わらび座ミュージカル「北斎マンガ」特設ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年03月09日 10:00

ポスト・コロナ時代をどう生きるか?変化する国家・地域・企業・個人、そして技術の役割(6)

 ポスト・コロナ時代に、バイデン新政権下での米国、中国、ミャンマー、台湾、韓国、北朝鮮、中東などの国際情勢はどう動き、日本はどのような役割をはたすべきなのか。さらに、管理社会化が進むなか、国家や企業、個人は新しい時代をどのように切り開いていくべきなのか。国際政治経済学者・浜田和幸氏、元公安調査庁第2部長で現アジア社会経済開発協力会会長・菅沼光弘氏、経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏が鼎談(ていだん)を行った。

永遠の生命をもつ「サイボーグ」時代が到来?

国際政治経済学者 浜田和幸氏
国際政治経済学者 浜田和幸氏

 浜田 コロナは世界のパワーバランスが変わる引き金になり、米国、中国、ロシア、ベトナム、ミャンマーは混乱のなかで新しい権力構造を生みつつあります。個人の持つ感性やコミュニティーの大切さが見直される一方、個人の健康や行動、発想のデータを富を生む源泉にする動きもあります。

アジア社会経済開発協力会会長・菅沼光弘氏
アジア社会経済開発協力会会長・菅沼光弘氏

 プーチン大統領は特殊な延命装置を開発し、トランプ前大統領の主治医が「トランプ氏は200歳まで生きるようにしている」と発言するなど、人は永遠の生命をもつ「サイボーグ」に向かうのではないでしょうか。記憶や感情をデジタル化して無限の生命をもつロボットに埋め込む時代になれば、SFの世界が現実のものになるかもしれません。オリンピックでも、米国や中国、ロシアも人の肉体改造に踏み込んでおり、人とロボットの境界があいまいになるなか、技術と人の関係をとらえ直すべきです。どうすれば、人らしい生命を大切にできるのでしょうか。

(独)経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏
(独)経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏

 菅沼 人体に機械を埋め込んでロボット化しても、「サイボーグ」の世界にはなりません。人は知性を過大評価していますが、この地球に生命が生まれてから38億年のなかで、さまざまな予期せぬことが起こっており、自然には人の力はおよばないからです。人間の知性が考え出したものには限界があります。パンデミックは、自然や生命の姿を見つめ直す機会と感じています。

 藤 2040年代には、AIが人の知能を超えるシンギュラリティが起こると言われています。しかし、しっかりとした人間観を有する人であれば、人間はアルゴリズムだけで動くとは考えません。今の人類は分類や抽象化など一部の能力は100年前より発達していますが、身体能力は衰え、脳は縄文時代より小さくなったと言われています。

 AIのアンドロイドに人の記憶データを移しても、不老不死にはなりません。人はコンピューターなど、自らつくり出したものから影響を受けすぎではないでしょうか。リモートワークや外出自粛、会食禁止などでコロナうつが広がっており、人間味あふれる活動ができない社会は、人の生き方として無理があることが明らかになっています。「生き生き」という雰囲気はAIには表現できず、感情は人の財産でもあります。論理だけでなく、生命観や人間観をしっかりと考える時代になってほしいと考えています。

 菅沼 紀元前の縄文土器や殷の時代の青銅器を見ていると、造形や色、大きさの完成度が高く、その美的感覚は今より優れているほどで、人の感性は時代を経ても進歩しないのだなと感じます。技術が進歩しても、この地球の自然や歴史から謙虚に学び、傲慢になりすぎないことが大切ではないでしょうか。

(了)

【石井 ゆかり】


<プロフィール>
浜田 和幸
(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

菅沼 光弘(すがぬま・みつひろ)
 アジア社会経済開発協力会会長。東京大学法学部卒業。1959年に公安調査庁入庁。入庁後すぐにドイツ・マインツ大学に留学、ドイツ連邦情報局(BND)に派遣され、対外情報機関の調査に携わる。帰国後、対外情報活動部門を中心に、元公安調査庁調査部第二部長として旧ソ連、北朝鮮、中国の情報分析に35年間従事。世界各国の情報機関との太いパイプをもつ、クライシス・マネジメントの日本における第一人者。主な著書に『この国を脅かす権力の正体』(徳間書店)、『日本人が知らない地政学が教えるこの国の針路』(KKベストセラーズ)、『ヤクザと妓生がつくった大韓民国』(ビジネス社)、『米中新冷戦時代のアジア新秩序』(三交社)など。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)
 (独)経済産業省経済産業研究所コンサルティング・フェロー。1960年生まれ、愛知県名古屋市出身。早稲田大学法学部卒。84年通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギーや通商、中小企業政策などの分野に携わる。2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)、16年から現職。主な著書に『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』(PHP研究所)、『石油を読む―地政学的発想を超えて 』(日経文庫)、『原油暴落で変わる世界』(日本経済出版社)など。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年05月13日 17:54

Robot Home 21年12月期Q1で黒字転換、通期予想は上方修正

 (株)Robot Home(東証一部、旧TATERU)は13日、2021年12月期第1四半期の決算発表を行った...

2021年05月13日 17:24

【読者ご意見】山口FG・吉村会長への内部告発状について

 NetIB-Newsでは、読者のご意見を積極的に紹介し、議論の場を提供していきたい。今回は「山口FGの吉村猛会長に対する『内部告発状』を検証する」について寄せられた...

2021年05月13日 17:15

内装業界に風穴を開ける 自ら動きアイデアを生むクリエイティブ集団

 有名企業のブランド戦略を牽引するクリエイティブデザイナー・佐藤可士和氏の個展や、飲食施設「大濠テラス 八女茶と日本庭園と。」などを手がけるクレアプランニング(株)。...

2021年05月13日 17:00

菅首相、「禁酒法」を検討?

 菅首相は饅頭に目がないとか!ところがアルコールに関しては、まったくの下戸であるという!そこで囁かれ始めたのが、「禁酒法」がだされるのではないか、という情報。 

2021年05月13日 16:55

萃香園ホテル再生へ、久留米の金子建設が名乗り

 1882年の創業以降、格調高い雰囲気にふさわしいきめ細やかなサービスで、139年にわたって愛されてきた久留米の萃香園ホテルは、事業譲渡により運営を新会社に引き継ぐこ...

2021年05月13日 16:06

岩田屋三越、21年3月期 14億円の最終赤字に

 三越伊勢丹ホールディングス傘下の(株)岩田屋三越の2021年3月期決算は、売上高が前期比21.2%減の844億1,300万円、営業赤字が10億2,000万円、経常赤...

2021年05月13日 16:01

三越伊勢丹HD、2021年3月期決算 410億円の赤字

 百貨店最大手の(株)三越伊勢丹ホールディングスは12日、2021年3月期決算を発表した...

2021年05月13日 15:52

企業倒産を追う「F-Power」~大和証券と経営陣のお家騒動の果て(前)

 福島第一原子力発電所事故から10年。電力業界に大きなインパクトを与えたのが小売全面自由化だ。電力小売は2000年から段階的に大手電力以外にも解禁されてきたが、16年...

2021年05月13日 15:36

山口FGの吉村猛会長に対する「内部告発」を検証する (4)

 内部告発状は「3.女子行員Aとの関係」について、次のように記述している。「吉村猛氏は女子行員と不適切な関係を結んでいました。吉村猛の家族にもその事実は知られていて、...

2021年05月13日 13:53

ソフトバンクグループ、2021年3月期連結 国内で過去最高の純利益

 ソフトバンクグループは12日、2021年3月期連結決算を発表した。売上高5兆6,281億円(前期比7.4%増)、当期純利益4兆9,879億円(前年は9,615億円の...

pagetop