から新型コロナウイルスの「変異株対策の現状について」の発表が行わ...

2021年02月26日 17:23

コロナ禍で台湾が世界への協力をアピール!~Taiwan Can Help, Taiwan is helping.(1)

 新型コロナウイルス感染症対策で、台湾は世界でトップクラスの優等生である。マスク着用やソーシャルディスタンスなどの衛生管理は徹底されているが、テレワーク、オンライン授...

2021年02月26日 16:53

コロナとトランプの先に潜む新たなデータ覇権争いと人体への影響(前)

 アメリカで行われたバイデン新大統領の就任式は前代未聞であった。なぜなら「影の主役はコロナ」といっても過言ではなく、何から何まで“異例づくめ”の展開となったからだ...

GoTo緊急事態繰り返す菅二階内閣

 菅内閣の基本原則は「後手後手、小出し、右往左往」である。コロナ対策の後手後手対応は安倍内閣から引き継いだもの。昨年1月にコロナ感染が重大視された時点から、対応は後手...

2021年02月26日 16:06

【3/27】福岡高速6号線・臨港道路アイランドシティ3号線が開通

 福岡市は24日、香椎浜からアイランドシティに架かる都市高速道路(福岡高速6号線・臨港道路アイランドシティ3号線)が3月27日に開通すると発表した...

2021年02月26日 16:00

JR九州 来春の新卒採用見送りを発表 34年ぶり新規採用なし

 九州旅客鉄道(株)は25日、新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化を受け、2022年度の新卒採用を見送ると発表した...

pagetop