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2021年06月22日 13:13

暴走続ける菅義偉氏 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「五輪を優先して菅義偉氏が暴走している」と訴えた6月21日付の記事を紹介する。

日経平均株価が急落している。『金利・為替・株価特報
では、金融市場の方向転換の可能性を指摘してきた。3つの重要事実がある。第1は米国金融政策の方向転換。第2は相場の成熟。第3は経済環境の方向転換。

今回の株価急落のきっかけは6月15、16日のFOMC。米国の金融政策決定会合。米国のゼロ金利政策が2023年末まで維持されるとの見通しが修正された。FRBは23年に2度の利上げを見込んだ。超金融緩和政策の長期維持の見通しが変化した。

『金利・為替・株価特報』では本年3月から強調してきたことだが、FRB内部の変化はすでに進行していた。FOMCでは会合参加者が各自の金利見通しを提示する。金利見通しの上下の幅のなかで中央値がFRBの見通しとして認知される。

2023年末のFFレート見通しがゼロであっても、全員一致でゼロの見通しが示される場合もあれば、メンバーの約半数が利上げありと見通す場合がある。昨年12月のFOMCと本年3月の見通しを比較すると、3月見通しでは早期の利上げを見込むメンバーが増えていた。

米国のインフレ率がFRB目標の2%を大幅に超えてきている現実も確認されている。金融緩和政策が全体として維持されるとしても、金融政策の方向が転換されることは大きな意味をもつ。

昨年春以降の日米株価急騰の最大の背景が超金融緩和政策にあった。レポートではこれを「過剰流動性」と表現してきた。世の中に出回る貨幣量が急増したのである。

13年4月に第2次安倍内閣の下で金融政策の体制が変更された。黒田東彦氏が日銀総裁に起用された。日銀副総裁には岩田規久男氏が起用された。新体制の日銀は2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げることを公約した。

岩田規久男氏は国会の同意人事審議で、2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げることができない場合には、辞任するとの決意を表明した。しかし、インフレ率2%の公約は実現しなかった。日本のインフレ率が2%に到達したことは、その後一度もない。しかし、岩田規久男副総裁は日銀副総裁の椅子に5年間居座った。

黒田日銀は異次元金融緩和を掲げて超金融緩和政策を実行した。しかし、マネーストックは増大しなかった。

私は13年夏に刊行した『アベノリスク』(講談社)にこの可能性を詳述した。

短期金融市場に潤沢に資金を供給しても金融機関の与信活動が活発化しなければマネーストックは増加しない。量的金融緩和がインフレ率上昇をもたらさない可能性を指摘した。実際に日本のマネーストックは大幅に増大しなかった。そのマネーストックが急激な増加を示したのが20年から21年である。

『金利・為替・株価特報』では20年9月にこの事実を指摘。過剰流動性が資産価格を大きく押し上げるとの見通しを示した。その「過剰流動性」に変化の兆候が生じている。

金融政策の方向転換は過剰流動性相場に重大な変化を生じさせる。また、相場の成熟、経済環境の方向転換も見落とせない。

20年2月以降、世界の金融市場はコロナとコロナ対応経済政策に反応してきた。しかし、ポストコロナが視界に入りつつある。この点も見落とすことのできない重要変化になる。コロナが今後どのような変化を示すのかを断定することはできない。しかし、欧米諸国ではワクチン接種の進捗に合わせて社会における行動抑制を緩和する対応が示されている。

しかし、ワクチンが本当に有効であるかどうかについては疑義もある。英国などで新規陽性者数が急減した背景はワクチンではなくロックダウンであるとの指摘もある。ロックダウンで新規陽性者数は減少したが、行動抑制が緩和されて、再び新規陽性者数が増加に転じているとの見方だ。

アストラゼネカ社製ワクチンの南アフリカ変異株に対する有効性は10%しか認められないとの検証結果も公表されている。コロナウイルスの変異スピードは速い。ワクチンの有効性が低い変異株が登場し、これが感染の中心に置き換わる可能性もある。

また、ワクチン接種を2回受けた人が感染する事例も報告されている。ワクチン接種で重篤化するリスクが軽減されると説明されているが、真偽は時間が経過しないと判明しない。

また、ワクチンでもっとも警戒を要するのは副作用。ワクチン接種後に急死する事例が多数報告されている。コロナで死ぬ確率とワクチンで死ぬ確率に大きな差が生じない可能性がある。ワクチンは短期的な急死リスクのほか、長期的な健康リスクが指摘されている。

高齢でない健常者がコロナ感染して重篤化する確率は極めて低い。この点を考慮するとワクチンを接種する積極的な理由がない。菅内閣はワクチン接種を奨励しているが、1人ひとりの市民の立場からすれば、ワクチンを積極的に接種する理由がない。急死するリスクも重大だし、長期的に重大な健康リスクを負うことも望ましくない。

日本では多数の市民がワクチン接種を拒絶する可能性が高い。企業が会社ぐるみでワクチン接種を行っているが、ワクチン接種の判断は各個人に委ねられている。ワクチンを接種しないという個人に対する心理的圧迫が生じぬよう、最大の配慮が必要だ。同調圧力は人権侵害になる。

ウイルスの変異が進み、ワクチン接種が進捗した国でも感染が再拡大する可能性がないとはいえない。今後の情勢については予断をもたずに慎重に状況変化を見極める必要がある。

株式市場ではコロナパンデミックにともなうライフスタイルの転換が株価変動の大きな要因になってきた。コロナ対応の生活様式に見合うビジネスを展開する企業の株価が大きく上昇した。GAFAMなどの株価上昇もこの文脈で理解できる。

しかし、社会全体がコロナシフトからポストコロナシフトに移行する場合、株式市場にも大きな影響が現れることになる。これまで順風を受けてきたセクターへの順風がやんでしまう。株価は「期待」を織り込み、過剰に上昇してきた。PERの水準に割高感が認められる。コロナシフトへの転換を背景にして上昇した株価が調整局面を迎える。

西暦2000年にITバブル崩壊があった。これと類似した現象が生じる可能性がある。コロナシフトからポストコロナシフトへの転換は株式市場に少なからぬ影響を与えるだろう。だが、その変化も一筋縄でない。コロナ収束期待が剥落し、コロナ回帰の局面が到来する可能性もある。

菅内閣は国内でのワクチン接種が十分に進捗しない段階で行動規制を完全に解除するスタンスを示している。五輪シフトだ。五輪を優先して菅義偉氏が暴走している。この暴走がコロナ感染再拡大を招くリスクは大きい。まだ、多種多様の揺り戻しが発生し得る。コロナ大失政で菅内閣が退場させられるのかどうか。これが日本の最大関心事となる。


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植草一秀の『知られざる真実』

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