2024年04月28日( 日 )

ふくおかFGと西日本FHの21年3月期の経営成績を検証する(前)

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 【表1】はふくおかフィナンシャルグループ(FG)と西日本フィナンシャルホールディングス(FH)の2021年3月期第2四半期(中間期/9月期)の経営成績比較表である(以下、9月期と標記する)。

~この表から見えるもの~
<経常収益について>

◆ふくおかFGの20年9月期の経常収益は、前年同期比+31億1,200万円の1,415億7,600万円(同2.2%増)と微増。西日本FHの経常収益は、同▲51億9,600万円の664億5,600万円(同▲7.3%)と減益となっている。
◆ふくおかFGの経常収益のシェアは68.1%。西日本FHは31.9%。ふくおかFGとのボリューム差は2倍以上あるのがわかる。
<経常利益について>
◆ふくおかFGの20年9月期の前年同期比+86億7,100万円の384億6,100万円(同29.1%増)と大幅な増益。西日本FHの経常利益は、同▲1,556百万円の137億8,800万円(同▲10.1%)と減益となっている。
◆ふくおかFGの経常利益のシェアは73.6%。西日本FHは26.4%で、ふくおかFGの約3分の1であり、格差が大きいのがわかる。
<当期純利益について>
◆ふくおかFGの20年9月期の当期純利益は、前年同期比▲1,090億600万円の262億6,400万円(同▲80.6%)と大幅な減益。その要因は十八銀行との経営統合にともなう特別利益の「負ののれん発生益」が1,174億4,400万円含まれており、実質は178億2,600万円。それを差し引きすると20年9月期は同+ 84億3,800万円(同47.3%増)と大幅な増益となっている。
・西日本FHの20年9月期の当期純利益は、同▲17億3,100万円の94億4,400万円(同▲15.5%)と減益。
◆ふくおかFGのシェアは73.6%。西日本FHは26.45%でほぼ3分の1となっており、ふくおかFGと西日本FHとの収益格差は拡大していることが読み取れる。

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 【表2】は金融グループ傘下6行の20年9月期の経営成績推移表である。
~この表から見えるもの~
<業務純益について>

◆ふくおかFG傘下4行の業務純益合計は前年同期比+23億9,500万円の392億1,800万円(同6.5%増)。内訳を見ると福岡銀行は同+31億1,400万の321億2,700万円(同10.7%増)。熊本銀行は同▲4億7,100万円の24億2,300万円(同▲16.3%)と減益。親和銀行も同▲6億4,600万円の17億5,000万円(同▲27.0%)と大幅な減益。十八銀行は同+3億9,800万円の29億1,800万円(同15.8%増)となっている。
◆西日本FH傘下2行の業務純益合計は前年同期比+24億2,900万円の156億6,400万円(同18.4%増)。内訳を見ると西日本シティ銀行は同+24億800万の156億7、700万円(同「18.1%増)と大幅な増益。一方、長崎銀行は同+2,100万円となったものの、▲1,300万円と2期連続の赤字。20年10月1日に十八銀行と親和銀行が合併して十八親和銀行が発足しており、今後も厳しい状況は続くことになりそうだ。
<経常利益について>
◆ふくおかFG傘下4行の経常利益合計は前年同期比+86億9,800万円の447億4,800万円(同24.1%増)。内訳を見ると福岡銀行は同+70億2,600万の375億7,000万円同23.0%増)。熊本銀行は同+10億2,200万円の31億6,200万円(同47.8%増)と大幅な増益。親和銀行は同▲5億2,200万円の20億400万円(同▲20.7%)と大幅な減益。十八銀行は同+11億7,200万の20億1,200万円(同139.5%増)となっている。
・西日本FH傘下2行の経常利益合計は前年同期比▲12億3,200万円の110億4,700万円(同▲10.0%)。内訳を見ると西日本シティ銀行は同▲12億4,200万の109億6,500万円(同▲10.2%)。長崎銀行は同+1,000万円の8,200万円(同13.9%増)。
<中間当期純利益について>
◆ふくおかFG傘下4行の中間純利益合計は前年同期比+136億6,700万円の333億9,300万円(前年同期比69.3%増)。内訳を見ると、福岡銀行は同+56億6,800万の28,2億5,300万円(同25.1%増)。熊本銀行は同+7億5,300万円の24億4,900万円(同44.4%増)と大幅な増益。親和銀行は同+18億6,400万円の16億9400万円と増益。十八銀行は同+53億8,200万の9億9,700万円となっている。
◆西日本FH傘下2行の中間当期純利益合計は前年同期比▲14億4,900万円の78億6,700万円(同▲15.6%)。内訳を見ると西日本シティ銀行は同▲14億5,700万の78億300万円(同▲15.7%)。長崎銀行は同+800万円の6,400万円(同14.3%増)。何とか黒字を確保している状況のようだ。
◆ふくおかFG傘下4行の当期純利益のシェアは80.9%。西日本FH傘下2行のシェアは19.1%となっており、収益力の差が大きくなっているのが読み取れる。

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 【表3】は金融グループ(FG・FH)と傘下6行の自己資本比率推移表である。
主要国などの銀行監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会の定める「狭義の中核的自己資本比率」は、銀行の健全性を高めるために上乗せする基準を2段階で構成。銀行に対し最低基準4.5%、上乗せ基準2.5%の実質7%以上を求めている。
~この表から見えるもの~
◆ふくおかFGの20年9月期の自己資本比率は前期比+0.23%の10.92%。西日本FHは前期比+0.23%の9.59%となっており、両グループとも7%を大きく超えている。
◆ふくおかFGと西日本FHの傘下6行を見ると長崎銀行は8.70%と8%台であるが、福岡銀行などの5行は9%~10%台となっており、いずれも7%を大きくクリアしている。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

(後)

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