2024年04月19日( 金 )

五輪開催に正当性がない本当の理由

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「五輪もワクチンも、すべては政治と利権によって推進されていることを忘れてはならない」と訴える2月20日付の記事を紹介する。

菅内閣が東京五輪開催を強行しようとしている最大の理由は衆院総選挙だ。

本年10月に衆議院が任期満了を迎える。
この時期までに衆院総選挙が実施される。

菅首相は五輪開催を衆院総選挙に利用しようとしている。
五輪開催は政治そのものである。
五輪を仕切っているのは自民党。
自民党の細田派(旧・森派)が実権をすべて握っている。

五輪の総経費は3兆円を超える。
巨大利権だ。
その3兆円に血税が1兆円以上注がれる。
血税なくして五輪は成り立たない。

五輪憲章には
5.オリンピック・ムーブメントにおけるスポーツ団体は、スポーツが社会の枠組みのなかで営まれることを理解し、政治的に中立でなければならない。
と規定されている。

五輪は政治的に中立でなければならないはずだが、東京五輪は政治そのもの。
自民党の自民党による自民党のための運動会だ。

森喜朗氏、橋本聖子氏、丸川珠代氏のすべてが、自民党細田派の国会議員。
橋本氏は自民党国会議員のままで五輪組織委会長に就任した。
自民党籍を保持したまま会長に就任したことについて批判が殺到。
あわてて自民党を離党したが、政治的つながりは保持したまま。
3兆円の巨大資金が利権そのものになっている。

森喜朗氏は
「コロナがどんなかたちでも必ずやる」
と発言した。

この発言も五輪憲章にあるオリンピズムの根本原則に反している。

オリンピズムの根本原則
2.オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。

コロナリスクを拡大させる五輪開催強行は
「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進」
に明らかに反する。

直近の世論調査でも、国民の8割以上が今夏の五輪開催に反対している。
その理由は明白だ。

五輪開催がコロナ感染リスクを高めるからだ。
選手と関係者だけで1万5,000人以上の外国人が流入する。
この人の移動がウイルスを運ぶ。
リスクの大きな変異株が持ち込まれることを防ぐことはできない。

利権のため、選挙のために、国民の命と暮らしを犠牲にする菅内閣の姿勢、自民党の姿勢は糾弾されるべきもの。
このような政治の暴走を主権者国民は許してならない。

五輪開催を強行するために菅内閣はワクチン接種を宣伝しているが、7月までにワクチン接種は大きく進まない。
多くの国民がワクチンを接種する意向との情報が流布されているが、事実に反する。

主権者の半数以上は速やかにワクチンを接種しないと考えられる。
一部で、ワクチン接種に対して金銭的な恩恵を付与する動きがあるが言語道断だ。
国民の命と暮らしに直結する問題だ。

ワクチン接種には巨大なリスクがともなう。
そのリスクを慎重に考慮して各個人が判断する。
その判断をカネの力で歪めようとすることは犯罪的行為だ。

命にかかわる事項であり、行政は厳格な中立を保つべきだ。
金銭的恩恵でワクチン接種を強要する行政を直ちに排除しなければならない。

コロナ感染は世界で同期化している。
感染の波動が世界でほぼ同一なのだ。

昨年4月、8月、本年1月にピークが記録された。
波動の波の大きさはほかの要因から影響を受ける。
日本はGoTo事業で感染を大幅に拡大させたと見られる。
会食と旅行は感染を拡大させる最重要の原因になったと見られる。

1月中旬に第3波のピークを記録した。
これ以降、感染の減少が進んでいる。

しかし、日本ではPCR検査を面で実施しないため、感染収束が極めて困難である。
感染が減少しても、人の移動が拡大し、会食増加など、人々の行動抑制が緩和されると再び感染が拡大する。

昨年は7月下旬からGoToトラベル実施が強行された。
10月以降は東京都がGoToトラベルに組み入れられて人の移動が一気に拡大した。
この人の移動の人為的拡大は12月28日まで維持された。
11月に入って感染拡大が顕著になり、行動抑制が求められたにもかかわらず、菅首相はGoTo全面推進を12月28日まで維持した。

その結果として感染爆発が生じた。
医療崩壊が全国で広がり、1日当たりのコロナ死者が100名を超えた。

年率換算4万人ペースのコロナ死が発生した。
決して軽視できる水準でない。
結局、菅内閣は緊急事態宣言発出に追い込まれた。

人の移動は減少したが、1月中旬以降は微増に転じている。
人の移動減少も昨年5月と比較すると緩い。
2月中旬以降は明確に人の移動が拡大している。

3月下旬にかけて人の移動が季節的に拡大する時期にさしかかる。
この時期と緊急事態宣言解除が重なれば、人の移動が急拡大する可能性が高い。
その人の移動拡大が4月から5月の感染再拡大をもたらす可能性がある。

五輪開催は大規模な人の移動をもたらす。
海外から万単位の人が流入する。

コロナの変異スピードは速い。
ワクチンが有効でない変異株が流入する可能性を否定できない。
毒性の強いウイルスの流入も否定できない。

国民の命と暮らしを犠牲にして五輪開催を強行する正当な理由がない。
五輪開催を強行する二大理由が政治と利権。

大半のマスメディアが五輪利権の内側に位置している。
つまり、「政治と利権」の呪縛から離れられないのがマスメディアなのだ。
従って、マスメディアは五輪推進の情報だけを流布する。
国民の基本的人権、国民の幸福は一切考慮されていない。

このような政治の暴走、メディアの暴走を止めなければならない。
その役割を担い、その行動を推進する正当性を有しているのが主権者国民だ。
政治と利権の五輪を主権者国民は容認すべきでない。

ワクチンには重大なリスクが存在する。
ワクチンに対して明確なNOを示す権利を私たちは有している。
五輪もワクチンも、すべては政治と利権によって推進されていることを忘れてはならない。

主権者国民の8割以上が五輪開催NOだ。
主権者の意思を無視した利権と政治五輪を阻止するために主権者が連帯する必要がある。


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植草一秀の『知られざる真実』

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