2024年04月20日( 土 )

林芳正参議が衆議院山口3区へくら替え~無所属で出馬を決意か

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 【表1】を見ていただきたい。次期衆議院選挙の山口3区と和歌山3区の立候補予定者の履歴表である。

~この表から見えるもの~
◆次期衆院解散・総選挙を前に、和歌山3区では世耕弘成参院幹事長(58歳)が高齢の二階俊博自民党幹事長(82歳)の引退にともなって衆院和歌山3区に鞍替えし、二階氏の三男である伸康氏が世耕氏の参院和歌山選挙区を引き継ぐという見方が有力となっている。
世耕氏はかねて「総理・総裁」の座を睨み、衆院への鞍替えを目指してきたが、やっと念願が叶うことになりそうだ。参議院でも5期目を数えるベテランながら、58歳という若さで参院首脳ポストに就いており、衆院に移ればさほど期数を重ねなくとも「総裁候補」の有資格者となる。
◆一方、衆院山口3区では、自民党現職で二階派の河村建夫元官房長官(78歳)と、参院山口選挙区からのくら替え出馬に意欲を示す同党岸田派の林芳正元文部科学相(60歳)の争いが過熱している。
・河村氏は3月26日、東京都内で開いた政治資金パーティーで「新しい日本を創っていく」と訴え、次期衆院選に意欲を示した。所属する二階派を率いる二階幹事長や同派幹部も駆けつけた。同派最高顧問の伊吹文明元衆院議長は「選挙区ではいろいろな動きがあるようだが、人間は立場をわきまえないといけない」と暗に林氏をけん制したといわれる。
・林氏は次期衆院選で山口3区から出馬する意向を固め、党関係者に伝えたことが1月7日に明らかとなっており、公認が得られなければ無所属でも出馬する構えで、保守分裂選挙になる可能性は不可避の状況となっている。 

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◆「代理戦争」となった3月21日の山口県萩市長選では、河村氏の実弟で前県議の田中文夫氏が、林氏が推す現職の藤道健二氏に挑み、500票差で辛勝している。山口3区内では、昨年4月の美祢市長選と11月の宇部市長選は林氏に近い候補者が勝利しており2勝1敗。党幹部は、萩市長選に勝利したことを受け、「河村氏が意地を見せ、選挙区を譲る可能性はさらに下がった」との見方をしている。

◆林氏は下関市の選挙事務所に加え、区外の宇部に事務所を開設している。昨年12月、下関市から、3区の大票田の宇部市に住民票を移しており、周辺は「3区での体制づくりも整いつつある」と話す。

(林芳正参議院議員の宇部事務所/冨村浩一秘書と面談)
(林芳正参議院議員の宇部事務所/冨村浩一秘書と面談)

~山口県人の願い~
 総裁選への出馬経験もある林議員がくら替えにこだわるのは、世耕氏と同様に、首相を目指すには参院議員では厳しいとの見方をしているからだ。強固な支持基盤を誇る林議員は、無所属での出馬を念頭に置いているとされる。

 安倍前首相(山口4区)が昨秋に退陣し、林議員支持者からは「山口の次の首相候補として、くら替えを決断する時だ」との声が高まっている。

 しかし、二階派幹部は「林氏が強引にくら替えすれば、離党は認めず除名だ」と断じており、除名となれば、復党は困難となる。党関係者は「林氏は勢いで判断すれば痛手を負う」と指摘する。

 筆者は山口銀行宇部支店長時代、河村議員に親しくさせていただいた。また林議員は高校の後輩であり、今も親しくさせていただいている。

 山口県人である筆者としては、今はただ、河村議員が山口県民のために、山口県から将来の首相を輩出できる体制をつくるためにも、潔く引退を決意することを願うばかりである。

(林議員と筆者)
(林議員と筆者)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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