2024年05月06日( 月 )

中国経済新聞に学ぶ~中国には大勢の「ダブルワーク青年(両棲青年)」がいる

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 現在、中国には大勢の「ダブルワーク青年(両棲青年)」がいる。新しいことにチャレンジし、さまざまな発展の道を模索し、自分の趣味や関心を伸ばしていく、若者が「ダブルワーク」を選択する理由はさまざまだ。

 「ダブルワーク青年(両棲青年)」とは、本業以外にも副業をもつ若者層を指す。今や、新職業の登場により、若者が個人として発展する可能性が広がった。ここ2年間には、より多くの若者が「ダブルワーク青年」の仲間に加わり、「ダブル」の規模がどんどん拡大し、「ダブルワーク」は若者の間では当たり前の現象になった。

 中国青年報社会調査センターはこのほど18~35歳の若者1,945人を対象に合同アンケート調査を行い、その結果、回答者の30%が「自分は『ダブルワーク青年』」と答え、61%が「ダブルワークについて考えている、計画中」と答え、両者を合わせると92%に達した。

6割の青年はダブルワークを計画中

 広東省で会計の仕事をする王楠さん(仮名)は、「自分の周りにいる友達で複数の肩書きをもつ人は多い。本業の仕事の合間に、書店やミルクティ店を経営する人や、退社後の夜に順風車(ライドシェアサービス)の運転手をする人がいる」と話した。

 働き始めてから2年になる胡夏さん(仮名)も微商(微信<WeChat>を利用して販売や宣伝を行う電子商取引)という副業をもつ「ダブルワーク青年」だ。大学時代、空いている時間に微商を始めて小遣い稼ぎをするようになった。最初は衣類を売るだけだったが、徐々にリピーターが増え、独自のルートも構築し、取扱商品がどんどん豊富になり、今ではフェイスマスク、靴、カバン、日用品なども扱っている。就職しても微商を続け、さらに自分のネット店舗を運営するまでになった。

 上海の証券会社で働く曹宇さん(仮名)は、「現在、『ダブルワーク青年』はかなり大きな層になっていると感じる。『ダブルワーク青年』には高等教育を受けてきた若者が多く、副業も知識や技能が必要とされる分野に多く集中する。たとえばキャリアガイダンス、面接指導、トレーニングなどだ。自分自身は副業をするつもりはない。本業の仕事がかなり大変で、今は本業に力を集中して結果を出したいし、本業の方で昇進を目指したいからだ」と話した。

56%の人は経済的プレッシャーで

 北京の事業機関で働く潘程維さん(仮名)は、「さまざまな新職業が増えて、より多くの柔軟なスタイルの副業を若者が選べるようになった。それほど時間を取らず、場所や資本も必要ない、といった副業の登場は若者の『ダブルワーク』を後押しした。また現在の若者の職業観はとても自由で、1つの仕事を一生続けるとは考えていない。自分の周りにも『ダブルワーク青年』がたくさんいる」と話した。多くの若者が「ダブルワーク青年」を選ぶのはなぜか。回答者の58%は、「新興業界と新職業が増え、若者を引き寄せる力が大きくなったから」との見方を示し、56%は、「経済的プレッシャーが大きいから」と率直に述べた。また、「兼業のためのコストが低下したから」は47%、「本業の仕事のキャリア発展にボトルネックが存在するから」は47%、「自分の趣味のため」は40%だった。

 回答した若者の70%が「周りに『ダブルワーク青年』が増えたと感じる」と答え、「非常に増えたと感じる」も14%いた。

3割の青年はダブルワークをしている

 また回答者の30.3%が「自分は『ダブルワーク青年』だ」と回答、61.4%が「ダブルワークについて考えている、計画中」と答え、合わせて91.7%に達した。「『ダブルワーク青年』になる予定はない」は8.3%にとどまった。こうした数字を比較分析したところ、「ダブル青年」がもっとも多いのは二線都市(北京・上海などを除く大都市)で、次は一線都市(北京・上海・広州・深圳など重要な特大都市)だった。

 「ダブルワーク青年」は主にどんな職業に集中するか。調査によると、微商・代理購入が65.2%で最多、次は快車(個人所有の車を利用した配車サービス)・順風車の運転手が56.6%、ネットの個人メディアが45.9%となっている。このほか、ネット評価の達人や有料コンサルタントなどの新職業が37.2%、家庭教師が35.1%だった。

 中国人民大学労働人事学院の院長を務める楊偉国教授は、「『ダブルワーク』青年のなかには、仕事を探している人もいれば、一種の過渡期として行っている人、職業の多様化を目指す人もいて、豊富で多彩な体験が可能だ。今後、人々の収入源が多様化し、さまざまな機関や時間帯に分散するようになれば、『職業』という概念自体がなくなる可能性もある。多くの職業をもったからといって、スキルを向上させられない、十分な体験ができない、生活リズムが乱れるということはない。『ダブルワーク』は新しい働き方であり、市場の新しい局面だといえる」との見方を示した。


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
(株)アジア通信社
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

関連記事