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2021年03月22日 11:32

【IR福岡誘致開発特別連載 30】日本版IR事業者には米国Gaming Operator主体が必須

富裕層のカジノ顧客管理は日本の安全保障

 筆者は当初から、IR誘致開発が“安倍・トランプ密約”によって始まったこと、香港とマカオを本社に置く中華系カジノ投資開発企業は我が国の主なIR事業者にはなれないと重ねて説明してきた。

 具体的にいうと、IR大阪(MGM)を除く、横浜・和歌山・長崎(一部、欧州企業参加)の各IRは中華系の企業である。IR長崎のOshidori(香港)と Mohegan(米国)は、表向き米国主体の提携に見えるが、実際の主体は、中華系富裕層をまとめるジャンケット業者のOshidori International HDである。

 これが逆のかたちで、Mohegan Gaming Entertainmentが主体なら問題はない。しかし、米国と韓国でのコロナ感染再拡大と北海道苫小牧市の失敗で、同社に財政的余裕は一切ない。Oshidoriに乗っかり、なんとか面目を保っているだけである。

 先週の日米「2+2」会談と米韓「2+2」会談、米中アラスカ会談などを見れば一目瞭然。さらに、以前から説明しているファーウェイ問題に、今回のLINE情報漏洩問題など、日米の危機感を高める動きは枚挙にいとまがない。

 我が国の各候補地の知事、市長、政治家、行政官は素人なのか。信じられない話である。今や香港とマカオは中国そのもの。日本政府がこれを支持し、認可することは絶対にない。

 従って、習近平政権は近く実施する国内外のカジノ観光客規制により、香港とマカオのカジノ企業のすべてをコントロール下に置き、自国の富裕層のハイローラー(上客)を囲い込み、海外カジノ観光を禁止するのである。これは、まさに米中覇権争いの一環であり、我が国の安全保障問題そのものだ。各候補地の首長の認識の甘さは、信じられないレベルである。

米ラスベガスサンズ、施設売却とアジア特化

 米国大手のラスベガスサンズ(トランプ前大統領の盟友の故シェルドンアデルソン氏創設)は、自社で保有・運営中のネバダ州ラスベガスのベネチアンリゾートと、その関連施設を不動産投資信託VICIプロパティーズに約6,700億円で売却し、創業地の同地から撤退した。後背地人口のない観光客主体のIR開発施設はリスクが高く、今回のコロナ禍で露呈したかたちとなった。

 ラスベガスサンズは昨年の新型コロナ感染拡大前に、“安倍・トランプ密約”の第一人者であるにもかかわらず、IR横浜から早々に撤退している。最大の理由は、当初、東京都内の築地市場跡地利用の開発を目論んでいたが、都は決断ができず、さらに大阪、横浜と移り、この国の優柔不断さに呆れはてての撤退なのだ。

 しかし、今年1月に創業者が死去したことにともなう経営陣の刷新で、本拠地ラスベガスの施設売却と、今後の有望市場であるアジアに特化する方針に転換した。従って、今後はIR福岡への参画も十分に考えられる。ほかのWynn. Caesar's.Hard Rockなど米国企業も同様である。なぜなら、JCI福岡と連携している準備組織は、当初から米国中心のGaming Operator各社に特化しているからだ。

 ただし、中華系企業が本件投資資金の一部を負担し、米国のGaming Operatorが事業主体となり、すべての情報管理を行うことができれば、これはまさに最良の提携策となる。我が国にとっても問題はない。

 IR福岡の準備組織は、米中覇権争いによる我が国の安全保障問題などを理解しており、一切のブレがなく、各米国カジノ投資開発企業と交渉を重ねてきた。また、ほかの候補地とは異なり、福岡市は政府から指定された国家戦略特区であり、香港に取って代わろうとする国際金融都市構想の宣言都市という立場を有効に活用するつもりだ。今後のスケジュールを考慮すれば、実行に移す時期も近いと考えられる。

 IR誘致開発に関する福岡市行政の税収増と、海外投資開発企業に対する事業税の軽減など、双方の収支バランスまでも考慮している。ちなみに、福岡市は毎年、市債発行額を超える税収となり、投資開発側には香港やシンガポールに近い税率の軽減を計画している。

各候補地の行政組織はあまりにも無謀な要望を行い、IR大阪は今期、候補地「夢洲」までの鉄道延伸整備事業のMGM負担額である200億円を白紙に戻した。また、IR長崎ではエイチ・アイ・エスの土地購入費200億円に加えて、新設予定の道路整備費140億円をカジノ企業に負担させようとしている。コロナ禍で、カジノ企業側にその余裕は一切ない。なぜ、こんなことも理解できないのだろうか。安全保障問題も含めて支離滅裂なことをしているといえる。

 前号で報じた通り、本件IRの仕掛け人であり、IR大阪の当初からの中心人物である元市長で府知事の橋下徹氏が言い切った「大阪と福岡の2カ所しかできない」というのが、正しい判断である。

【青木 義彦】

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